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アリクス Overview

ラグジュアリーストリートでは表現しきれない新感覚のブランド

　 1017 ALYX 9SM（アリクス）というブランドをご存知でしょうか？
2015年のスタート以来、わずかな年月で世界中のファッショニスタを魅了しているラグジュアリーなストリートウェアを提案するブランドです。

創業者マシュー・ウィリアムズは、オフホワイトのヴァージル・アブローやヘロン・プレストンと共に伝説的なDJクルーBEENTRILL（ビーントリル）で活躍していたのでラグジュアリーストリートが好きな方だと確実に名前は聞いたことがある人物。

特にローラーコースターバックルベルトと呼ばれるバックルのついたベルトは、アリクス屈指の人気アイテムとなっており、アリクスとしては知らなくてもDior（ディオール）のバックルベルトとして知っている方は多いのではないでしょうか？
このコラボレーションによってアリクスの名前は一気に広がり、ラグジュアリーストリートの雄としてさらなるブレークを果たしのです。
これまでの実績が認められ、LVMH（ルイ・ヴィトン・モエ・ヘネシー）傘下にあるラグジュアリーブランドGIVENCHY（ジバンシィ）のクリエイティブ・ディレクターにも抜擢されるほど業界で大きな期待を寄せられ、その実力というのは計り知れません。

一般的な知名度という点では誰もが知るブランドというわけではありませんが、着実に、そして確実に存在感を増しているブランドなのでストリートブランドが好きな方も、そうではない方もチェックしておいて損はありません。

無限のインスピレーションから成るアイコニックなデザイン

　 アリクスのスタイルは、思春期に過ごしたカリフォルニアのユースカルチャーと移り住んだニューヨークやイタリア、世界中のパンク、クラブ、スケートなどのサブカルチャーをインスピレーションとしています。
ラグジュアリーストリートにカテゴライズされますが、アンダーグラウンドな雰囲気よりはミリタリーやスポーティーをMIXしたイメージ。

メインはニューヨークなのですが、生産はほぼイタリアになっており、イタリア製の上質なレザーウェアなど実用的でロマンティックなアイテムも特徴のひとつですし、ローラーコースターバックルに代表されるインダストリアルなアクセサリーや最先端ファブリックを駆使するブランドの代名詞にもなっています。


　 アリクスのインスピレーションがカリフォルニア時代というのをまさに感じさせてくれるのがブランドのシグネチャーアイテムとなっているローラーコースターバックル。
ベルトが最も有名ですが、バッグやウェアにも使われるまさにアリクスのアイコン。
カリフォルニアにあるマジックマウンテンのローラーコースターのシートベルトからインスピレーションを得たもので、わざわざ製造業者に連絡してアリクス用にカスタマイズを依頼して完成させています。


　 そしてもうひとつがチェストリグバッグ。
本来の使い方はマガジンポーチなどの装備をすぐにだせるように使われるミリタリーグッズなのですが、それをファッションアイテムとして世に送り出しました。
正直これがかっこいいのかと問われると首をかしげてしまう人も多そうですが、カニエ・ウエストが着用していることからもアリクスの中でも代表アイテムとなっています。


　 マシュー・ウィリアムズが大好きなディテールと語っているのがバックスタイル。
デザインの中でも度々登場するバックロゴや印象的なグラフィックですが、おもしろいのはマシュー・ウィリアムズ自身の後頭部にもタトゥーがあるというところ。
背中にほどこされるデザインはファッションアイテムとしてインパクトが強いので非常に人気が高いです。

出会うもの全てをインスピレーションに変えて、常に新しいアイテムを生み出していくマシュー・ウィリアムズのスタイリングはラグジュアリーストリートという言葉で単純に括ってしまえないような多様性を感じさせてくれます。

本物を作ることに本気になる姿勢がラグジュアリー

　 時代の中心にある他のラグジュアリーストリートブランド同様に、ラグジュアリーであるということは品質という面に強いこだわりを持っています。

素材を仕入れてモノを作るのではなく、生産工程の前段階からこだわりをもってモノづくりの準備を始めるのです。
そのためにニューヨークに住んでいるのに、生産のほとんどを行っているイタリアに年のほとんどを滞在し、デザインだけではなく生産工程にまで介入します。
素材に関しては生地を一から作ることもあり、1年以上前からアイデアの具現化のために下準備をしているのです。


　 これは「本物を作る」という強い信念に基づいていて、例えばモーターサイクルジャケットを作るとなれば、そのジャケットの外観をコピーしてファッションアイテムとするだけでは満足できないのです。
本物のライダーが着ることができるリアルなものを作ろうとします。
こうした考えは特にコラボレーションに活かされ、本物を作るブランドと協業してもコラボレーションすることでそのブランドが持っている本物以上を作ろうと努力と精進を重ねていくのです。

さらにはひとつのアイデンティとしてサスティナビリティ（持続可能性）やリサイクル（再利用性）という事も意識しており、完全に中古衣類から作られたコレクションやサプライチェーンの透明化を目指してブロックチェーンを活用したパイロットプログラムを進めています。

これだけモノづくりに対してこだわりを持っていれば必然的に品質は上がっていくので、価格も含めラグジュアリーと呼ばれるレベルのストリートウェアになっていくのは当然です。

人気化するのも納得の輝かしいキャリア

　 アリクスはとても若いブランドでスタートしたのは2015年。
当初はレディースブランドとしてスタートし、2017年にメンズコレクションをスタートさせました。
ブランドをローンチして1年後の2016年にはLVMHのヤングデザイナー賞ファイナリストにまで選出されています。

これだけ見るとぽっと出てきたブランドのように思えてしまいますが、実はブランドをスタートする前からマシュー・ウィリアムズはファッション業界では有名人でした。

20005年から服作りをはじめ、ニューヨークに移動し2008年からカニエ・ウエストのクリエイティブ・ディレクター、そしてその後はレディー・ガガのクリエイティブ・ディレクターをしていたことはあまりにも有名です。
その後は、アリクスのイメージ作りにも一役買っているファッション業界の大物フォトグラファー ニック・ナイトとチームを組んでロンドンに移住。
さらに伝説的となっているDJクルーのBEENTRILL（ビーントリル）をヴァージル・アブローとヘロン・プレストンという今を時めく超大物2人と立ち上げました。

実はDior（ディオール）とのコラボレーションも旧知の仲だったキム・ジョーンズから依頼を受けて実現したものです。

2020年には伝統あるラグジュアリーブランドのGIVENCHY（ジバンシィ）のクリエイティブ・ディレクターに就任したのです。
ジバンシィといえば、バーバリーに移籍したリカルド・テッィシ時代にストリートで大ブレークしたブランド。
ラグジュアリーブランドとストリートの垣根がなくなった今ではマシュー・ウィリアムズがジバンシィのクリエイティブ・ディレクターに抜擢されたことに大きな驚きはないかもしれません。

このキャリアをみると今のアリクスの大成功というのも自然な流れに感じられます。

ブランド名は愛娘から？

　 1017 ALYX 9SMというブランド名に対して違和感を覚えませんか？
大抵のブランドというのは自分の名前を冠して立ち上げることが多いのですが、アリクスに関してはマシュー・ウィリアムズの名前が全く出てきません。

理由はとてもシンプルで、アリクスというのはマシュー・ウィリアムズの愛する娘の名前なのです。
もともとALYX（アリクス）という名前でブランドをローンチし、その後2018年に1017 ALYX 9SMに名称を変更しています。

だとするとこの数字にはいったいどんな意味があるのだろう？
と思われる方も多いかもしれませんが、これも同じくシンプルで1017というのはマシュー・ウィリアムズの誕生日10月17日からとったもの。
9SMはアリクスのスタジオの住所からとったものです。

なぜ娘の誕生日ではないのか？という疑問は残りますが、アリクスというブランドはマシュー・ウィリアムズという人間の個人的な表現の場ということでしょう。

コラボレーションはオリジナルを超える

これまでかなりの数のコラボレーションを行ってきていますが、コラボレーション元ブランドの製品を超える勢いでハイクオリティなアイテムを作ろうとすること。
ROAのブーツやAPIDIのモーターサイクルジャケット、ALPHAのボンバージャケット、DICKIESのワークシャツなどその分野のトップブランドとコラボレーションを行い、本物志向のアイテムを発表しています。

Dior（ディオール）

　 コラボレーションという意味で最も有名なのは、やはりDior（ディオール）とのコラボレーション。
キム・ジョーンズ率いる新生Diorとのアリクスのローラーコースターバックルのコラボレーションなのですが、キム・ジョーンズとはブランド立ち上げ前からマシューのメンターのような関係にあり、結婚式のスーツとウェディングドレス、そして娘のアリクスの名付け親でもあるとのこと。
そんなキム・ジョーンズからディオールのハードウェアを作ってほしいという依頼を受けたのがきっかけ。

しかし、実はこれはコラボレーションではなく、ディオールのアイテムとしてリリースしているのでマシュー・ウィリアムズがディオールのベルトデザインをしたことになるのです。

当然のように大ヒットしたディオールのバックルベルトで、このメガヒットによってアリクスの名前もラグジュアリー業界に広がることになったのです。

アリクス×DIORのアイテム

6 MONCLER 1017 ALYX 9SM

　 世界のスーパーデザイナーと共演するモンクレールのコラボレーション「モンクレール ジーニアス」にも参加。
モードな雰囲気を押し出すようなブラックを基調とし、レッドやホワイトといったカラーに統一したコレクションを展開。
アリクスのアイコンであるローラーコースターバックルや大ぶりのチェーンなどといったハードウェアも光り、ジーニアスの一流デザイナーとの共演の中でもひと際注目を集めました。

アリクス×モンクレールのアイテム

MACKINTOSH（マッキントッシュ）

　 異色のコラボとも思われたのが、スコットランドで長い歴史を誇る老舗ブランドMACKINTOSH（マッキントッシュ）。
マッキントッシュのアーカイブをインスピレーションにしたトレンチコートには、ブランド伝統のゴム引きコットンを使用しつつ、ベルトにはローラーコースターバックルというユニークな組み合わせ。

コレクション全体を通してゴム引き素材が使われ、イギリスのマッキントッシュの工場で手作りされたというこだわりの作品の数々がリリースされました。

アリクス×MACKINTOSHのアイテム

アリクスは、最先端を走るブランドであり、ユニークなインスピレーションでアイコニックなピースをたくさん持っているブランドです。
しかし、尖りすぎることなく、モノづくりに徹底的にこだわりを持った美しいブランドでもあります。

ラグジュアリーストリートという言葉では表現しきれない1017 ALYX 9SMの魅力をぜひ直接体験してみてください。

この記事を監修しているのは？

ラグジュアリーブランド・ハイファッション調査部門

ラグジュアリーブランドやハイブランドでの勤務経験者、雑誌編集者、とにかくラグジュアリーブランドやハイブランドが好きなメンバーで編成。
好みや主観が入ったり、否定的な意見が存在するのは、ハイブランド.comの味であり、外部からの影響から独立しているからこそ出来ること。
世の中のトレンドや流れを敏感に察知し、常に新しい情報を発信出来るように奮闘しています。

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