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3.1 フィリップリム Overview

3.1 フィリップリムってどんなブランドなの？

　 3.1 Phillip Lim（スリー・ワン フィリップリム）というブランドをご存じだろうか？
このページを見ているということは、フィリップリムを知っていてブランドのアイテムが欲しいと思った人か、もしくはフィリップリムというブランドそのものを詳しく知りたいと思っている人でしょう。

まずフィリップリムというのは、デザイナー フィリップ・リムが自身の名前を冠して立ち上げたブランドであり、一般的にハイブランドといえる価格帯の商品を取り扱うブランドです。
ただ、よく言われるラグジュアリーブランド。例えばルイ・ヴィトンやエルメスやグッチなどと比べると価格帯的には少しお手頃で手に入れやすい「コンテンポラリー」というジャンルに属していると言えるでしょう。

このクラスのブランドを総称してコンテンポラリーと呼んでいますが、その定義を作ったのがフィリップリムそのものだといってもよいくらいです。


　 フィリップリムのスタイルは、「イージー」「シック」「クール」といったオートクチュールにみられるような奇抜なファッションではなく、現代に生きるリアルクローズを目指すもの。
自分たちのデザインに着る人をはめ込むのではなく、着る人自身を洗練させ自然体でいられるような服作りを目指しています。
普通の人が頑張って手を伸ばせば買えるギリギリのラインでのモダンラグジュアリーを目指しているのです。

ちなみにブランド名の前についている『3.1』って何だと思います？
これは誰もが不思議に思うところで、一体何でブランド名の前に数字がついているんだろう？
もしかするとアルファベット順にブランドを並べた時に前に来るから？なんていうことでないのです。
聞いてみるとすごく単純な話なのですが、フィリップ・リムと共同経営者のウェン・ゾウが2人とも31歳の時にブランドを立ち上げたからなんですね。

そう聞くとなんだかロマンチックな数字に感じますよね。

まだまだ若いブランド「3.1 Phillip Lim」

　 フィリップ・リムは1973年にアメリカのカリフォルニアで生まれた中国系アメリカ人です。
父親はポーカープレイヤーでパーマにブーツカットのジーンズ、クロコダイルシューズというド派手なファッション、一方で母親は修道女のような生真面目な女性という両極端な両親のもとで育ちました。
家では中国語、外では英語という幼い頃から東洋と西洋の2つの世界観の中に生きてきたことが、彼のファッション哲学の根源になっていきました。

カリフォルニア大学の卒業後にカティヨン・アデリのもとでデザインアシスタントとしてキャリアをスタートさせ、その後にロサンゼルスのブランド「ディベロップメント」で10年間ヘッドデザイナーを務めました。

2005年にウェン・ゾウと3.1 Phillip Limを立ち上げるのですが、実は2人はかなり前から友人だったのです。

2人の出会いは、20代半ばの時で当時すでにウェン・ゾウはテキスタイルカンパニーの経営者でした。
ウェン・ゾウは当時のビジネスパートナーにディベロップメントにすごくいいデザイナーがいるから会うべきだと言われていたのです。

そして2人が初めて出会ったのはパリのテキスタイル見本市のプルミエール・ヴィジョンでのこと。
ウェン・ゾウはパーティを主催する立場だったのですが、着る予定だったドレスのスパンコールがほどけてしまい、その時にフィリップ・リムに助けを求めて、彼はそれを直してあげました。
ここから2人の友人としての関係が始まります。

そしてフィリップ・リムがディベロップメントを辞めた時にウェン・ゾウがフィリップをニューヨークに誘い、2人が「31歳」の時に3.1 Phillip Limを立ち上げたのです。

2005年のファーストコレクションは女性のダイバーシティ（多様性）やモダンラグジュアリーを表現し、若さを強調したエレガントな定番路線にちょっとしたエスプリを効かせたことで1大センセーションを巻き起こしました。

さらに2006年、2007年には将来有望な若手デザイナーに贈られるCFDA/ヴォーグ・ファッション・ファンド・アワードにてファイナリストにも選出されたのです。

その後もメンズコレクションの展開のスタート、数々のコラボレーションを実現させ、2007年6月のニューヨークの路面店オープンを皮切りに2008年4月には東京・青山に直営店をオープン。
キッズライン、アイウェア、シューズ、アンダーウェアなどの商品ラインナップを拡充し、いまでは世界50か国以上、500近いブティックや百貨店で取り扱われほどのブランドへと成長を遂げました。

数々のコラボレーションを実現する才能

フィリップリムは様々なコラボレーションを成功させてきました。


　 日本でもおなじみなのが、ユニクロとのコラボレーションで2007年に「デザイナーズ・インスピレーション・プロジェクト」として8組のデザイナーとコラボレーションをしました。
そのうちの一つがフィリップリムだったのです。
この時には他にもHALBやkINO、G.V.G.V、アリス・ロイなどが参加していました。


　 もうひとつ有名なのは2009年の「Six Scents（シックス・センツ）」プロジェクトへの参加。
Seven NewYorkのジョセフ・クォルターナがキュレータとなり、世界的なフレグランスメーカーgivaudan（ジヴァダン）とパートナーシップを結びました。
フィリップ・リムを含む6人のデザイナーが同じく6人の調香師とコラボレーションして6つの限定フレグランスを完成させるというプロジェクトで、フィリップ・リムは「フレッシュで官能的なユニセックスなフレグランス」を発表しました。

他には大手デパートチェーンのTarget（ターゲット）とのコラボレーションでは低価格帯でのアイテムを100点以上もデザインし、展開しました。


　 スポーツブランドFILAやブーツで有名なUGG（アグ）、ムーンスターとのコラボレーションでウィメンズ初となるスニーカー発売、ザ・ウールマーク・カンパニーとの再生可能な天然素材メリノウールを使用したコレクションなど話題には事欠きません。


　 ユニークなのは2021年に発表した自動車メーカーVOLVO（ボルボ）の内装材であるNordico（ノルディコ）というリサイクル素材を使ったバッグ。
ザ・ウールマーク・カンパニーとのコラボもそうですが、サスティナビリティへの取り組みも進めています。

このように多彩な方面で才能を発揮し、その知名度を高めていっているのです。

ブランドの顔アイコンはやっぱりバッグ！

フィリップリムはファッションブランドのイメージが強く、プレタポルテが主力だと思われている方も多いと思いますが、実はアイコンバッグがけっこうあります。

ルイ・ヴィトンのようにトランクが発祥、エルメスやグッチのように馬具から発祥したレザーブランドであればバッグがアイコンになるというのは当然のことですが、オートクチュールが発祥のシャネルやサンローランのようなブランドでもやはりバッグというのはブランドの顔として定着していますよね。


　 そして、やはりフィリップリムにもそういった存在があり、一番有名でかつ定番として大人気バッグとなったのが「31 hour bag」。
ニューヨークのファッションウィークで人気モデルたちがこぞって持っていたことから人気が爆発し、そこからメディアへの露出、日本でもファッション感度の高い著名人が持っていました。

最近では人気のソレイユシリーズから発表されたコンパクトで使いやすい「ミニバケットドローストリング」やセリーヌのラゲージやバレンシアガのシティを彷彿とさせるようなちょっとごついかっちり目のバッグ「パシェリ」などが新アイコンとして注目されています。

こういった感じでファッションブランドとバッグというのは切っても切れない縁がありますね。

日本でも早くから展開

　 2005年にブランドがスタートした3.1 フィリップリムですが、日本での本格展開は2008年からということでブランド創業からかなり早い段階で3.1 フィリップリㇺ・ジャパンを設立しています。

ブランドのデビュー当初からリアルクローズの代表格として多くのセレクトショップで取り扱われ、知る人ぞ知るブランドとなっていましたが、そこにいち早く目を付けたのがサザビーリーグ。
雑貨衣料販売や飲食店などを手掛ける同社が80％、アメリカのフィリップリム本社が20％出資をして設立しました。

この提携によって日本国内でも直営店の展開が加速し、大きく知名度が向上したのです。

そして、10年経った2018年にアメリカ本社のメッセージを直接日本のユーザーに届け、また声を聞きグローバルブランドとして更なる発展を遂げるために米国本社が100％保有する形に切り替わりました。


フィリップリムはオートクチュールブランドなどに比べるとまだまだ歴史の浅いブランドではありますが、勢いという意味ではこれからの伸びしろも期待できるブランドですので、今後も要チェックのブランドであることは疑いようがありません。

この記事を監修しているのは？

ラグジュアリーブランド・ハイファッション調査部門

ラグジュアリーブランドやハイブランドでの勤務経験者、雑誌編集者、とにかくラグジュアリーブランドやハイブランドが好きなメンバーで編成。
好みや主観が入ったり、否定的な意見が存在するのは、ハイブランド.comの味であり、外部からの影響から独立しているからこそ出来ること。
世の中のトレンドや流れを敏感に察知し、常に新しい情報を発信出来るように奮闘しています。

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