ヴィクトリアン様式データ
- 年代:19世紀後半~20世紀初頭
- 主な地域:イギリス
ヴィクトリアン様式の解説
ヴィクトリア女王時代のスタイルで産業革命後、資本主義発展の絶頂期を迎えたイギリスでロココ、エリザベス、ゴシック、ネオクラシック、ルネサンスなどさまざまな様式がリバイバルされました。
建築
建築の様式をめぐって古典派とゴシック派が対立するなど、過去のさまざまな様式が建物の用途やイメージによって使い分けられました。銀行や博物館には権威をシンボライズするためにギリシャ様式を用いたグリークリバイバルを教会や市庁舎、大学には大規模建築に適用しやすい重厚なスタイルのゴシックリバイバル、事務所やクラブ建築にはデザインを重視したルネサンスリバイバル、劇場にはドラマチックな演出にふさわしいネオバロック様式が用いられました。
室内装飾
産業革命を経て、工業製品が徐々に浸透してきます。ウィリアム・モリスやチャールズ・イーストレークなどが活躍しました。典型的な内装には、床に大きな花柄のカーペットを敷き、カラーは、モーブ、オールドローズ、ゴールド、フォレストグリーン、バーガンディー、黒、赤みの茶などが使われました。
ファブリックは、レース、ベルベット、タペストリー、チンツなどで特に椅子の張り地としてはベルベットが好んで使われました。
窓掛けは、リバイバル様式によって異なりますが、ドレバリーやスワッグの組み合わせが各種見られ、アシンメトリーのバランスやフリンジをカーテンのアクセサリーとして多用しています。
家具
各様式の模倣、混合による作品が顕著な時代です。
手工業から機械生産への過渡期にあたり、表現上においてはさまざまな意味で混乱期と言えます。パピエマシェの家具などが流行したのも、その表れと言えそうです。
素材にも鉄や真鍮が使われるようになり、椅子の座綿にはコイルスプリングが発明されたため、アップホルスタリー家具が盛んに作られ始めました。