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ディオール Overview

クリスチャン・ディオールが作り上げた偉大なブランド

（出典:http://www.dior.com/） ディオールは、1946年のメゾン創業以来、フランスのファッションブランドの先頭を駆け抜けてきたブランドです。
クリスチャン・ディオールがメゾンを解説したのが、1946年で1957年に53歳の若さで亡くなるのですが、ディオール存命中のわずか10年ほどの間に一気に世界のファッション業界のトップにまで駆け上がりました。

そして、ディオール亡き後も後にモードの帝王とまで言われることになる若き天才イヴ・サンローランや異端児ジョン・ガリアーノ、オートクチュール未経験のミニマリスト ラフ・シモンズ、初の女性クリエイティブ・ディレクターとなったマリア・グラツィア・キウリなど数々の名デザイナーがディオールの後を引き継ぎ、伝統を活かし、また伝統を壊しながらディオールというブランドを作り上げてきました。

ディオールの歴史①「全てはクリスチャン・ディオールから」

ディオールのライバルといえば、やはりシャネル

（出典:http://www.dior.com/） フランスにはルイ・ヴィトンやエルメスといったトップラグジュアリーブランドがありますが、その源流はトランクだったり、馬具だったりと比較するには少し毛色が違うでしょう。

ディオールとよく比較されるのはシャネルで、ココ・シャネルが女性解放を目指してコルセットを取り払ったシャネルスーツを生み出したのに対し、第2次世界大戦でココ・シャネルが一時的に引退している間に頭角を表したのがクリスチャン・ディオールなのです。
このディオールのニュールック革命によってシャネルが改革し、取り払ったはずのいわゆる女性的なファッションがふたたびオートクチュールの主流となり、建築的ともいえる構造体をもったニュールックによって世界を席巻したのがディオールなのです。

こうした関係性もあり、特にココ・シャネルはクリスチャン・ディオールをかなり敵対視していたことも事実でディオールとシャネルは度々比較されるのです。
また、同じくオートクチュールのレディースファッションを本流とし、香水やバッグなどの副次的なビジネスを展開しているという点でも非常に似通ったブランドと言えると思います。

ビジネスの多角化とライセンス事業

（出典:http://www.dior.com/） ラグジュアリーブランドにとってビジネスの多角化やライセンス事業というのは、いい面も悪い面もあるというのが一般的な見方だと思います。

多角化に関して近年は特に顕著になってきており、ファッションブランドや革製品ブランドが時計やジュエリー、化粧品などに進出することは特に珍しくもありません。それどころか家具や飲食事業など全く別ジャンルに進出するというのも出てきています。
これ自体はあまり失敗することはなく、むしろブランド力を利用してより高採算のビジネスを展開するという意味でも成功しているケースが多いです。

ディオールに関してもメゾンをオープンして、その同じ年にはパルファン クリスチャン・ディオールという香水事業を立ち上げ、化粧品の販売など成功を納めています。

特筆すべきはライセンス事業で、通常ライセンスビジネスというのはライセンス契約先が製造、販売を行うのでブランドを貸す形で収益を得られるのでかつてヨーロッパではライセンスビジネスが大流行しました。
ピエール・カルダンやバーバリー、ラルフローレン、ヴァレンチノなど様々なラグジュアリーブランドがライセンスビジネスの甘い蜜に群がり、そして大量にブランドロゴがついた物が溢れ、ブランドイメージが失墜するという失態をしています。

ディオールに関しても積極的にライセンスビジネスを展開し、ネクタイ、アクセサリー、ソックス、アンダーウェアなど様々なライセンスを世界各国と結び、クリスチャン・ディオール時代にその数は200を超えていたといいます。
日本ではカネボウとライセンス契約を結び、日本の顧客にディオールブランドを浸透させることに成功しました。
ディオールは、ライセンスビジネス、そしてその先に発生するであろう模倣品やコピー品まで視野に入れてビジネスを考えており、数少ないライセンスビジネスの成功ブランドであるといえます。

ビジネスセンスにも長けたクチュリエ

メンズウェアに衝撃を与えたディオール・オム

（出典:http://www.dior.com/） ディオールというとメンズウェアがとても有名です。
それはなぜかというと、天才というのがふさわしいデザイナー エディ・スリマンによって作り上げられたとてもスキニーなスタイリッシュなスタイルが確立されたからです。
エディ・スリマンが退任してから、その弟子ともいえるクリス・ヴァン・アッシュが後を継いで少し落ち着いてはいますが、2001年のオム立ち上げからエディ・スリマン退任までの7年間のディオール・オムコレクションは伝説ともなっているほどです。

ディオール・オムはなかなかラグジュアリーブランドの服にまでは手を出せなかった男性にその素晴らしさを認識させるという意味では業界を変えたと言っても過言ではないほどのものです。

エディ・スリマンはあまりにも偉大で、その存在感というのは計り知れませんが、その後もディオール・オムには才能溢れるデザイナーが歴任しています。

エディ・スリマンの後を継いだのはクリス・ヴァン・アッシュでこれまでのスタイルを踏襲しつつも、クラシカルでスーツスタイルに重きを置いたエレガントなコレクションへとシフトしていきました。

クリス・ヴァン・アッシュは11年間もの長きにわたりディオール・オムを支えましたが、2018年には後任としてキム・ジョーズがクリエイティブ・ディレクターに就任しています。
キム・ジョーンズというとAルイ・ヴィトンを7年間も率いたほどの人物で、あのジョン・ガリアーノからも注目されていたほどのデザイナー。



（出典:http://www.dior.com/） キム・ジョーンズはDior Homme（ディオール・オム）というブランドをDior（ディオール）に統合するという改革を断行し、さらにルイ・ヴィトンで行ったSupreme（シュプリーム）との伝説のコラボレーションを思い出させるようなNIKE（ナイキ）やSTUSSY（ステューシー）、ALYX（アリクス）といったストリートカルチャーとのコラボレーションをDior（ディオール）で実現し、新たな伝説を築いています。

メンズウェアに革命を

ディオールは、レディース、メンズファッション、そしてバッグや財布などのレザーグッズ、そしてコスメ、ウォッチとオートクチュールの伝統と憧れをビジネスの多角化によって、より広く一般に届けてくれる数少ないトップブランドなのです。

→次は、ディオールの歴史①「全てはクリスチャン・ディオールから」

この記事を監修しているのは？

ラグジュアリーブランド・ハイファッション調査部門

ラグジュアリーブランドやハイブランドでの勤務経験者、雑誌編集者、とにかくラグジュアリーブランドやハイブランドが好きなメンバーで編成。
好みや主観が入ったり、否定的な意見が存在するのは、ハイブランド.comの味であり、外部からの影響から独立しているからこそ出来ること。
世の中のトレンドや流れを敏感に察知し、常に新しい情報を発信出来るように奮闘しています。

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