- Established: 1717
- Nation:フランス
- Website:https://int.faurelepage.com/
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フォレ・ル・パージュ Overview
鉄砲・武器メーカーからバッグブランドへ!?
FAURE LE PAGE(フォレ・ル・パージュ)というブランドご存知でしょうか?
かなり変わった経歴のブランドで、なんと1717年創業という300年以上も歴史があり、鉄砲を中心とした武器、銃器のメーカーとしてフランス王室御用達にもなったブランドなのです。
「いやいや武器なんて要りませんよ」
という声も聞こえてきそうですが、2010年にクリスチャン・ディオールでアメリカを統括していたオーグスタン・ドゥ・ビュッフェボンが社長兼クリエイティブ・ディレクターに就任したことで、老舗メゾンを魅惑的なブランドへと大きく変革したのです。
ブランドロゴにも掲げた「ARME POUR SEDUIRE(誘惑のための武器)」というコンセプトを掲げたフォレ・ル・パージュは快進撃を開始し、女性たちの魅力を引き出すユーモラスな武器(バッグやポーチ)が、ちゃめっ気たっぷりに「武器庫」と呼ばれる店舗に並んでいます。
武器からレザーグッズへの転換というと不思議なところはありますが、武器や弾薬、食料、狩猟でとらえた獲物を入れるカバンなどは必要だったため革細工に関しての技術はもともと高く、それらの技術を活かして銃から完全にバッグや小物に特化したメゾンへと方針を切り替えたことで世界中から注目を集める存在となりました。
メゾンのシグネチャーにもなっているウロコをモチーフにしたモノグラムの「エカイユ」や鉄砲のフォルムをそのままポーチにしていたり、弾薬を入れるためのウエストポーチなど他のブランドにはない発想でユニークピースを生み出し続けています。
誘惑の武器を表現するモノグラムEcailles(エカイユ)
フォレ・ル・パージュのアイデンティティともなっているのが「エカイユ」と呼ばれるモノグラムデザイン。
エカイユというのがフランス語で魚の鱗を意味する言葉になっているので、この愛称で親しまれています。
このエカイユは単純にデザインが美しいというだけではなく、しっかりとした由来がもともとは戦士たちが身に着ける甲冑がベースになっています。
そして、古代ギリシャ神話ではヴィーナスやミネルヴァといった女神がうろこに包まれていたと言われているので、うろこには誘惑、そして権力を象徴する柄とされているからです。
エカイユはキャンバス地に世界最高峰の技術を持つリヨンのシルクスクリーンの技術を用いてプリントを施していきます。
さらにワックス加工、グレイン加工をほどこされたコーティングされたキャンバスは軽くて、丈夫、そして防水性・耐水性があるためメゾンにとって必要だった狩猟用革製品にも使われてきた技術で、エカイユというのはまさにメゾン300年の歴史の賜物でもあるのです。
隠れた魅力がたっぷり!探さずにはいられない
フォレ・ル・パージュの魅力は、エカイユだけではありません。
鉄砲工だったという過去、そして長い歴史を感じさせるようなディテールが随所にちりばめられているので、そういった歴史に触れることができるのもまた魅力のひとつ。
武器や狩猟から得た自由なアイディア
フォレ・ル・パージュのバッグやレザーグッズをよくみると、そこには武器を格納したり、狩猟した獲物を入れておく袋といった歴史的な背景を垣間見ることができます。
当たり前のようなメッセンジャーバッグも、実は雑多なものを入れて肩にかける雑嚢(ざつのう)ですし、腰に巻き付けるタイプのベルトバッグも弾丸を入れておくポーチです。
よく考えるとそうした歴史的アイテムから派生したアイテムが多く、インスピレーションの源を考えるととても楽しい。
さらに分かりやすく表現しているのは、Calibre(キャリバー)のようなピストルのモチーフがポケットになったバッグやPochette Cal(ポシェットキャル)のようなピストルのカタチをしたポシェット。
他にも丸いリングは手りゅう弾の安全ピン、ファスナーに付いているリボンは戦いのときに使われる旗をイメージしていたりとディテールにも『らしい』こだわりがたくさんあります。
バッグの名前も遊び心があり、例えば定番のエカイユのトートバッグだと「Daily Battle(日々の戦い)」と名付けられ、毎日に寄り添って共に戦ってくれるパートナーのような意味合いが込められています。
こうした他のブランドにはない独自の特性を持っているブランドというだけでも、一見の価値あるブランドですね。
『7』はメゾンにとって特別なナンバー
「7」というのはフォレ・ル・パージュにとって特別な意味を持つ数字です。
それほど目立つわけでもないですが、よくバッグやアクセサリーでも「7」や「17」という数字が使われていて、さらに面白いのは定番トートのDaily Battle(デイリーバトル)のストラップに空いた17個のサイズ調節ホールやエカイユで7つ鱗ごとに入れられたロゴマークなど隠された「7」や「17」なんかもあるのです。
「17」という数字は、創業が1717年ということで分かりやすいのですが、「7」にも実は色々と関係があり、1717年に2つの7が入っているというもありますが、7世代にわたって家族経営が行われてきたこと、エカイユの工程が7つであること、ここまでくるとこじつけにしか思えませんが1+7+1+7=16になり、1+6=7であることなどです。
フォレ・ル・パージュは戦士の功績を讃えるためのメダル授与をイメージしてバッグチャームのようなアクセサリー作りにも力を入れています。
それはアルファベットのイニシャルや数字があるのですが、数字でアローがついているのも「7」だけなのです。
戦神マルスへのオマージュ黄土色(イエロー)と5つのベースカラー
バッグの印象を左右するカラーに対してもこだわりが強く、またここにもその歴史や伝統を感じることができます。
シルクスクリーンでエカイユプリントをするためには、いくつかのトーンが含まれてきます。
イエローがメインカラーだとすると、ブラックのステンシルが適用され、そこにライトブラウン、ミディアムブラウン、ダークブラウン、そして最後にイエローといった具合です。
ベースとなるカラーは、5色で、
・光の都パリをイメージしたパリ・ブルー
・大砲で使われたダマスク鋼のスティール・グレー
・銃床の深い琥珀色の木目を連想させるくるみのブラウン
・人の心を狂わすような陶酔のレッド
・英雄ナポレオンを現代に伝えるカラーとなる皇帝のグリーン
ここに
軍神マルスへのオマージュである鮮やかな黄土色(イエロー)
が加わることで美しいパターンを構成しているのです。
フォレ・ル・パージュのアイテムをみると分かるのですが、至る所にこの黄土色(イエロー)が潜んでいますし、アクセントカラーとして重要な役割を果たしています。
フォレ・ル・パージュの歴史
FAURE LE PAGE(フォレ・ル・パージュ)は、創業が1717年という世界的に見ても最古の歴史を誇るブランド。
1913年まで7世代に渡り家族経営がされていたという稀有なブランドでもあります。
ただ、エルメスのように馬具ではなく、ルイ・ヴィトンのようにトランクでもなく、ティファニーのように宝石でもなく、鉄砲や武器という領域で時代を駆け抜けてきました。
フォレ・ル・パージュという名前になったのは、1865年からでそれまでは創業者の名前をとってピニーやル・パージュ、ル・パージュ・ムーティエなど様々な呼ばれ方をしていたようです。
銃器メーカーとして伝説的な歩み
発祥はフランスのパリで、ルイ・ピニーが銃器を扱うショップをオープンしたことから始まりました。
創業してから20年と経たないうちルイ15世から王室御用達となり、最高の職人たちを惹きつける魅力の溢れるメゾンとなっていきます。
才能溢れる鉄砲師や鋳造職人、彫刻家、金箔師、研磨師、金属加工職人、革細工職人、金銀細工職人、宝石職人が集まり、傑作武器の製造を行い、数々の権威を持つ顧客を持つようになりました。
2代目のピエール・レ・パージュの時代にはオルレアン家を、そして3代目のジャン・レ・パージュの時代にはルイ16世、あの皇帝ナポレオン・ボナパルト、ルイ18世なども顧客となり、ルイ16世の狩猟作品、ナポレオンのヴェルメイユサーベルやレグロンのピストルなどはまさに時代の象徴のような武器となり、美術館や個人のコレクションとして現存しています。
1789年のフランス革命や1830年のフランス7月革命においては、革命軍に肩入れし、武器や弾薬を支援することで自由のために戦う市民を支持しています。
1800年代の後半に入ると、その芸術は完成の域となり数々の博覧会でメダルを獲得し、それが今のフォレ・ル・パージュのチャームのインスピレーションにもなっています。
また、フランソワ=ルネ・シャトーブリアン、オノレ・ド・バルザック、アレクサンドル・デュマといった偉大な作家たちさえも、自著にル パージュの名を挙げて賞賛するほどでした。
そんな家族経営が終わったのが1913年で甲冑師のデュモンドがブランドを引き継ぎ、この頃からバッグの製造なども始まり、1925年にはフォレ・ル・パージュはついに会社(法人)となったのです。
フォレ・ル・パージュ「歴史が動いた瞬間」
おそらく現代のバッグメゾン「フォレ・ル・パージュ」と銃器メーカーとしての「フォレ・ル・パージュ」はリンクしているところもありますが、別物と考えた方が良いくらい。
1925年の会社設立以降はブランドの所有が転々とし、細々と猟銃を製造したりしていましたが、歴史が大きく動いたのは2010年にオーグスタン・ドゥ・ビュッフェボンが買収を行ってから。
オーガスティンはメゾンのクリエイティブ・ディレクターとしても活躍し、クリスチャン・ディオールでの経験から世の女性たちを魅了する方法を熟知していました。
歴史的なメゾンのアーカイブを徹底的に研究し、またフォレ・ル・パージュの宝物を見つけるために多くの美術館に足しげく通いました。
そして、そのオリジナルな感性を持って、メゾンとして歴史や伝統を尊重しながらもユーモラスで、華やかなコレクションを作り上げたのです。
それが、エカイユのラグジュアリーバッグへの応用であり、武器や狩猟をインスピレーションにしたバッグやレザーグッズであり、独創的な作品の数々だったのです。
2012年にはパリにフラッグシップショップ(誘惑のための武器庫)をオープンし、2014年には日本にも上陸を果たしてきました。
300年以上の歴史を持つとはいえ、バッグ・レザーグッズメゾンとしての歴史はまだまだ始まったばかりなので、今後のさらなる飛躍に期待したいところです。
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ラグジュアリーブランド・ハイファッション調査部門
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