目次
1.インテリアの中で椅子が人気となる理由 2.迷わないチェア選びのステップ ① 利用シーンから考える形態と機能 ② コーディネートから考える素材とデザイン ③ 名作チェアをコーディネートの中心に ③-1 ダイニングの名作チェア『8選』 ③-2 リビングの名作チェア『9選』 ③-3 ワークチェアの名作『4選』 ③-4 名作スツールとアウトドアチェアの名作
インテリアの中で椅子が人気となる理由
インテリアコーディネートの中でも重視されることの多いチェア。
日本人の感覚からすると「なぜそれほど椅子が大事なの?」
ソファやテーブル、収納などにはこだわるけど、椅子はダイニングセットくらいという方が多いのではないでしょうか?
確かに日本の靴を脱いで部屋に上がる畳文化、座布団を引いて、ちゃぶ台でご飯を食べてとなるとチェアの登場するシーンは見当たりませんね。
しかし、現代の住環境ではこうした日本旧来の和室から、欧米文化を取り入れた洋室へと大きくシフトチェンジしています。こうした変化によってチェアに対する需要も高まってきていることは事実ありますね。
ただチェアがなぜ重要かというのは欧米の目線の高い生活環境だからというだけではないのです。
チェアというのは家具の最小単位であり、一人で使用するものだからというのが大きな理由です。
チェアに対して機能が与えられ、デザイナーの意匠が感じられる素晴らしいデザインとなり、コーディネートのベースとなる最小単位となります。
チェアが決まれば、それに合わせてテーブルや他の家具のコーディネートを決めていくことができるからです。
こういった考え方は、特に北欧では顕著で著名なデザイナーの代表作のほとんどがチェアだということからも分かるでしょう。
部屋に名作やデザイナーズ家具を取り入れたいと思った場合、最小単位であるチェアを購入すれば、それだけでコーディネートの華となりますし、比較的安価でハイグレードな家具を楽しむことが出来るというのもチェアが人気となっている秘密です。
迷わないチェア選びのステップ
チェアを買うという時にイメージしやすいのが、ダイニングチェアやデスクに座るときワークチェアだと思います。
日本ではあまりリビングにチェアというのは見られないのが残念ですね。
ここではチェアを選ぶ時の基準として3つの観点でお話をしていきたいと思います。
① 利用シーンから考える形態と機能
② コーディネートから考える素材とデザイン
③ 名作チェアをコーディネートの中心に
① 利用シーンから考える形態と機能
チェアには色々な形態があります。
例えば、ダイニングチェアや背もたれなしのスツール、ロッキングチェア、カウンターチェア、ラウンジチェア、ワークチェア、座椅子など種類だけ考えても指の数だけでは足りなくなるくらいです。
種類はたくさんありますが、こうした種類というのはなぜ生まれたかを考えれば理由は明らかで、用途に合わせて形態が形作られていったからなのです。
そう考えるとチェアを利用するシーンをあらかじめ想像すれば、どんな形態のチェアを選べばいいかというのは自ずと導き出されますね。
そして、スタッキングが出来るとか、折りたたみができるとか、そういった機能も同じことでスタッキング出来ることが便利なシーンがあるから機能としてつけられているわけです。
では、チェアを利用する代表的な利用シーンとはどういったものでしょうか?
ダイニングでの食事や団らん
(出典:http://www.walterknoll.de/)
ダイニングシーンで使われるチェアなので、座面と背もたれがあってシンプルに椅子としての機能を満たせればいいというのがダイニングチェアです。
ダイニングテーブルとセットにしてもいいですし、チェアだけ別で購入しても問題無いでしょう。
長時間座り続けるわけではないですし、そこまでクッション性などは求められません。
アームなどが付いているものよりも、ダイニングテーブルの中にすっと収まるスリムなチェアの方が使い勝手はいいです。
リビングでのくつろぎ
(出典:http://cassina.com/)
リビングでチェアを使うというのは、日本ではそれほど馴染みがないかもしれません。
リビングというのは、テレビを見たり、家族や友人が集まって時を過ごすコミュニティスペースとしての位置づけなので、チェアもリラックスして快適に過ごせるものがいいです。
例えば、ラウンジチェアやロッキングチェアのような深く座って、体のラインにフィットする快適なチェアやクッションチェアのようなふわっとした感触のチェアの方がリビングには向いています。
リビングにはチェアとともにソファがあることが多いので、ソファのデザインとの相性も合わせて考える必要は出てきます。
ワークスペースでの作業
(出典:http://www.hermanmiller.co.jp/)
パソコンで作業をしたり、読み物、書き物をしたりと同じ体勢で長時間座り続けるワークスペースではワークチェアを選びましょう。
ワークチェアは、座面に高品質のクッション材が使わていたり、ヘッドレストがついているもの、通気性を良くするために背もたれがメッシュになっているものなど長時間座っていても疲れない工夫が施されています。
よいワークチェアに座ると、それだけで作業効率が上がりますし、疲労も少なくなります。
また、高さを変えられる昇降式やリクライニング機能が付いているものが多くありますので、快適に作業をするための機能にもこだわる必要があります。
ちょっと座りたいシーン
(出典:http://www.hhstyle.com/)
例えば「玄関で靴紐を結ぶ」、「お料理中にちょっと休む」、「お客さんが多い時の補助椅子」などちょっとしたことで座りたいシーンというのは日常にはけっこうありますよね。
そんな時にはスツールが便利です。
背もたれのない座面だけのチェアですが、スタッキングや折りたたみが出来るものが多いので、収納するのにも困りません。
ソファやベッドサイドにおいてサイドテーブル代わりや高いところの物を取るときに踏み台なんかにも使えます。
ひとつ、ふたつはスツールを持っておくととても役に立ちます。
テラスや庭など屋外利用
(出典:http://www.hhstyle.com/)
庭先でバーベキューをするとか、日光を浴びながらくつろぐなど屋外でチェアを使用したいというのは実はけっこう多いです。
屋外での使用が前提となるチェアなので、チェアの形態というよりは素材にこだわった方がいいケースです。
雨や風にさらされても劣化しにくいプラスチック系の化学素材やアルミニウムなどを使ったシンプルなフォルムものが理想的です。
木材やファブリック付きのものにしてしまうと、すぐに駄目になってしまいます。
あとは持ち運びをすることも多いので、折りたたみができるものがベストです。
商業スペースでの座席
(出典:http://www.hhstyle.com/)
カフェやレストランなどの商業スペースでのチェアは、快適性とデザイン性、機能性、さらにはコストパフォーマンスとあらゆる要素が求められ、選ぶのがとても難しいシーンです。
基本的には、滞在時間が長いカフェやレストランではクッション性の高いソファに近いようなチェアを使う方がいいですし、お客さんの回転が早い店舗ではそこまで快適性は要らないので、プラスチックやメタルを使ったスタッカブルチェアや折りたたみチェアなど軽くて機能的、そしてそこそこ安いチェアがいいでしょう。
ショップの雰囲気やスタイル、滞在時間など様々なので一概には言えないですが、重要なポイントに合わせて選ぶというのが正解な気がします。
② コーディネートから考える素材とデザイン
用途によってどんなチェアの種類が必要かというのは分かりました。
でもダイニングチェアにしても、リビングチェアにしてもデザインは多種多様にありますよね。
どういったデザインがいいのか?
どんな素材使いのチェアを選べばいいのか?
というのは、お部屋のコーディネートスタイルから決めていきましょう。
お部屋のスタイルがすでに決まっている場合はそこに合わせていく感じでいいと思いますし、決まっていない場合は家具の最小単位チェアを中心にコーディネートを組み立てていくといいですよ。
一言にコーディネートスタイルといってもいろいろとありますが、人気のあるスタイルを中心に見ていきたいと思います。
北欧・ナチュラルスタイル
(出典:)
北欧スタイルやナチュラルなコーディネートを目指すならば、木の温もりが感じられるような木製チェアがよく合います。
ハンス・J・ウェグナーやアルヴァ・アアルトに代表されるようなデザイナーの意匠が感じられるシンプルな木製チェアはダイニングを豊かな空間に変えてくれるでしょう。
全て木で出来ている必要はなく、シートがファブリックのクッションになっているようなものもいいですし、ソファがレザーの場合は木とレザーのコンビネーションのチェアもいいと思います。
ファブリックはあまり派手なカラーではなく、パステル系の淡い色の方がよく馴染みます。
他にもアントチェアやセブンチェアのような成形合板とスチールを組み合わせたチェアも北欧スタイルにはよく見られるので、こうしたデザイナーズチェアであれば素材関係なく、北欧スタイルにハマります。
モダン・クールスタイル
(出典:http://www.bebitalia.com/)
モダンスタイルやクールな印象を与えたい場合には、スチールやガラス、プラスチックなどの無機質な素材を積極的に使っていきます。
本革のレザーはメタルやガラスなどとコンビネーションするととてもモダンになります。
脚や背もたれが直線的なデザインやラインが流れるように綺麗なもの、幾何学的なパターン、あとは一体成形のチェアなどもおすすめです。
カラーをブラックやホワイト、シルバーなどモノトーン系に統一していくことでスタイリッシュな空気が生み出されるので、チェアのカラーもテーマとなるカラーに合わせていきましょう。
イメージ的にはイタリアンブランドで生産されるようなチェアで、モダンスタイルでもお手本としているB&Bイタリアなどはその最たる例だと思います。
クラシック・エレガンススタイル
(出典:https://www.drexelheritage.jp)
クラシックスタイルの場合は、脚のデザインに注意を払いましょう。
クラシックの代表的なデザインが猫脚で、その他にも脚が地面に近づくに従って細くなっていくようなフォルムがよく使われます。
猫脚以外にも装飾的なデザインが多く、背もたれには彫刻を入れたり、ファブリックには花や蝶、紋章などの古典的なモチーフが描かれます。
基本的には歴史的な建築様式や伝統的な家具作りの手法によって作られるものなので、素材は木とファブリックがほとんどです。
伝統的なクラシックスタイルの場合は、ダークブラウン系のカラーにすると一番しっくりきますが、エレガンスな雰囲気をより強くしたい場合はホワイトや薄いピンク、最近だとブルーやグリーンなど大胆なカラーが使われることも多くなっています。
シンプルスタイル
(出典:http://www.knoll.com/)
シンプルスタイルの場合は、無駄を極力省いてそもそも置くものを減らすというところからのスタートになります。
チェアに関しても必要以上におく必要はありません。
部屋そのものをシンプルにすると同時に、そこに置かれる家具もシンプルにすることでより引き立ちます。
チェアに関しても、最低限の機能を満たすシンプルなチェアにすることをおすすめします。
具体例を挙げるとすれば、カンティレバー構造のMRチェアやブルーノチェアのように無駄を極限までそぎ落として機能美を追求したようなチェアがいいです。
③ 名作チェアをコーディネートの中心に
(出典:http://www.hhstyle.com/)
家具は生活に密着したものです。当然ながら生活がある以上、家具も必要になってくるわけでその歴史というのはとても長いです。
歴史の中では数々の名作と呼ばれる家具が生み出されていくわけですが、その中でもチェアの名作というのは他の家具に比べて圧倒的に多いのです。
なぜチェアの名作というのはこれほどまでに多いのか?
冒頭でもお話しましたが、チェアというのは一人で使う家具の中でももっとも小さな単位です。
コーディネートの中の細胞レベルなのです。
コーディネートの起点となるチェアをデザイナーは渾身の力を込めて作ってきました。
そうして生まれた名作というのは100年以上の時を経ても全く色褪せることなく、現在でも輝きを放ち、高い人気を得ているのです。
スタイルに合わせたチェアであるとか、チェアの形態であるとか色々と選ぶための基準をお話してきましたが、ここでは『全ての基準をチェア』にすることでコーディネートを組み立てていくという観点でのお話です。
次のページからは具体的に名作チェアを紹介していきますので、お気に入りの名作チェア、絶対欲しい名作チェア、こういったチェアをぜひ見つけてください。
ダイニングチェアの名作
シンプルなデザインが多いですが、ディテールにはデザイナーの意匠が感じられる作品ばかりです。
カフェなどの商業スペースでもよく見かけるチェアなので、気にして見ていると街中で名作に座る機会はけっこうありますよ。
ザ・チェア
(出典:http://tabroom.jp)
「椅子の中の椅子」とまで賞賛されるザ・チェア。
見てお分かりの通り、なんの変哲もない普通の木の椅子です。
これほどまでに評価されるきっかけになったのは、ジョン・F・ケネディとリチャード・ニクソンの大統領選のテレビ討論会で使用されたことなのです。
アメリカのトップを決める会議で使用されたチェアということで、一躍注目をあびることになりました。
今では生涯で500脚以上のチェアを作った北欧デザインの巨匠ハンス・J・ウェグナーの最高傑作とまで言われているのです。
価格はとてもチェアとは思えないほど高いです。1脚 60万円以上します。
北欧ダイニングを作るとき、ザ・チェアがそこにあれば、最高のラグジュアリーなのです。
Yチェア
(出典:http://www.hhstyle.com)
Yチェアもザ・チェアと並びハンス・J・ウェグナーの傑作のひとつです。
同じくとてもシンプルで無駄のないデザインながら、作りの精巧さには驚かされます。
Yチェアの特徴はそのY字型の背もたれだと思うと実はそうではなく、座面のペーパーコードにあります。
なんと120mもあるペーパーコードを職人が1時間以上も掛けて編み上げているのです。
なので、軽くてしかも適度な弾力性で座り心地が最高です。
価格は10万円前後になるので、ザ・チェアと比べるとまだ手の届く範囲ではあります。
ナチュラルなダイニングには最適の1脚なのです。
アントチェア
(出典:http://www.sempre.jp)
アントチェアも北欧デザインの名作のひとつでアルネ・ヤコブセンのデザインしたものです。
形が蟻のように見えることからアリンコチェアとも呼ばれています。
アントチェアは、ウェグナーのザ・チェアやYチェアとはまた違ったデザインでシンプルでありながらもどこかモダンな佇まいをしています。
このあたりが北欧デザインでありながらもミッドセンチュリーに取り込まれたり、モダンスタイルに取り込まれたりする由縁です。
3本脚と独特のくびれのあるフォルムで弾力性を生み出し、見た目以上の快適な座り心地があります。
価格は5万円台からあり、ナチュラルにもモダンにも使えるグッドデザインです。
セブンチェア
(出典:http://www.sempre.jp)
アルネ・ヤコブセンのもうひとつの名作チェアがセブンチェア。
フォルムがアントチェアに似ているのは、アントチェアの後継作品として作られたからです。
アントチェアと同じように成形合板のシートはしなやかに体にフィットしてとても座り心地がよく、単に名作としてではなく、椅子として非常に素晴らしい物があります。
座り心地がいい上に、軽く、スタッキングもできるのでカフェなどでも使われることが多く、現代においてもとても人気のあるチェアです。
セブンチェアも5万円台から買えるので、買いやすい価格帯ではありますね。
スタンダードチェア
(出典:http://www.hhstyle.com)
プライウッド(成形合板)の背もたれとシートにスチールレッグを組み合わせたジャン・プルーヴェの代表作と言えるチェアです。
後ろ脚のスチールのボリューム感が印象的で、シンプルな中にデザイン性の高さを感じさせる逸品です。
こちらも商業スペースで目にすることが多い作品ですね。
スタンダードチェアにはSPと呼ばれるモデルもあり、SPはプライウッドではなくプラスチックに素材が変わります。
SPのほうが安くなり5万円台、プライウッドだと8万円台という価格感です。
シェルチェア
(出典:http://shobundo.biz)
言わずと知れたイームズのシェルチェア。
リプロダクト品も大量に出回っているので、どこにいっても置いてあるというくらい目にすることが多いです。
ミッドセンチュリーの定番でもありますし、シェルチェアを紹介しないわけにはいかないですね。
カラーバリエーションが豊富で、部屋全体をポップな雰囲気にしてくれますし、とてもおしゃれになります。
カラーを統一しても、バラバラにしてもいいですし、ダイヤモンドチェアやワイヤーチェアなど他のミッドセンチュリーチェアと合わせてもいい感じになります。
リプロダクトなどは1万円以下の格安で売られていますが、ハーマンミラーの正規品だと4万円くらいはします。
リプロダクト品でもよく出来ているものもありますが、あまりにもリプロダクト品が多いシェルチェアだからこそ正規品をおすすめします。
パントンチェア
(出典:http://www.sempre.jp)
パントンチェアもイームズなどと同時期のミッドセンチュリー時代に作られたチェアです。
シェルチェアは背もたれと座面の一体成形ですが、パントンチェアは脚も含めて一体成形というのが世界初だったのです。
もともとFRPでしたが、現在はポリプロピレン製なので見た目とは裏腹にとても軽いです。
体のラインに沿うようななめらかな曲線は美しく、そして座りやすいです。
この椅子、ファビオ・ノヴェンブレの「Him&Her」にもインスピレーションを与えたほどの名作。
チェアとしてももちろんのこと、美しいフォルムはオブジェ的な働きをしてくれます。
価格は3万円台と意外と安いのでおすすめです。
チェアワン
(出典:http://www.caina.jp)
ここまで紹介してきたチェアは実はすべて1950年前後のミッドセンチュリーの時代に作られたチェアばかりでした。
ここ最近でも名作チェアはたくさんあるのですが、そこからひとつチェアワンを紹介します。
三角形を組み立てたようなグラフィカルなデザインが目に焼き付く印象的なチェア。
現代の巨匠コンスタンチン・グルチッチのデザインです。
素材はアルミニウムが使われており、モダンな部屋にピッタリ合うダイニングチェアですが、アルミという素材上屋外使用もOKなのです。
しかもスタッキングできるので、バーベキュー用としても完ぺきです。
リビングチェアの名作
ゆったりと過ごせるような深く腰掛けて体を預けられるようなチェアが中心となっています。
ダイニングチェアに比べるとデザイン性が強く、チェア自体の価格も高騰する傾向がありますね。
名作チェアのインパクトは部屋全体の印象をガラリと変えるほどなので、リビングチェアには特にこだわりを持ちたいところです。
イームズ・ラウンジチェア
(出典:http://www.caina.jp)
リビングに置くチェアとして、イームズ・ラウンジチェアよりも先にくるものはありません。
ミッドセンチュリースタイルの部屋はこれがないと始まらないというくらいの圧倒的存在感とスタイリッシュかつ高級感溢れるデザイン。
数々の雑誌にも掲載され、憧れている方も多いと思います。
ただデザインがいいだけではないのが、人気の理由で15cmのウレタンを使ったクッションと適度な傾斜によって体の圧力を分散し、すわるだけで眠ってしまいそうなほど快適なのです。
レザーとウッドのコンビネーションは使い込むほどに味わいが深くなるので、一度手に入れたら絶対に手放せなくなる名作です。
価格は高く、60万円オーバーになりますが、リビングチェアの名作というのはどれも非常に高価なので、これから紹介する他のチェアと比べるとまだ安いと感じてしまいます。
ココナッツチェア
(出典:http://www.hhstyle.com)
イームズ・ラウンジチェアと同じくハーマンミラーで販売されているミッドセンチュリーの名作のひとつ。
ココナッツチェアはイームズではなく、ジョージ・ネルソンの作品です。
ココナッツの殻のような大きなシートは快適に座ること、自由に身動きができること、という2つの要望を叶えるために作られたものです。
リビングにおいた時のインパクトは抜群なので、ココナッツチェアを中心にコーディネートを考えるとユニークな部屋が出来上がると思います。
デザイン性、快適性ともに最高なのですが、価格が100万円くらいするのがネックですね。
エッグチェア
(出典:http://www.hhstyle.com)
またしてもアルネ・ヤコブセンのチェアの登場です。
名作となるとヤコブセン、ウェグナー、イームズあたりはどうしても外せません。
で、エッグチェアですが、いいところはオープンなチェアの中でもわずかながらのプライベート空間を創りだすような覆われたフォルムというところです。
家族と一緒に家にいる時でもゆっくり本を読みたいとか、何か考え事をしたいというときにはエッグチェアに座ってみてはいかがでしょうか?
また卵のような独特のデザインも一脚リビングにあるだけで、強烈な個性を発揮してくれるのです。
が、かなり高いです。
イームズ・ラウンジチェアよりも高価で80万以上します。しかも張地によっては100万円を超えてきます。
スワンチェア
(出典:http://www.hhstyle.com)
エッグチェアと同じくまたしてもアルネ・ヤコブセンのチェアです。しかもエッグチェアと同じ時に作られたものです。
デザインもよく似ていますよね、よくエッグチェアとセットで置かれています。
この直線が全く無いデザインというのは、スワンチェアが作られた当時は革新的なものでした。
クッション材としてウレタンが入っており、とても柔らかい座り心地になっています。
ただスワンチェアもエッグチェアと同様に価格はとても高価です。
50万円近くしますし、こちらも張地によっては100万を超えてくるのです。
ピーコックチェア
(出典:http://tabroom.jp)
孔雀が羽を広げたような形状のピーコックチェア。
木だけで出来ているので、いっけん痛そうにも見えますが、人間工学を考えられてつけられた背もたれの緩やかなカーブは想像を遥かに超えるほど体のラインにフィットしてくれます。
このチェアは特に女性のおすすめのチェアで、なぜかというとこのチェアはかつて女優やモデルが愛用し、一世を風靡したものでその優雅な佇まいは女性の美しさをよりいっそう引き立たせてくれるものだからです。
ウェグナーの作品でもありますので、お値段はかなりのものです。
大体100万円くらいと思ってください。
CH445 ウイングチェア
(出典:http://www.hhstyle.com/)
快適に過ごすチェアの代名詞がウイングチェアですが、CH445は快適性を追求した見事なウイングチェアです。
このチェアもウェグナーの作品で、ファブリックもしくは革張りのシートにスチールの脚とウェグナーにしては珍しくモダンなチェアとなっています。
カラーバリエーションも豊富なので、いろいろなコーディネートスタイルを作ることができます。
座るという点でも快適だし、コーディネートという意味でも合わせやすい、使い勝手抜群のリビングチェアです。
ただ価格は60万円くらいしますので、簡単に手が出せるものではありませんね。
ボールチェア
(出典:http://www.caina.jp/)
ユニークな部屋が作りたい方ボールチェアは必見です。
ひとつの球体に穴が空いていて、そこに座るという近未来的なデザイン。
周りの騒音を70%ほど遮断してしまうという完全なるプライベード空間を自宅のひとつのチェアだけで作り上げてしまいます。
エッグチェアの比ではありません。
ただあまりにも個性的すぎるデザインがゆえにボールチェアを中心としたコーディネートでないと部屋のバランスをとるのがとても難しく、まさに今のお話のコンセプトである『名作チェアを中心のコーディネート』のど真ん中にあたるチェアでもあります。
エーロ・アールニオの作品なのですが、他にもバブルチェアという透明の球体でぶら下げる形のチェアもあります。
価格は100万円とやはり高くなりますが、それだけの価値はありますね。
プルースト
(出典:http://tabroom.jp/)
もうひとつ変わり種のチェアをご紹介します。
猫脚に古典的な装飾、カーブを描くアームといった、いかにもクラシックといったデザイン。
でも普通のクラシックチェアではありません。
このチェアはポリエチレンでできているのです。回転成形を使って、クラシカルなディテールを再現した挑戦的な作品です。
クラシックスタイルに合わせてもおもしろいですし、モダンスタイルの部屋のアクセントとしてもかなり面白い作品です。
ここまでご紹介してきたリビングチェアの中ではまだリーズナブルと言えるほうで15万円くらいの価格感になります。
ボヴィスト
(出典:http://www.hhstyle.com/)
最後は可愛らしいクッションチェアです。
日本人の感覚には一番あったリビングチェアはこういったものかもしれませんね。
ビーズが入ったクッションにアートな刺繍が施されたヘラ・ヨンゲリウスの代表作。
ソファに座った時のオットマン代わりにも使えます。
価格も7万円くらいと高いのか、安いのかは微妙なところもありますが、これまで見てきたものを考えるととてもお手頃に感じられます。
ワークチェアの名作
ワークチェアの代名詞となっているのはハーマンミラーですね。
イームズの時代から研究を重ねてきて、現代でも革新的なワークチェアを作り続けてきています。
重要なのはいかに楽に座り続けることが出来るかという快適性と機能性。
いいワークチェアに巡りあうと肩こりや腰痛、頭痛そういった疲れからくる体の諸症状も大幅に改善してきます。
長時間の座り仕事をする人は、多少高くても絶対によいワークチェアに座ることをおすすめします。
アーロンチェア
(出典:http://www.hermanmiller.co.jp/)
ワークチェアに革新をもたらしたのアーロンチェア。
20年以上も前に発表されてから改良を重ね続け、現在でもワークチェアの代名詞ともいえるほど浸透しているチェアです。
何が素晴らしいか?と問われると、
高度な人間工学(エルゴノミクス)に基づいて、背骨が正しいカーブを描くことをサポートし、体重をシート全体に分散させるので背中が痛くならないのです。
そして体の動きに合わせて自然とチェアも連動するので、とにかく自然体で座り続けることができます。
また、ワークチェアは昇降式になっているので、1サイズ展開がほとんどなのですが、アーロンチェアは3サイズ展開になっています。もちろん高さ調整もできます。
自分の体の大きさに合わせてチェアを選ぶことができるというのも嬉しいところ。
体に的確にフィットするアーロンチェアに座ると集中力の持続も助けてくれます。
長時間のデスクワークだとどうしても集中力が切れてしまうものですが、アーロンチェアで作業をすると集中力が持続するので作業効率を圧倒的に向上することができます。
価格は15万円くらいなので、作業効率との費用対効果で考えればかなり安い買い物になるかもしれません。
セイルチェア
(出典:http://www.hermanmiller.co.jp/)
アーロンチェアと同じくハーマンミラーのワークチェアの傑作です。
2010年発表なので、アーロンチェアよりはかなり新しいワークチェアですが、すでに次世代のワークチェアの代表格としての地位を確立しています。
アーロンチェアと同様に人間工学(エルゴノミクス)に基づいて、より手の届く価格による最高のワークチェアを作ろうという思いで作られたのがセイルチェア。
背もたれにはフレームはなく、吊り橋の原理を応用した3Dインテリジェントサスペンションによってあらゆる体型の人にフィットするように作られています。
また、ワークチェアの課題ともなるデザイン性というところもセイルチェアは見事にクリアしています。
アーロンチェアのような一般的なワークチェアのイメージを覆すような高いデザイン性は、リビングなどにおいても全く違和感なく溶けこむほどにおしゃれです。
こうしたデザインの進歩も次世代のワークチェアと呼ばれる理由のひとつです。
価格もアーロンチェアの半分くらいなので、コストパフォーマンスとしてはとても高いチェアになっています。
メダチェア
(出典:http://www.hhstyle.com/)
かつてアルファロメオのデザイン部長もつとめ、Kartell(カルテル)のテクニカルディレクターにもなったアルベルト・メダが自分の名前をつけてしまったほどのチェアです。
デザインはザ・オフィスチェアという感じのシンプルなもので、ボタン一つでリクライニングや椅子の高さを変えることができるのでワークチェアとしての完成度はとても高いです。
アルミニウムのフレームなので軽いというのも特徴のひとつで、光沢感が高級感を演出してくれます。
ただ、価格的には30万近くするので、座り心地やデザイン性を考えるとアーロンチェアやセイルチェアを買ったほうがいいかなというのは正直なところです。
ワークチェアの最高峰 RECARO A-Class
RECAROというブランドを知っていますか?
自動車向け、飛行機向けにシートを作っているブランドで世界的にも認められる超高品質シートを作っていて、例えば自動車だとポルシェカレラGT、フェラーリ599GTB、ベンツA45-AMG、マツダのロードスターRS、Lotus Evora、日産GTRなどのハイエンドスポーツカーに採用されているのです。
そんなレカロから満を持して登場したワークチェアがA-Class。
まさにプレミアムを象徴するような極上のワークチェアとなっています。
素材にはノーザンプトンという最高級の本革とマイクロファイバー とアルカンターラを使っています。
特にシートの中央部分のアルカンターラは、スエードのような繊維になるのですが、その繊維の細さは髪の毛の1/400という超極細繊維。
まるで赤ちゃんのうぶ毛のような繊細なタッチになっているのです。
しかし、レカロの魅力はこうした素材の高級感だけではないのです。
最高級のワークチェアと言われるアーロンチェアを凌ぐと言われる極上の座り心地です。
考えてみてください。
RECAROはもともと飛行機のビジネスクラスや高級車のシートに使われているのです。
その技術をワークチェアに応用したらどうなりますか?
絶対快適に決まってますよね?
エグゼクティブな方々が10時間以上ものフライト、長時間の運転でも快適に楽に座っていられる技術がワークチェアに詰め込まれているのですから。
RECAROもハーマンミラー同様に人間工学(エルゴノミクス)に基づいた設計を行っています。
ドイツのAGR(ドイツ脊椎健康推進協会)の認定も受けていて、腰椎を支えるランバーサポート、背骨を支える背の高いバックレスト、ダイヤル式の無制限リクライニング、ラバーマットサスペンションシステムによって地面からの振動を吸収します。
価格は50万円を超えるオフィスチェアの中ではとびきりの高級品になります。
しかし、それだけの価値がある『究極のワークチェア』と言えるでしょう。
スツールの名作
スツールって目立たないですが、縁の下の力持ちのような存在であるとすごい便利です。
名作と呼ばれるスツールもデザインはとてもシンプルです。
スツール60
(出典:http://www.sempre.jp/)
世界で800万脚以上売れている超ロングセラー作品です。
1932年に発表されたものなので、もうそろそろ100年に近づこうとしている作品ですが、現在でも売れ続けています。
その理由は、シンプルなデザインと手頃な価格感です。
アアルトレッグと呼ばれる独自の曲げ木技術を使った3本の脚と丸い座面のみ。
最近では、様々なデザイナーがリメイク版を発表したので、装飾的なスツール60も出ていますが。
そして、2~3万円で買えるというのも数が売れている理由ですね。
スツールは補助的な役割がほとんどなので、あまりデザイン性は求められません。
スツール60のように典型的な北欧デザインで、見ただけでそれと分かることがいいのです。
ウルムスツール
(出典:http://www.hhstyle.com)
スツール60よりもさらにシンプルなスツールの名作としてウルムスツールです。
シンプルなのは、当然でバウハウスの理念を受け継ぐウルム造形大学の初代学長になったマックス・ビルのデザインなのです。
3枚の板に細い棒だけという、なんの取り柄もないスツールですが、これがなかなか便利です。
縦にしても横にしても使えるし、割りと面が広いのでサイドテーブルとしても使いやすく、棒の部分を持てば持ち運びもラクラクなのです。
スツールは玄関やベッドサイド、キッチンと移動させることも多くなるので、持ち運びやすいというのはポイントとして大きいですね。
4万円近くするのは、少し高いかなとも感じられると思いますが、デザイナーズ家具の相場を考えれば妥当な価格だと思います。
バタフライスツール
(出典:http://www.hhstyle.com)
柳宗理のバタフライスツールはとても有名ですね。
デザイナーズ家具が好きな方なら、一度は見たことがあるデザインです。
成形合板を曲げるという技術を使って作り出した曲線美はほとんど芸術の域に達しています。
このあたりは日本伝統の美意識がスツールのデザインにも反映されていると感じますね。
バタフライスツールは、和室だけではなくミッドセンチュリーやモダンな部屋でも違和感なく溶け込むので、コーディネートとしての幅はとても広いです。
ちょっとした椅子ではなくて、コーディネートの主役級の活躍をしてくれるスツールです。
アウトドアチェアの名作
ルイ・ゴースト
(出典:http://www.hhstyle.com)
ルイ・ゴーストはポリカーボネートの一体成形で雨、風に強いので屋外で使用されることも多いですが、カフェやレストランでもとても良く見かけるチェアです。
バロック調のクラシカルなデザインとポリカーボネートという現代的な素材を組み合わせた意表をつくような設計がハマっている感じです。
フィリップ・スタルクのデザインでKartell(カルテル)から発表されているもので、次に紹介するラ・マリーもそうなのですが、とても相性の良いデザイナーとブランドの組み合わせですね。
ラ・マリー
(出典:http://www.sempre.jp/)
ルイ・ゴーストと同じくポリカーボネートの一体成型ですが、ラ・マリーのほうがよりシンプルでいわゆる普通の椅子を透明にしました、というイメージです。
ポリカーボネートの特徴としてはとても丈夫なので、ルイ・ゴースト同様に屋外使用も全く問題無いですし、スタッキングもできるのでこちらもオープンカフェなどでよく使われています。
無色透明のチェアなので、座るとまるで宙に浮いているかのように見えるのがとてもおしゃれなのです。
ベジタル
(出典:http://www.hhstyle.com)
名前から分かるように植物からインスピレーションをうけてデザインされたチェアです。
まるで葉っぱの葉脈のような背もたれのラインがなんとも言えないデザインでとても美しいです。
ポリアミド樹脂を素材に使用した射出成型によって作られているので、強度も申し分なく屋外での使用にとても適しているといえます。
ネイビーチェア
(出典:http://www.gnr8.jp/)
ネイビーチェアは、アメリカ海軍の船の上で使われることを想定してできたチェアなので丈夫さは軍を抜いています。
海の潮にさらされても錆びない100%アルミニウムで、とても軽いのにスチールの3倍の強度を持つのです。
ネイビーチェアだと庭にほったらかしにしていても、全く問題ないほど劣化しないのがいいですね。
デザインはスタンダードなので、部屋の中に置く場合でもモダンスタイル、シンプルスタイルなどある程度どんなスタイルでも溶け込んでくれる適応性があります。
20脚以上の名作チェアをご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
お気に入りのチェアは見つかりましたか?
しかし、ここに挙げたチェアというのはまだまだ名作と呼ばれるチェアの一部でしかありません。
ご紹介しきれなかった名作チェアも実はたくさんあります。
気になる方はこちらからもっと多くの名作チェアをチェックしてみてください。
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高級家具・インテリアリサーチ部門
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