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ジバンシィ Overview

ジバンシィのイメージは人それぞれ

(出典:https://www.givenchy.com) ジバンシィに対して皆さんはどういったイメージをお持ちでしょうか？
ジバンシィというのは評価が難しいブランドで、人によって持っているイメージが全く違うブランドなのです。

例えば、有名なのは化粧品や香水というコスメティック関連。
この分野でいえば、ジバンシィというのは高級ブランドとして高い人気と実力を持ったブランドとして評価されている方が多いです。

しかし、問題はライセンス生産品ですね。
ジバンシィの創業者ユーベル・ド・ジバンシィはとてもビジネス上手な人物だったので、ブランドのライセンス権利を各国の現地メーカーに付与して製造する権利を与えていました。
その結果として、結婚式の引出物やタオルや身の回りの色々な小物にジバンシィブランドが使われるという事態が発生したのです。
ラルフローレンやピエール・バルマン、バーバリーに比べるとまだましな方かもしれませんが、こうしたライセンス販売によってブランドイメージが低下している感は否めません。

しかし、本来はオートクチュールブランドとしてディオールやサンローラン、バレンシアガといったブランドと肩を並べるようなブランドであり、ハイブランド、ハイファッションブランドというのが正しいのです。

最近だとバッグの人気も高く、高級ブランドとしてのイメージを回復しつつあるよう思います。


(出典:https://www.givenchy.com) 一方でリカルド・テッィッシがクリエイティブ・ディレクターに就任して以降は、ストリートの中で人気化し、ラグジュアリーストリートブランドの中核として語られることも出てきました。
この流れは2020年にALYXのマシュー・ウィリアムズがクリエイティブ・ディレクターになったことで継続しています。

歴史的に見ると一目瞭然のすごいブランド

(出典:https://www.givenchy.com) 歴史的に見てみるとジバンシィの活躍した時代というのはちょうどクリスチャン・ディオールやヴァレンティノが活躍していた時代と同じようなタイミングです。

ディオールはニュールックという女性の体のラインを強調するような構造的なシルエットで世界を熱狂させましたが、その一方でジバンシィは、ウエストがゆったりのファッションやドレスの構造的な問題であるウエストサイズを解決するセパレートを打ち出しています。

ジバンシィはクリストバル・バレンシアガを師として、また友人として尊敬していたのでディオールとは全く違った路線を歩んでいたわけですが、オートクチュールブランドとして時代を彩ったデザイナーであることは間違いありません。

世界的な大女優としても有名なオードリー・ヘップバーンの映画衣装のほとんどはジバンシィがデザインしていたというのも有名な話です。

こうしてみるとジバンシィというブランドが実はすごいブランドだということがわかりますよね。

ひとりの天才が作ったジバンシィの歴史

香水やコスメ関連は昔から大人気

(出典:http://www.parfumsgivenchy.jp/) ジバンシィというとやはり化粧品などのコスメアイテムは大人気。
洋服やバッグなどのファッションアイテムよりも、明らかに人気、知名度が上回っています。

ジバンシィのコスメ部門はパルファム・ジバンシィとして1957年に立ち上げられました。
立ち上げ当初からオードリー・ヘップバーンのための香水「ランテルディ」が大ヒットし、一躍有名になります。

パルファム・ジバンシィは1981年にヴーヴ・クリコに売却され、その後1987年にヴーヴ・クリコがLVMHに買収されたことにより、いまではパルファムはジバンシィとはまた別のパルファム・ジバンシィ・ジャポンとして展開されているのです。

ジバンシィも1988年にLVMHに買収されていますが、ある意味パルファムが買収されたことがきっかけになっているのです。

1999年からは二コラ・ドゥジェンヌがジバンシィの精神を受け継ぎ指揮をとっています。
マットな口紅、ルージュ・ジバンシィもその代表的な者のひとつです。

閉塞感を打ち破ったリカルド・ティッシによる改革

　 ユーベル・ド・ジバンシィがブランドを去ってからというものジバンシィは完全な衰退期に入っていました。
けっこうな大物デザイナーを登用するもなかなか上手くいかず、そんな窮地を救ったのが2005年からクリエイティブ・ディレクターに就任したリカルド・ティッシ。

リカルド・ティッシは数々の功績をジバンシィにもたらしましたが、やはりジバンシィというクラシックなブランドの新陳代謝を促し、現代的なブランドへと変貌させたというのが何よりも大きいです。

スターモチーフやロットワイラー、シャークといったアイコンプリントによってトラッドとスポーティーをミックスした新しい表現を生み出し、ストリート界のカリスマであるカニエ・ウエストやキム・カーダシアン、ニッキー・ミナージュなどのセレブリティとの関係によってブランドの視野を大きく広げました。
オートクチュールブランドであるジバンシィがストリートを埋め尽くすという異常事態を作り出したのです。

また、ジェンダーの壁を超えるという意味でもメンズとウィメンズの合同コレクションを始めたのもリカルド・ティッシですし、リア・Tなどのトランスジェンダーモデルをいち早く起用した先駆者的なデザイナーでもあります。

このリカルド・ティッシからの流れが今のジバンシィの新しいスタイルを創ったといえるでしょう。

現在のジバンシィの体制ってどうなっているの？

(出典:https://www.givenchy.com) ブランドの命とも言えるのが、クリエイティブ・ディレクターの存在。
クリエイティブ・ディレクターが変わるだけで、コレクションのスタイルはガラッと変わりますし、ブランドが生き返ったり、逆に死んでしまったりもします。

例えば、グッチのトム・フォードやシャネルのカール・ラガーフェルド、最近ではサンローランのエディ・スリマンなどブランドを復活させたことで有名なデザイナーがいる一方で、1年や2年で解任されてしまうデザイナーも数多くいるというのがファッションブランドの厳しいところ。

ユーベル・ド・ジバンシィは、LVMHに買収された後は、経営からは離れ創作活動に専念していましたが、1995年には引退し、後継者にその道を譲ります。

実はその後のジバンシィはけっこう散々な状態になり、数年おきにクリエイティブ・ディレクターが入れ替わるという事態になりました。
ジョン・ガリアーノからアレキサンダー・マックイーン、ジュリアン・マクドナルドにオズワルド・ボーティングとコロコロとデザイナーが変わっていったのです。

アレキサンダー・マックイーン時代は一定の評価は得ていたのですが、ジバンシィカラーが消えて、マックイーンカラーになってしまったという批判を受けて辞任に至っています。

2005年からリカルド・ティッシがクリエイティブ・ディレクターを務めており、ジバンシィがかつての輝きを取り戻しました。

やはりクリエイティブ・ディレクターの存在というのはとても大きく、タイム誌が発表する「最も影響力のある100人」のアーティスト部門に選ばれるなど力のあるデザイナーが自身のカラーに合ったブランドに就くというのはとても重要だということになりますね。

2017年からはメゾン初の女性クリエイティブ・ディレクターとなったクレア・ワイト・ケラーが就任し、オートクチュールに焦点を当てた原点回帰のスタイルで2018年の英ヘンリー王子とメーガン妃のウェディングドレスを製作するなど人気を集めたが2020年秋冬コレクションを最後に退任となります。

オートクチュールの評価は高かったのですが、新しい世代のユーザーとのギャップがありプレタポルテ（既製服）で苦戦したのが原因となっています。
2020年3月にジバンシィのCEOフィリップ・フォルトゥナトが退任したことが関係している可能性もあります。


　 クレア・ワイト・ケラーの後を継ぐことになったのは、マシュー・ウィリアムズ。
マシュー・ウィリアムズは、1017 ALYX 9SMを立ち上げたデザイナーであり、ラグジュアリーストリートの中心的人物としてキム・ジョーンズ率いるDIOR（ディオール）とのコラボレーションを行っている人物。

工業的なデザインをストリートウェアに落とし込み、ラグジュアリーへと昇華させるセンスは素晴らしいものがあります。
時代の流れとしか言いようがありませんが、リカルド・ティッシから続く流れとしてはジバンシィにはとても良い選択だったとも言えるでしょう。

次は、「ひとりの天才が作ったジバンシィの歴史」

この記事を監修しているのは？

ラグジュアリーブランド・ハイファッション調査部門

ラグジュアリーブランドやハイブランドでの勤務経験者、雑誌編集者、とにかくラグジュアリーブランドやハイブランドが好きなメンバーで編成。
好みや主観が入ったり、否定的な意見が存在するのは、ハイブランド.comの味であり、外部からの影響から独立しているからこそ出来ること。
世の中のトレンドや流れを敏感に察知し、常に新しい情報を発信出来るように奮闘しています。

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