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デザイナーストーリー

イサム・ノグチの人生

1904年にアメリカのロサンゼルスで慶應義塾大学教授の日本人の父と作家で教師であったアメリカ人の母の元で生まれた日系アメリカ人です。彫刻家、画家、インテリアデザイナー、造園家・作庭家、舞台芸術家の肩書きを持ち、世界を代表するアーティストです。

イサム・ノグチは幼いころから苦難の連続でした。生まれた時には父は既に日本に帰国しており、イサムが2歳で母と来日するまで顔を見る事すらありませんでした。母と来日してからも親子3人での生活は続かず結局は母子家庭となりました。しかし母が必至に働いて建てた茅ヶ崎の家での自然に囲まれた生活がイサムの芸術家としても土壌を作っていったのです。

13歳で渡米し単身アメリカの全寮制学校に入学したころには木彫りの天才少年と言われていました。学校は経営難から閉鎖されましたが、エドワード.A.ラムリーの支援で無事高校までを卒業し、コロンビア大学と美術学校に進学し「ミケランジェロの再来」と賞され、入学3ヶ月目には個展を開いたイサムは、彫刻家として生きることを決意しました。
その後は奨学金を得てパリに渡り、彫刻家コンスタンティン・ブランクーシに師事しましたが、奨学金の延長が認められずニューヨークに戻り本格的に個展や美術展へ出展していきます。

第二次世界大戦後の1951年に日本の女優・山口淑子と結婚し、鎌倉の北大路魯山人の敷地内にアトリエと住まいを構えたイサムは日本で禅の庭や伝統技術に触れたイサムは、作品によりいっそう東洋的な匂いを漂わせるようになります。

1958年に離婚後はニューヨークを拠点に意欲的に活動し、彫刻よりも大きなスケールの庭園制作、空間の彫刻に熱心になり、ユネスコ本部やニューヨークの銀行などの庭園も手がけています。

晩年イサムはニューヨークと日本を行き来する生活を送り、1986年には、第42回ヴェネツィア・ビエンナーレのアメリカ代表に選ばれました。80歳になってようやく「アメリカ人の偉大な芸術家」として認められ、同年日本で京都賞受賞、翌年アメリカ国民芸術勲章を受賞する事となります。

インテリアとの関わり

（出典:http://www.vitra.com/） イサムが家具デザインを手掛けたのは、まさにアメリカンミッドセンチュリーの全盛期でした。
1947年、ジョージ・ネルソンの依頼で「ノグチ・テーブル」をデザイン・制作し、インテリアデザインの分野でも活躍していきます。この有名な「Noguchi Coffee Table」は、1939年にMoMA（ニューヨーク近代美術館）館長のA・コンガ・グッドイヤーのためにローズウッドで製作したテーブルがベースと言われています。

1951年には「提灯」の老舗メーカー、オゼキより「あかり（Akari）」シリーズのデザインを開始します。
イサム・ノグチにとっては家具もまた「彫刻」の一つであり、機能を持ったアートとして生活を豊かに演出してくれます。

以前は新品で購入可能なイサム・ノグチの家具は「Noguchi Coffee Table」と「AKARI」ぐらい しかありませんでしたが、現在ではヴィトラ・デザイン・ミュージアムがイサム・ノグチ財団から、ハーマンミラー、ノール両社の家具製造ライセンスを取得した事から、魅力的な作品が次々と復刻されています。

代表作

Noguchi Coffee Table（ノグチ・テーブル）

（出典:http://www.vitra.com/） 1939年にニューヨーク近代美術館の館長A・コンガ・グッドイヤーの為にデザインされたとされるテーブルでミッドセンチュリーの代名詞ともなっており、今もなお多くの人に愛され続けている普遍的デザインの名作です。2つのなめらかなフォルムの脚が厚いガラスのテーブルを絶妙なバランス感で支えています。

AKARI（あかり）

（出典:http://www.ozeki-lantern.co.jp/） 1950年代は提灯の上下に口輪のついたもの、竹ヒゴの感覚が均一で目が細かいものでしたが、1963年には竹ヒゴが不規則に巻かれたDシリーズが作り出されました。
鏡餅や茄子など多種多様な形をしたNシリーズが作られた頃から、バリエーション豊かな展開となり、Pシリーズのように形はシンプルですが、竹ひごを使わず和紙を折りたたんだ際に生じるシワの陰影を魅せようとするAKARIが加わって行きました

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この記事を監修しているのは？

高級家具・インテリアリサーチ部門

元建築家や現役インテリアコーディネーターや家具販売店員で編成。
国内外の高級家具やブランドなどを徹底的にリサーチし、定番からまだ見ぬブランドや家具を発掘しています。
世の中のトレンドや流れを敏感に察知し、常に新しい情報を発信出来るように奮闘しています。

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