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モローパリ Overview

MOREAU PARIS（モローパリ）ってどんなブランド？

　 MOREAU PARIS（モローパリ）は、ルイ・ヴィトンやエルメス、ゴヤール、シャネル、ディオールなど数多くのラグジュアリーブランドを輩出しているフランスでもかなりの歴史を誇る高級バッグやトランクのブランドです。

歴史があるとはいえ、先に挙げたブランドに比べると圧倒的に知名度は低く、知っている人の方が少ないくらいのブランド。
MOYNAT（モワナ）やPatou（パトゥ）などもそうなのですが、MOREAU PARIS（モローパリ）も一度ブランドとしては休止し、表舞台から消えていたからなのです。
もちろん1882年に創業したという伝統や意匠、DNAといった部分を引き継いではいますが、ブランドのスタートは2011年の復活のタイミングと考えてもいいでしょう。 そう考えるととても若いブランドになるので、まだまだ知っている人が少なくて当然です。


　 そんなモローパリのアイコンとなっているのはモロープリントと呼ばれるモノグラム状のデザインで、高品質のレザー以外にもコーティングキャンバスの軽量モデルもあり、モロープリントをほどこしたトートバッグが人気。
ゴヤールの超定番「サン・ルイ」をイメージしてもらうと分かりやすいと思います。

歴史あるメゾンによって、厳選された素材を使い、熟練職人が手作業で紡ぎだす高品質なバッグは「実用性の中の美」という信念のもと使いやすさと美しさの両方を兼ね備えた機能美を体現するバッグになっていますので、お仕事用バッグとしても男女ともに支持を集めているのです。

トランクのアイコンといえばやっぱりモノグラム「モロープリント」

　 モローパリのイメージといってもモローパリの存在自体があまり知られていないため、イメージを持っている人も少ないのですが、やはりモロープリントがモローパリのアイデンティティとも言うべきデザイン。

ブランドの背景として高級トランクメーカーとしての発祥なので、フランスではルイ・ヴィトンやゴヤールの後発といった感じ。
ルイ・ヴィトンでいくとモノグラムやダミエ、そしてゴヤールだとゴヤール・ディンというモノグラムデザインが有名ですが、トランクメーカーでモノグラムが流行っていたというわけではなく、これは偽物対策という意味合いが強いのです。

モロープリントも偽物対策という役割もあり、当初は柳のバスケットに使用される織り方にインスピレーションを得た小枝を編み込んだような格子柄のデザインでした。


　 2011年に復活して以降は、もともとのモロープリントが3Dプリント化され、横と斜め、そしてブランドロゴを入れるなどアレンジが加えられて現代的なアップデートが加えられています。
カラーもベーシックなブラウン系だけでなく、ホワイト系やオレンジ、ブルー、イエロー、ブラックなど多彩なカラーを用いているのでとてもおしゃれ。

創業時にはブティックの住所を記したロイヤルブルーのロゴマークもシグネチャーとなっていましたが、復活後はブランドカラーのモロー・ブルーとして引き継がれています。

モロープリントだけじゃない素材と技の共演

　 モローパリの魅力はモロープリントだけではありません。
バッグに使われる素材の品質の高さ、そして伝統的な職人の技というのも見逃せません。

2011年に再始動した新しいブランドではありますが、モローパリを復活させたロヴノフ兄弟の本気さをうかがえるのは16世紀にまでさかのぼる先祖代々の技術を継承する革なめし工場と協力関係を築いていて、メゾンとしてDNAをしっかりと現代にまで引き継いできていること。
牛革の中でも丈夫なブルスキン、カーフスキンやゴートスキンなどフランス産の高品質レザーを使い、しっかりとした技術によってとてもしなやか。

生産に関してもすべてをフランスで行う100％メイド・イン・フランスですし、伝統的なレザーグッズの技術を継承した職人たちがひとつひとつを丁寧に手作りしています。
コバの処理やステッチワークなど細部に職人の魂が反映されているのが分かるような仕上がりになっています。


　 素材にはレザーだけではなく、コーティングされたジャガード織のキャンバス地はレザーよりも軽く、耐水性が高いので雨でも安心。モロープリントにも相性抜群なのです。

このレザーとモロープリントのキャンバス地がリバーシブルになっているトートバッグがモローパリのホットアイテムで、ひっくり返すと印象がガラリと変わる一粒で二度おいしいバッグになっているので海外セレブからも大人気となっています。

運命のイタズラから歴史あるメゾンが復活

　 モローパリの歴史は、1882年にパリでスタートしたメゾン・モローで皇帝ナポレオン一世の公式サプライヤーだったマルタン・ギョーム・ビエナによって高級レザーグッズメーカーとして立ち上げられました。

現在でも活躍するモロープリントが生み出されたのは創業当初からのトランクに対するに偽物対策ですが、その独特のパターンのおかげでメゾン・モローのトランクと認識されることになり、遠方に旅行に出かける貴族やブルジョワから大きな人気を集めました。

ただ、メゾンの閉鎖は世界大恐慌直後1930年なので辺りなので歴史があるとはいえブランドとしては50年程度しか活動していなかったことになります。

確かなことはヴィロニカ・ロヴノフがオークションで古いMOREAU（モロー）のトランクを購入したことで、そのヴィンテージトランクに魅了されたことから2011年の復活劇が始動したという事です。
そして、モロー復活の裏でユニークなのは、ヴェロニカ・ロヴノフの兄フェドール・サヴチェンコ・ロヴノフがデザイナーであり、復活と同時にクリエイティブ・ディレクターに就任しているということ。


　 モワナであればLVMHのベルナール・アルノーが個人オーナーとして買収し、パトゥはLVMHが企業として復活させ、ゴヤールもジャン・ミシェル・シニョールによる友好的な買収という背景があり、いずれも巨大資本をバックグラウンドにして復活を果たしたというものですが、モローに関しては本当に運命のいたずらのような復活劇だったのです。
フェドールがメゾンの歴史を分析し、さらにモロープリントの再解釈を行ったことで完全復活を果たしました。

そして、2016年には日本のオンワードホールディングスの傘下であるOLG（オンワードラグジュアリーグループ）が買収したことで店舗展開が加速しています。
2017年にはパリのサンノトレ49番通りにブランドカラーのモローブルーに彩られた美しいブティックをオープンし、さらにオンワードグループによって日本への店舗展開も進められました。

日本展開はオンワードグループのおかげだが・・・

　 モローパリは2011年に復活を果たしたばかりなのですが、なぜか日本でのショップ展開がとても多いのです。
その理由は日本の会社であるオンワードホールディングスの傘下企業オンワードラグジュアリーグループ（OLG）がモローパリを買収したという経緯があったから。

JIL SANDER（ジルサンダー）までも傘下に収めていたOLGでしたが、コロナウイルスの影響などもありオンワードグループの業績が悪化したことでイタリアの投資会社NEMOに売却されています。

すでに日本での店舗展開は進んでいますし、店舗を出したことで日本での知名度も上がりつつあるのですが、もしかすると親会社が変わることで違う地域に力を入れていく可能性も出てきます。


まだまだ知る人ぞ知るブランドという域を出ていないモローパリですが、高品質かつシンプルで分かりやすいデザインは火が付くと一気にブレークする可能性を秘めています。

この記事を監修しているのは？

ラグジュアリーブランド・ハイファッション調査部門

ラグジュアリーブランドやハイブランドでの勤務経験者、雑誌編集者、とにかくラグジュアリーブランドやハイブランドが好きなメンバーで編成。
好みや主観が入ったり、否定的な意見が存在するのは、ハイブランド.comの味であり、外部からの影響から独立しているからこそ出来ること。
世の中のトレンドや流れを敏感に察知し、常に新しい情報を発信出来るように奮闘しています。

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