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デザイナーストーリー

他とは違う道をいく北欧デザインの鬼才

1929年にデンマークのオスターヴゥローに生まれ、当初は画家を目指していたが、祖父の勧めによりヤーイングに住む家具職人グロンベックの下に弟子入りをします。
1948年に修行を終えたケアホルムはハンス・J・ウェグナーの事務所に勤務し、北欧デザインの巨匠から実践でデザインを学びつつ、コペンハーゲン工芸学校の夜間コースで家具デザインを学びます。
1952年にコペンハーゲン工芸学校を卒業後、Fritz Hansen（フリッツ・ハンセン）に入社し、1年ほど勤務します。
1955年からはコペンハーゲン王立美術アカデミーで教鞭を執ります。その間もエリック・ヘアロウ、パレ・スユエンソンの事務所に勤務し実務と教育の両立を図っていました。

ハンス・J・ウェグナーの事務所に勤務していた時に知り合ったコル・クリステンセン社の創業者であるE・コル・クリステンセンと家具の製造・販売において協業し、1955年に「PK-22」を発売します。
「PK-22」は金属製の脚部分の上に皮・藤の座面が載った椅子で、ミース・ファン・デル・ローエのバルセロナチェアからの強い影響が伺える椅子でした。

「PK22」 1955年

（出典:http://www.fritzhansen.com/） 1956年にE・コル・クリステンセンの紹介でラングステッドに自邸建設のための土地を取得し、家屋は妻のハンナ設計によるもので、ケアホルムは自邸のための家具のデザインを始めます。こうして製作されたのが「PK-38」「PK-54」「PK-9」「PK-1」など10種類の家具でした。

1960年第12回ミラノトリエンナーレにおけるデンマークパビリオンで絶賛を浴びたケアホルムは1973年デンマークデザイン協会会長に就任します。

当時の北欧デザイナーが木を素材としたイメージを世界で確立させてきたなか、スチールなどの金属を積極的に使い、繊細で鋭くそれでいて 優しさのあるスタイルで、その独自性を確立していきます。
ケアホルムはその独自のスタイルからコンパッソドーロ賞、ルニング賞、デンマーク・インダストリアルデザイン賞など数々の権威ある賞を受賞している北欧を代表するデザイナーです。

「PK-24」 1955年

（出典:http://www.fritzhansen.com/） ル・コルビジェのシェーズロングをリデザインしたもので、誰もが認める20世紀を代表する名作椅子です。ラタン張りの本体とステンレス製のベース部分からなり、角度が調整できるようになっています。 別名「ハンモック」とも呼ばれケアホルムが自宅のためにデザインした家具の一つです。

「PK80」1957年

（出典:http://www.fritzhansen.com/） 必要最低限のデザインで最大の価値を表現するために作られたベンチです。
どんな空間にあっても溶け込んでしまうデザインはMoMAでも採用されています。

「PK-20」 1967年

（出典:http://www.fritzhansen.com/） シート部は、フレキシブルなマットクローム仕上げのスプリング スチールのベースに支えられています。
当初PK20は、革製家具を生産する際に残るひも状の革部分を最大限に利用しての生産が検討されていました。しかし実際には、革製家具生産の際に残る革に均等な革質を得ることは難しく、高品質な家具を作るために残り革の利用は断念するに至りましたが、現在のPK20には最高品質の革のみが使用されています。ロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート博物館においてパーマネン トコレクションとなっています。

「PK-27」 1971年

（出典:http://www.fritzhansen.com/） ジョン・F・ケネディセンターのためのイージーチェアをリメイクした椅子です。
1973年にこの椅子でデンマークインダストリアルデザイン賞を受賞しています。

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この記事を監修しているのは？

高級家具・インテリアリサーチ部門

元建築家や現役インテリアコーディネーターや家具販売店員で編成。
国内外の高級家具やブランドなどを徹底的にリサーチし、定番からまだ見ぬブランドや家具を発掘しています。
世の中のトレンドや流れを敏感に察知し、常に新しい情報を発信出来るように奮闘しています。

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