古代ギリシャ・ローマ様式データ
- 年代:紀元前2000年~紀元後330年頃
- 主な地域:ギリシャ・ローマ
古代ギリシャ・ローマ様式の解説
西洋においてクラシックといえば、古代ギリシャ・ローマの古典様式を意味します。15世紀にルネサンス運動の理念の基となり、18世紀にはネオクラシック様式としてリバイバルするなど、後世の西欧の様式に大きな影響を与えたスタイルです。
さらには現代のポストモダンのデザインコンセプトにもなっているほど重要な様式です。
建築
大きく分けて、神殿と公共建築を中心に展開されています。特にギリシャの建築様式は、ローマの建築様式の構成要素として受け継がれたのち、ルネサンスやバロックに伝えられ、西洋建築の規範となりました。
ギリシャ様式
数学的な秩序に基づいたプロポーションが重視され、神殿建築とともに発展し、紀元前6世紀~5世紀頃にピークを迎えます。列柱に切妻屋根をのせたまぐさ式構造で、オーダーとペディメントに特徴があります。特にドリス式、イオニア式、コリント式という3つのオーダーは、古典建築の基本的意匠として、西洋建築に大きな影響を及ぼしてきました。柱身にはフルーティングと呼ばれる溝彫りが施され、面と面の接合部分はモールディングとエンリッチメントで装飾されました。代表的なモチーフにはアカンサス(ハアザミの葉)、アンセミオン(スイカグラの模様)、アンティフィクス(植物の葉を様式化した模様)、フレット(ギリシャの雷門)、エッグ&ダーツ、デンティルなどがあります。これらは、いずれも完成されたデザインと組み合わせを持ち、以降の室内装飾や家具デザインにまで浸透していきます。
代表的な建造物は、アテネのパルテノン神殿を中心として神殿群です。
ローマ様式
ギリシャの理想主義とは異なり、実用性と公用性を第1としたため、デザイン面よりむしろ技術的な向上が目覚ましく、特にアーチとコンクリート工芸をとりいれたヴォールト・ドーム構造の完成は、古代の建築様式に見られるような多くの柱を使った空間から、天井の高い大空間へと変化することになりました。
代表的な建築物は「メゾンカレ」、「パンテオン神殿」、「マルケルス劇場」、「コロセウム闘技場」、「カラカラ浴場」などいずれもスケールの大きな建造物です。
家具
ギリシャでは女性用の椅子であるクリスモス、ローマではギリシャ様式に摸倣しながらも、より装飾的になったローマ風寝椅子がその代表的なアイコンです。
ギリシャ
クリスモスは、前後の脚の反りや、背もたれのカーブに特徴があり、その完成された優美なデザインは後世の家具デザインに強い影響を与えました。ほかには家長や来客用の貴座であるスロノス、公式用の折りたたみ椅子であるオクラディアス、4本足のスツールであるディフロスといった家具が知られています。
ローマ
ローマ様式の家具は、ギリシャ様式の摸倣といっていいですが、より装飾的な彫刻や象嵌が行われ、派手好きで、享楽的といわれるローマ人の嗜好を反映したものといえます。
そろばん珠状の挽き物脚が特徴で、家具材は木材のほかに大理石やブロンズも使われました。ローマ風寝椅子や3本足のテーブルなどが代表的です。
美術・工芸
ギリシャでは、人像を基本とする彫刻や浮き彫りが盛んに作られ、神も人間像として表現されました。壁画などの絵画は、現存するものはほとんどなく、代わりに壷絵が多数残っています。それらの壷絵には、黒絵式と赤絵式の表現方法が見られ、ギリシャではアンフォーラと呼ばれる貯蔵式の瓶や、キュリクスと呼ばれる足つきの杯など、まつりごとや実用としてたくさんの優美な形をもった壷が作られていました。
いっぽうローマでは、祖先の霊を祭る風習がデスマスクを生み、肖像彫刻が発達しました。
絵画では、ボンベイの壁画が残っており、当時の様子を知る重要なものとして知られています。