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デザイナーストーリー

日本文化を知りつくした家具職人

1907年にスウェーデン・ヴェルナモに五代続く家具工場の息子として生まれたブルーノ･マットソンは、幼い頃から家具職人、家具デザイナーとしての修業を積みました。
若き日の経験を活かし椅子の安楽性について自らの工房をつくり研究を続けました。研究は1931年に始められ、当時ブームとなっていた機能主義に影響を受けながら、背と座の角度や脚の高さなど徹底的に検証され、曲線を描いた美しいフォルム。そして、人間工学に基づいて作られていることによる使い心地の良さ。そして木工製品では、木の温もりを感じられるシンプルながらも機能と使い心地の良さを求めました。

1934年に発表した椅子「EVA」はその良い例で、半世紀以上が過ぎた今でも世界中の人たちに愛されています。
肘掛や骨組部分は、緩やかな曲線になっています。この部分は木製で、薄い板を何枚も重ね、接着して作られています。座面の部分と背もたれの部分は、麻のベルトが編み込まれており、座ると、優しくほどよい弾力で体を支えてくれます。

EVA（エヴァ）

（出典:http://www.mathsson.se/） そんなマットソンが初めて日本を訪れたのは1974年のことです。日本の生活様式に触れた彼は、畳と日本人の体型に合う椅子をデザインするため、天童木工の本社を訪れ製作に取り組みます。こうして完成した「Mシリーズ」の椅子は、40年以上の時を経た今も、多くの人々に愛され続けています。
また、椅子以外にも機能的なウォールユニットシステムやテーブルなど幅広くデザイン。こうして生まれた傑作は時代を超えて愛され続けています。

北欧を代表するデザイナーで日本でも活躍をしたマットソンは、1974年には「スカンジナビアデザイン賞」を受賞しており、1981年にはスウェーデン政府より「プロフェッサー」の称号を受けています。

北欧ソファの傑作「マルガリータ」 天童木工

（出典:http://www.tendo-mokko.co.jp/） マットソンの手掛けた「Mシリーズ」の最高傑作と言えば、このMargareta（マルガリータ）です。
最近ではマットソンソファとも呼ばれたりしますが、日本の生活様式を勉強していたマットソンが日本人の為に設計したソファになります。マットソンは天童木工が初めて契約した外国人デザイナーで今から40年程前のことです。

マットソンは日本の住環境を研究しており、チェアを移動するときに畳にキズがつかないようにソリのような形状の床摺り構造を取り入れました。独立した脚ではなくて輪のように繋がったソリ状の脚形状にすることで床にキズが尽きにくくなり、尚且つ設置面積が増す事でチェア全体の安定性が増したのです。
この細い木製フレームは天童木工のお得意の成形合板（プライウッド）技術が活かされています。マットソンのアイデアと天童木工の成形合板によって細くフレームにもかかわらずしっかりとした強度と驚異的な軽量化を実現することができたのです。
実際にこのソファを持ち上げてみるとわかりますが軽さに驚きます。1人掛けで8kg程度の重量しかありません。実はその軽さにはもうひとつ理由があって、細い木製フレームにキャンバス地が張られていてまるでハンモックのような構造にもなっているのです。やさしい座り心地にも貢献しているのでしょう。

2011年には「Bridge of Weir (ブリッジ・オブ・ウィアー）」とコラボレーションして、革張りタイプも販売しています。

Mシリーズ 「ハイバック・チェア」

（出典:http://www.tendo-mokko.co.jp/） 前後の脚が「床摺り」によって繋がっている“閉じた脚”は安定した構造となり、フレームを細くすることを可能にしました。
この細身のフレームをキャンバス地で包んでいるためハンモックのように体を受け止める座り心地と軽さが特徴です。

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この記事を監修しているのは？

高級家具・インテリアリサーチ部門

元建築家や現役インテリアコーディネーターや家具販売店員で編成。
国内外の高級家具やブランドなどを徹底的にリサーチし、定番からまだ見ぬブランドや家具を発掘しています。
世の中のトレンドや流れを敏感に察知し、常に新しい情報を発信出来るように奮闘しています。

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