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デザイナーストーリー

南米チリから世界へ羽ばたいた建築家

（出典:http://alejandroaravena.com/） 1967年にチリに生まれたアレサンドロ・アラヴェナは、チリ･カトリック大学で建築学を学び1994年には自身の事務所「アレッサンドロ・アラヴェナ・アーキテクツ」を開設します。2000年から2005年までの間はハーバード大学院で客員教授として教鞭をとり、英国王立建築家協会の国際フェロー（RIBA）にも任命され、建築界のノーベル賞ともいわれるブリツカー賞の審査員を務めています。

さらに展示会は、ハーバード大学、サンパウロ·ビエンナーレ、ミラノトリエンナーレ、ニューヨーク近代美術館、ヴェネツィア·ビエンナーレ、東京のMAギャラリー、ニューヨークのホイットニー美術館など世界各国で開催され、また数々の建築賞を受賞しており、2014年のZumtobel Group賞や2006年のエリック·シェリング建築賞、アボニ賞、マーカス賞、ヴェネツィア･ビエンナーレ銀メダルなど彼の功績を示すものとなっています。

まさに建築家としてすばらしい経歴をもっているのですが、南米のチリ出身のデザイナーという点では、ヨーロッパやアメリカなどが力を持つ建築家業界ではその功績がいかにすさまじいかが想像に難しくはありません。

建築家としての活動以外にもチリ･カトリック大学とチリの石油会社COPECが共同で設立した「ELEMENTAL（エレメンタル）」のエグゼクティブディレクターも務めており、インフラ、交通、パブリックスペース、住宅関連プロジェクトなどの展開を支援しています。

社会的制約の中でも合理性を追求するデザイン

アラヴェナのデザインというのは、独創的なアイデアで他とは一線を画すような芸術を目指すアプローチとは少し違います。どちらかというと独創的なアイデアというものよりも、社会的な制約や規制といった障害をすべて受け入れた上で、それを解決するようなソリューションを生み出すようなアプローチを取ります。

アーティストというよりは、実務家といったイメージが非常に強くうけるアラヴェナですが、だからといってアイデアがないかというとそういうわけでは全くなく制限を設けた上でさらに周囲を驚かすようなアイデアを生み出しているのです。

こうした社会的アプローチをとる背景となったのが2000年からはハーバードでの経験からです。
ヘルツォーク＆ド・ムーロンやレム・コールハースといった有名な建築家が教鞭をとる中で、まだまだ駆け出しのアラヴェナが教えられることを考え抜いた結果、チリの貧しさをテーマにしたソーシャルハウジングという難しいテーマを取り扱いました。ここで様々な思考を張り巡らせたことから社会的アプローチを行うような建築家、デザイナーという道を歩むことになったのでしょう。

Chairless チェアレス

（出典:http://alejandroaravena.com/） 2010年のミラノサローネで発表されて大きな話題となったその名もチェアレス。
ヴィトラから発表されたこのチェアは、南米パラグアイのアヨレオ族が使っている道具から着想をえたようですが、輪っかになった紐に体を通すことで自然と座っている姿勢をキープできるという全くこれまでにない発想です。
椅子といっていいのか分かりませんが、チェアレスなので椅子ではないのでしょう。
南米の少数民族が使っているという道具からの発想という点がチリ出身のアラヴェナでないと出来ないデザインだったのかもしれません。

Siamese Towers シャムタワー

（出典:http://alejandroaravena.com/） 自身の出身大学でもあるチリ･カトリック大学のコンピューター管理棟をデザインしました。
2重に重なった建物に見える形は、まっすぐに立つ建物に斜めに立つ建物が覆っているようなイメージですが、この特異な形状の意図はサンディエゴの気候に合わせた排熱効果を狙ったものです。
こうした構造上の工夫によって課題を解決するスタイルがアラヴェナのデザインの醍醐味ですね。

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この記事を監修しているのは？

高級家具・インテリアリサーチ部門

元建築家や現役インテリアコーディネーターや家具販売店員で編成。
国内外の高級家具やブランドなどを徹底的にリサーチし、定番からまだ見ぬブランドや家具を発掘しています。
世の中のトレンドや流れを敏感に察知し、常に新しい情報を発信出来るように奮闘しています。

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