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フェイス・コネクション Overview

バルマンのクリエイティブチーム参入で再ブレーク

　 FAITH CONNECTION（フェイス・コネクション）というブランドを聞いたことがあるでしょうか？
近年ではラグジュアリーストリートブランドのネクストジェネレーションとして頭角を現してきているブランドなのですが、女性のほうがご存知の方が多いかもしれません。

ブランドのデビューとしては2004年、ウイメンズのブランドとしてパリから発信し、2年ほどの間に世界的なアーティストやセレブから愛用され一気に知名度を上げました。

ただ逆にこう聞くとなぜラグジュアリーストリートとして脚光を浴びているのか疑問に感じられると思いますが、その理由は2015年AWから元BALMAIN（バルマン）のクリエイティブ・ディレクターを務めていたクリストフ・ドゥカルナン率いるデザインチームがブランドに加わり、大幅なリブランディングを推し進め、メンズコレクションを発表したからなのです。


　 バルマンといえばオリヴィエ・ルステンによるブランドの若返りが顕著ですが、実はその前にドゥカルナンによって築き上げられたのが今のバルマンにあるバイカースタイル。
そういった意味ではフェイス・コネクションがストリートメンズウェアの世界で大きな注目を集めているのは当然の結果と言えるでしょう。

2015年というとオフホワイトやパームエンジェルス、アリクスなどがスタートした時期とほぼ同じでもありますし、時代の流れとリブランディングのタイミングが重なり、ラグジュアリーストリートのニューカマーとして取り上げられています。

あまり知られていないフェイス・コネクションの真実の歴史

　 FAITH CONNECTION（フェイス・コネクション）には二つの歴史があるといっていいでしょう。

ひとつは2004年にイラン・ドゥルイによって設立された時期、設立当初からストリートをベースにした手作業のクリエイションが評判を呼び2年ほどで大ブレークを果たし一躍時のブランドとなりました。
しかし、ブランドの騰落というのは激しいのでいつしか表舞台から姿を消していき、名前を聞くこともなくなっていました。

そしてもうひとつは2015年の元バルマンのデザインチームが参加した後です。
しかし、実は2015年の元バルマンのデザインチームが加わる前からこれは既定路線だったのかもしれません。

2009年から2012年にかけて投資家アレクサンドル・アラードによって買収されたフェイス・コネクション。
この時期に創業者のイラン・ドゥルイはブランドを去っています。
2012年にアメリカ女優のアナベル・デクスター・ジョーンズとのコラボレーション、2013年にはブラジル人モデルのイザベリ・フォンタナとのカプセルコレクションを行っていきました。
その後、戦略的なブランド再生戦略として店舗閉鎖を行い、クリエイティブチームを刷新しています。


　 そして、満を持して2014年にメンズコレクションを発表することになるのですが、このタイミングでクリストフ・ドゥカルナン率いる元バルマンのデザインチームが指揮をとります。
なぜこれが既定路線だったかというと、アレクサンドル・アラードは2005年にバルマンに投資をしており大株主となっていたのです。

ドゥカルナンがバルマンのクリエイティブ・ディレクターに就任したのは2006年、そして辞めたのが2011年なのでドゥカルナンがバルマンに入り、その後フェイス・コネクションに移ったというのはアレクサンドル・アラードの影がちらついてなりません。

ただ、大きな誤解がありクリストフ・ドゥカルナンはフェイス・コネクションのクリエイティブ・ディレクターに就任したわけではありません。
あくまで元バルマンのデザインチーム全体でクリエイションを行っており、ドゥカルナンはその一部であり言うなればOne of Themな存在だったのです。


　 そして、2018年にフェイス・コネクションの初めてのクリエイティブ・ディレクターが発表されましたが、それはドゥカルナンではなくニコラ・ヴァサリ。
自身でNVDSというブランドをディレクションしており、同時にフェイス・コネクションのクリエイションにも協力をしています。
それまではクリスチャン・ディオール、イヴサンローランではステファノ・ピラーティ―のもとで働き、バルマンでは2007年から2011年にかけてクリストフ・ドゥカルナンのもとでデザインヘッドを務めていました。

2019年以降はニコラ・ヴァサリの単独クリエイティブという形に移行しています。

インパクト十分のグラフィック＆ミックスカルチャースタイル

　 フェイス・コネクションのスタイルに関しては2015年以降のスタイリングがメインとなりますが、メンズ初となった2015年秋冬コレクションによってパリで最も話題のブランドへと駆けあがりました。

「ファッションはストリートからはじまる」というコンセプトで、ブランドのDNAであるロックをはじめパンク、プレッピー、ミリタリー、スポーツウェアを融合したコレクションを展開。
レザーやデストロイデニム、グラフィックプリントアイテム、それらに似つかわしくないはずのテーラードテイストのジャケットやコートなどをミックスさせたロックでモードなワードローブを披露しました。


　 ウィメンズも発表され、キム・カーダシアンといったファッションセレブのインスタグラムでも紹介され、バーニーズニューヨークやサックスフィフスアベニューなどの影響力のあるセレクトショップなどでもすぐに最前列に陳列されました。

そして、フェイス・コネクションを語る上で絶対に欠かせないのは、グラフィックアイテム。
落書きアートのような疾走感、レターなどを多用し、カラーもデザイン奇抜、それでいてかなりかっこいいというのがポイント。


　 特に2016年のヴィンセント・ダカンによって描かれたストリートグラフィティ。
これはもう完全に芸術の域に達していてアイテムがアートピースとなっています。
アイテムひとつで完全にコーディネートを引っ張ることが出来ますし、狙っているというよりも地でいってる感じがするので悪目立ちせずに素直にいいと思えるものです。

ストリートの様々なカルチャーをミックスしたスタイルは、90年代を彷彿とさせるグランジスタイルにもみえますが、ハードとレトロを織り交ぜたような独特のテイストは他に類をみない魅力を感じさせてくれます。

日本でのさらなる展開も期待

　 フェイス・コネクションの日本への上陸は2015年のメンズコレクションの後にフレッドシーガル代官山で展開がスタートしました。

まだまだ日本での知名度という点では、それほど高くはありませんがラグジュアリーストリートの浸透と共にじわじわと人気化してきています。
取り扱いをしているセレクトショップも増えてきていますし、SSENSEやFarfetchのような海外系通販だけでなく日本のオンラインショップや楽天のようなオンラインモールでも取り扱いが増えてきています。


知る人ぞ知るブランドという域を出ていないので、ブランドにこだわる人からすると物足りないかもしれませんが、メンズ、レディース共にかっこよさという点ではポイントは相当高いです。 他の人被りたくない、ラグジュアリーな個性的ファッションをしたいという人にも向いているでしょう。

一度沈んでいるブランドでもあるので、今後Next Gen Luxury Streetとしてさらなる飛躍ができるのか注目です。

この記事を監修しているのは？

ラグジュアリーブランド・ハイファッション調査部門

ラグジュアリーブランドやハイブランドでの勤務経験者、雑誌編集者、とにかくラグジュアリーブランドやハイブランドが好きなメンバーで編成。
好みや主観が入ったり、否定的な意見が存在するのは、ハイブランド.comの味であり、外部からの影響から独立しているからこそ出来ること。
世の中のトレンドや流れを敏感に察知し、常に新しい情報を発信出来るように奮闘しています。

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