- Established: 1829
- Nation:ベルギー
- Website:https://www.delvaux.com/
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デルヴォー・「シレーヌの村」...
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デルヴォー Overview
最近よく見かけるホットなブランド「DELVAUX(デルヴォー)」
DELVAUX(デルヴォー)というブランドをご存知でしょうか?
恐らくここにたどり着いている時点で何かしらデルヴォーにご興味があるという事だとは思いますが、近年になって急激に人気化しているブランドのひとつ。
ただこのブランド、創業は1829年で実はHERMES(エルメス)よりも歴史が長く、ベルギー王室御用達の世界最古のレザーグッズブランドとまで言われています。
ではなぜそんなブランドが今になっていきなり人気化しているのか?
答えはとても簡単。
2014年にデルヴォージャパンが設立され日本への本格的な展開が始まったからで、表参道にフラッグシップストアをオープンし一気に認知度を上げてきました。
世界的にみても大きな飛躍を始めたのは2010年以降で香港の投資会社によって買収され、本格的なグローバル展開を始めてからです。
こうした背景もあって様々なファッション誌でも取り上げられ、露出があがり目に留まる機会が増えたのでじわじわきているというのが現状です。
そして、もともとブリヨンやタンペートといった50年以上も定番として販売され続けている人気ハンドバッグも持っていて、エルメスやヴァレクストラのようにブランドをあまり主張しすぎないデザインが受けて、気になる人、欲しい人がどんどん増えていっているのです。
そしてさらに2021年からはカルティエやヴァンクリフ・アーペル、パネライ、IWCなどを傘下に持ち、LVMHやケリングと並ぶ3大ブランドコングロマリットのひとつリシュモンに買収されたことによって、より露出度が上がっていくでしょう。
特にリシュモンは宝飾品や腕時計以外のブランドがそれほど強くないので、デルヴォーを主力ブランドとして押し出していくのではないかと思います。
正直なところ、知名度やブランド力という点ではまだまだですが、人と被りにくいところ、ブランドの押し付けが少ないところがあり、主張しすぎない控えめなラグジュアリーが好きな方からするととても相性の良いブランドではないかと思います。
世界最高のエレガンスを生み出す秘訣
デルヴォーは、これまで注目されてこなかったのが不思議なくらいの魅力を持ったブランドです。
その最大の魅力はやはり圧倒的なエレガンスという点に尽きるでしょう。
エレガンスさを生み出しているのは3つ素晴らしいカルチャーから成っています。
エルメスすらも認めざるをえないハイクオリティ
レザーの品質に至っては、天下のエルメスですら認めるほどの品質で、妥協を許さないクラフトマンシップによって熟練の職人が丁寧にひとつひとつバッグを創り出していきます。
下請け工場も使わない、職人が手作りにこだわり、完成品にその職人のネームを入れる。そんなモノづくりの姿勢は世界的な超ラグジュアリーブランドと同等のレベル感であり、そこから生み出されるハンドバッグはやはり超一流なのです。
現時点での人気やブランド力をいったん度外視するならば、エルメスやヴァレクストラ、ロエベなどと匹敵するようなクオリティでしょう。
圧倒的な品質から醸し出されるのは気品であり、格式であり、伝統であり、ベルギー王室から御用達にされるほどの至高のエレガンスを脈々と受け継いでいるといえます。
クラシックなのに前衛的なデザイン
デルヴォーの紡ぎだすデザインというのは基本的にはミニマルなシンプルデザインです。
無駄を極力省いたような機能美的なデザインは、使い勝手もいいですし長く使い続けられる安定感があります。
ただそれだけでは終わらず、シュルレアリスムのスピリットに基づいたベルギーらしさがあり、既成概念に捉われないようなユニークなデザインやカラーコーデが飛び出してきます。
マグリット財団とのコラボレーションによる前衛的なデザインはまさにと言えるものですが、それだけではなく近未来的な素材使いやグラフィティアートとの組み合わせ、ネオンカラーを使った先進的なカラーパレット、アートなエンブロイダリーなどザ・ベーシックともいえるバッグに対して遊び心のエッセンスをふんだんに加えた独自性の高いコレクションを展開しています。
シュルレアリスムというのは、日本語では超現実主義と訳されますが、無意識のうちに起こる事象を認め、許すというところから既成概念に捉われない新しいアイディアが育まれているのです。
ロゴを出さない控えめな主張
最後は賛否両論あると思いますし、好き嫌いの問題でもあると思います。
ロゴを使わないデザインというのは、ブランドとしては諸刃の剣ともいえる考え方でブランド力という武器を使わずに売らないといけないので本当に良いモノでないと使ってもらえません。
エルメスやヴァレクストラがそうであるようにデルヴォーもブランドロゴの力ではなく、本物を作ることでブランドアイデンティティを確立しているのです。
実際にはシグネチャーとして頭文字「D」のメタルパーツを使っていたりもしますが、強調しているところはなく、デザインの一部として溶け込んでいるのでデルヴォーを知らなければ気づくこともないようなレベルです。
ロゴがないことによって本質的な美しさがにじみ出てバッグ本来の魅力が際立っています。
また、流行り廃りに流されないので、一生モノのバッグとして末永く付き合っていけるというのも嬉しいところですね。
世界最古のレザーグッズブランドと言われる歴史
デルヴォーの歴史を紐解いていくと大きく3つの転機を迎えています。
最初はデルヴォーの創業、そして経営権がフランツ・シュワニックに移管されたタイミング、現在につながる香港の投資会社による買収劇です。
DELVAUX(デルヴォー)は世界最古のレザーグッズブランドと言われており、その歴史は1829年にまで遡ります。
シャルル・デルヴォーが旅行用品のお店を開いたことから始まり、世界最大の鉄道網が整備されていたベルギーの中で「旅によっておこる革命」に目をつけ、旅行用バッグを作り、それが発展してハンドバッグを作ることになりました。
こうした経緯からベルギー王室御用達となり、ハンドバッグの発明者という存在になりました。
そこからデルヴォーの歴史が大きく動いたのは、1933年にデルヴォー家からフランツ・シュワニックに経営が移ってからで、今の春夏コレクションや秋冬コレクションのようなシーズンごとにコレクションを発表する形態を取り入れ、さらに人気のハンドバッグを次々と打ち出していきました。
時を経て2011年、香港の投資会社のFung Groupによって買収されたことがデルヴォーを大きく飛躍させました。
グローバル資本が入ったことで世界各国への店舗展開が加速され、日本にも直営店ができるほど世界的なブランドへと成長したのです。
3000以上のデザインを生み出したハンドバッグの歩み
デルヴォーの歴史は、ベルギーという国の歴史であると同時にハンドバッグの歴史でもあります。
なんとこれまでに3000を超えるハンドバッグのデザインを生み出してきました。
そのハンドバッグの全デザインは、Le Livre d’Or(リブル ドール)というブックにデッサンと詳細な説明付きで保存されています。
デルヴォーのハンドバッグは、これまでに様々な定番アイコンを世に送り出しています。
その中でも最も有名なのは、Brillant(ブリヨン)で、1958年のブリュッセル万国博覧会の時にベルギーの建築家ポール・ゲーサルと共同でデザインし、時代を代表するほどのアイコンとなり現代においてもデルヴォーのシグネチャーバッグとして君臨し続けています。
他にも1967年にブリヨン同様にポール・ゲーサルによりデザインされたTempete(タンペート)や軽量で機能的なバッグが求められる中で1972年に発表されたLe Pin(パン)、解放と自由を求める機運の高かった1977年にデザインされた実用的なバッグMadame(マダム)など時を超えて愛され続けるハンドバッグをいくつも世に送り出しています。
近年でも過去のアーカイブからインスピレーションを得て復活を果たしたMutin(ミュタン)やモダンなボックスフォルムのCool Box(クールボックス)といったニューアイコンがデビューしています。
こうした新旧のアイコンバッグの競演によってデルヴォーのバッグは進化を続けているのです。
シュルレアリスムの極み「マグリットコレクション」
デルヴォーはベルギーのブランドであり、そのためシュルレアリスムの精神をもってモノづくりにあたっています。
ヌネ・マグリット財団とのコラボレーションは、20世紀のシュルレアリスムの巨匠である画家ヌネ・マグリットの作品とデルヴォーの代表作をユーモア溢れる世界観でミックスした「マグリットコレクション」をリリース。
ルネ・マグリットの代表作である「ゴルコンタ」、「恋人たち」、「山高帽の男」、「約束」などをウィットに富んだセンスでバッグと融合させています。
おもしろいデザインばかりなのですが、シックなブラックカラーのブリヨンがフラップを開けるとそこには青空が広がっているという仕掛け。
バッグのフロントに「ceci n’est pas un Delvaux」と書かれており、日本語だと「これはデルヴォーではありません」という意味になり、いったいどういう裏のメッセージが込められているのかと考えてしまいます。
カットオフの隙間から鳥がのぞくようなポシェットもあり、ワクワクが止まりません。
メンズラインもリリースされ、ビジネスでも使えるようなスタイリッシュな作品になっていますが、ルネ・マグリットの作品でよく用いられた1960年代までのヨーロッパにおけるビジネスマンの必須アイテム山高帽がバッグに浮かび上がります。
それは、バッグの上部にあるわずかにほほ笑んだようなカーブとそこから弧を描くハンドルによる山高帽のシルエット。
ルネ・マグリットの世界観をギリギリまで攻めて再現したとてもおもしろいコレクションとなっています。
最近になっていきなり出てきたような印象のあるデルヴォーですが、実は世界でも最古と言われるほどの歴史があり、伝統と格式ある由緒正しいブランドです。
ただ、歴史に胡坐をかいているわけではなく常に新しいアイディアで驚かせ、楽しませてくれるブランドでもありますので今後の益々の進化に期待がいっぱいです。
この記事を監修しているのは?
ラグジュアリーブランド・ハイファッション調査部門
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