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バーバリー Overview

今がバーバリーというブランドの本来の姿

バーバリーランウェイ
(出典:https://jp.burberry.com)
バーバリーは日本では大人気のブランドです。
とくにバーバリーチェックのマフラーは1990年代の大ブレーク以来、ファッションアイコンとして地位を確立してきました。

最近でもバーバリー・ブルーレーベルやバーバリー・ブラックレーベルといったラインによって若者を中心に絶大な支持を集めるブランドとなっていました。

しかし、今はもうブルーレーベルやブラックレーベルといったラインは存在していません。
なぜだかご存知ですか?

それは三陽商会という企業がバーバリーとライセンス契約をして製造していた日本独自のブランドだったからです。
ただ2015年にライセンス契約が終了し、ブルーレーベルやブラックレーベルは存在そのものがなくなってしまいました。

なので、もしかすると皆さんの知っているバーバリーと本来のバーバリーというのは別物かもしれません。
実際、日本では独自のブランド展開を行い、イギリス本国のオリジナルバーバリーと日本で展開されているバーバリーはブランドが同じでも商品は別物という事態が生まれていたからです。

今、直営店や百貨店などで販売されているバーバリーというのは正真正銘のバーバリーですが、価格帯がこれまで比べると格段に上がっているのがわかると思います。

それによって日本でも若者によるバーバリー離れが始まっていますが、ただ本来のバーバリーというブランドはこれが正しい姿なのです。



日本でのオリジナルブランドってどういうこと?

ブラックレーベル店舗
 
バーバリーは1970年に日本のアパレル企業である三陽商会とライセンス契約を結びました。
それによって三陽商会がバーバリーというブランドを使ってオリジナルレーベルを開発し、日本独自のバーバリーを展開していたのです。

それがレディースはブルーレーベルであり、メンズはブラックレーベルです。
他にもバーバリー・ロンドンやチルドレン、ゴルフといったラインも展開していました。

このバーバリーの日本展開自体はブランドのライセンス販売としては、他にないくらいの成功を収めていて日本のバーバリーの売上高は外資系ブランドの中でルイ・ヴィトンに次ぐものになっていました。

実際ブルーレーベルやブラックレーベルの店舗は活況でしたし、街を歩いていてもバーバリーのチェック柄をよく見かけたはずです。

大成功を収めた日本のバーバリー独自展開



バーバリーの戦略の変更~なぜライセンスを辞めたのか?

バーバリータオル
 
バーバリーの日本でのライセンス販売は成功を収めていました。
これだけを考えればライセンス契約を辞める必要性というのは全くないように思います。

ただラグジュアリーブランドという性格を考えると、このライセンス契約を辞めるという判断は正しかったのです。
日本では三陽商会のアパレル製品だけではなく、ありとあらゆるものがライセンス提供されていました。

たとえば下着や靴下、寝具、タオル、文房具など結構いろいろなところでバーバリーのロゴを見かけたと思います。
これらは日本企業がバーバリーからライセンス供与を受けて、バーバリーのロゴを使った製品を作っていたからです。

ここから起こることは簡単で、「バーバリーってなんか安っぽいね」みたいなイメージを持たれてしまうのです。
実際バーバリー本来のブランド力はルイ・ヴィトンやシャネルなどのハイブランドに匹敵するものですが、日本でのイメージってもっと格下になってませんか?

イギリス人からするとバーバリーが日本でこんなに安く売っていることに驚くそうですが、それもそのはずでブルーレーベルやブラックレーベルの価格帯も安すぎですが、それ以上にライセンス供与されている商品も安すぎるのです。

これではバーバリーが本来持つブランドイメージに傷がついてしまいます。

これを嫌って日本でのライセンス契約のすべてを終了させました。



ライセンスは駄目でもレンタルサービスはありなの?

My Wordrobe HQ
(出典:https://www.mywardrobehq.com/)
昨今ではラグジュアリーブランドのバッグなどをレンタルするサービスというのも一般的に浸透しつつあります。
しかし、これはあくまでブランド公認のサービスというわけではなく、ブランドレンタルサービスが商品を購入して、それをレンタルしているに過ぎません。

ただ、バーバリーはイギリス発のファッションレンタルマーケットプレイスのMy Wordrobe HQと提携してレンタルサービスを公式に発表したというのが驚きです。
ブランド価値を重視し、ライセンス販売からも撤退したバーバリーがレンタルはいいの?と思うのですが、正規品を適正な価格でレンタルし、気に入ったものは定価の半額程度でそのまま購入できるというサービス。

My Wordrobe HQ商品画面
(出典:https://www.mywardrobehq.com/)
いきなり購入するよりも安価でレンタルし、気に入れば中古価格で購入できるというのはラグジュアリーブランドの裾野を広げる、ファン層を拡大するという意味では戦略的に問題ないのかもしれません。
バーバリーの洋服を買おうとしても数十万円しますから、それをまずは1万円程度のレンタルで着られるというのはとても嬉しい事です。
イギリス国内からのスタートですが、世界で利用できるようになるのも近いでしょう。

このサービス(バーバリー製品の取引)によって得られる収益の40%は、経済的に恵まれない女性の失業者に面接時の洋服などを提供する慈善団体SmartWorksに寄付されるというところまで見越してのことなのでしょう。



バーバリーはどう変化してきているの?

新作ジャイアント ウイメンズバッグ
(出典:https://jp.burberry.com)
バーバリーはクリストファー・ベイリーがクリエイティブ・ディレクターに、そしてCEOに就任してから大きく変わりました。

もともとは英国トラディショナルの象徴のようなブランドでした。
それが日本で受けなくて三陽商会はオリジナルのレーベルを作ったのですが。。

クリストファー・ベイリーが就任して以降、これまでのトラディショナルなイメージを刷新し、よりモードでモダンなスタイルに変革していったのです。
クリストファー・ベイリーは、実用的なデザインにとことんこだわったクオリティとディテールが評価され、2005年にはイギリスの中での最優秀デザイナーとしての賞を受賞しています。

もともとバーバリーの創業者であるトーマス・バーバリーは「洋服の革新」を目指してブランドを立ち上げたのですが、クリストファー・ベイリーはその想いを引き継ぐかのようにバーバリーを新しいブランドへと変貌させて至ったのです。

その代表ともなるのが、カジュアルラインのバーバリー・ブリットやスポーツラインのバーバリー・スポーツの誕生であり、新しいバーバリーチェックの発表です。

バーバリーの代名詞「バーバリーチェック」



リカルド・ティッシによる大きな変革に期待

リカルド・ティッシ
 
2018年にこれまでバーバリーの近代化に貢献してきたクリストファー・ベイリーに変わり、ジバンシィを変革の立役者リカルド・ティッシがクリエイティブ・ディレクターに任命されました。
業界全体に衝撃が走るほどの選択となっていて、イギリス文化に深く根付いているバーバリーという巨大ブランドにストリートカルチャーをも取り込むイタリア人デザイナーのリカルド・ティッシが就いたのです。

リカルド・ティッシとバーバリーの相性という意味では疑問符が付くところもありますが、これまでのバーバリーのスタイルやイメージを大きく変革するという意味では絶大な効果がありますし、ハイファッションブランドとストリートをつなぐという意味でもカニエ・ウエストやジャスティン・ビーバー、リアーナ、ビヨンセ、セレーナ・ゴメスといったセレブリティを顧客層に取り込めるというのは意義があります。

就任直後から英国の大御所グラフィックデザイナー ピーター・サヴィルがデザインしたシンプルでモダンな新しいブランドロゴを発表しました。

TBモノグラム
 
さらにこれまでバーバリーの顔でもあったバーバリーチェックから、新しいアイコンとしてモノグラムパターン「TB」を発表したのです。
これは、創業者トーマス・バーバリーのイニシャルに由来し、ブランドに新しいシンボルとモダンなスタイルを創り出すというところで、すでにバーバリーの新しいシグネチャーとして定着している状況です。


バーバリーはこれからもイノベーションを実行していくでしょう。
これまでの日本独自の展開ではなく、バーバリーオリジナルの洗練された新しいスタイルが今後展開されていくことに期待しましょう。


次は、「洋服の革新家」バーバリーの歴史

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この記事を監修しているのは?

ラグジュアリーブランド・ハイファッション調査部門

ラグジュアリーブランドやハイブランドでの勤務経験者、雑誌編集者、とにかくラグジュアリーブランドやハイブランドが好きなメンバーで編成。
好みや主観が入ったり、否定的な意見が存在するのは、ハイブランド.comの味であり、外部からの影響から独立しているからこそ出来ること。
世の中のトレンドや流れを敏感に察知し、常に新しい情報を発信出来るように奮闘しています。



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