アーツ・アンド・クラフツ様式データ
- 年代:19世紀半ば
- 主な地域:イギリス
アーツ・アンド・クラフツ様式の解説
イギリスでヴィクトリアン期の様式の混乱と機械による大量生産を批判して起こった運動です。
ジョン・ラスキンは「中世のクラフトマンシップに戻ろう」と、生活用品に徹した簡潔な構造と、過剰な装飾の排除を主張しました。それいに共鳴した工芸家のウィルアム・モリスは、「機械製品は害悪である」として、モリス商会を設立して手工業による良質な製品の製作、販売を始めました。
同じ頃、アートファーニチャーと呼ばれる運動も起こり、建築家兼デザイナーのチャールズ・イーストレイクが「単純な線で構成された家具」を提唱し、建築家・デザイナーのエドワード・ゴドウィンは、日本伝統工芸の影響から「自然と人間の統一と調和」を唱え、その作品「アングロ・ジャパニーズ様式」と呼ばれました。
いずれもこの後に起こるアール・ヌーヴォーをはじめ、近代の運動に大きな影響を与えました。
建築
中世を理想の社会と理解し、その下で展開したゴシックリバイバルとロマネスク建築からの影響を受け、建築の本来あるべき形を模索していました。この頃の名作としてはモリスの「赤い家」があります。
室内装飾
ジョン・ラスキンの思想を理論的支柱としたモリスは中世におけるように工芸品を手仕事で作り出すことに意味と価値を見出していました。モリスは工房を組織し、新鮮なインスピレーションを受けた植物、女性の黒髪などをモチーフにした壁紙、家具、ステンドグラス、タペストリーなど生活全般にかかわる工芸運動に着手し、現代の室内装飾に新しい風を吹き込みました。