パリ装飾芸術美術館とは?
パリ装飾芸術美術館は、1905年に開館したパリにある美術館ですが建物としてはパリで最も有名な美術館であるルーブル博物館があるルーブル宮の中にあります。
1897年に装飾美術館組合が建物の使用を許可され、1904年には付属する図書館、そして1905年に装飾美術館が誕生しました。
100年以上もの歴史を誇る美術館ですので、開館してから現在までの間に15万点ものコレクションを収蔵しています。
また、装飾美術館と同様にルーブル宮にはモード・テキスタイル美術館と広告博物館も併設されており、これら3館は同じチケットで入館することが出来ます。
なので、一度に装飾、モード、広告という幅広いジャンルの作品を見て回ることが出来るという点でも非常にお得感のある美術館ということになります。
そして、2006年には装飾美術館はしばらくの沈黙のあとリニューアルオープンを果たし、このタイミングで展示物を6000点まで絞込み、各時代背景やスタイルをより強調するかのごとく展示方法などの見直しも併せて行いました。
吹き抜けなども作られ、自然光による光の取り込み、美術館自体の雰囲気も一変させています。
時代背景ごとの展示室
2006年のリニューアル以来、時代背景ごとの展示室が設けられています。
中世からコンテンポラリーアートに至るまで時代を追うように展示された作品は、非常に時代イメージを膨らませてくれます。
中世時代の展示室では、13世紀からの宗教作品や家具などがヨーロッパ中から集められており、ヘラクレスの一生を描いたスペインの16世紀の木製レリーフはものです。
ルネッサンス時代の展示では、当時の最先端の文化であったイタリアのオブジェが並んでおり、芸術の中心となっていたスタイル、技術の結集された作品が展示されています。
17世紀から19世紀にかけての展示はフランスのルイ14世時代からルイ16世時代に相当し、バロック様式からロココ様式、ネオクラシズム様式などが変遷していっており、宮廷様式が花開き、そして円熟期を迎える時代です。
ロココ様式の家具などは日本でも大変人気があり、シリックやマリオ・コルチャゴのようなエレガンスな家具が作られて時代でもあります。
そしてアール・ヌーヴォー、アール・デコの時代では装飾芸術が一握りの特権階級だけでなく、広く一般にも浸透してきました。アール・ヌーヴォー時代ではフランスの代表的なデザイナー エミール・ガレやギマールの作品が展示されており、アール・デコ時代の家具としてジャンヌ・ランヴァン作品が飾られています。
最後に現代の作品を見てみると、シャルロット・ぺリアンやジャン・プルーヴェといったミッド・センチュリーーを彩ったデザイナーの家具やマーク・ニューソンやフィリップ・スタルクといった現代のトップデザイナーの作品などが展示されています。
こうした時代の流れを紐解きながら作品を見て歩くのも非常に趣があって楽しいですね。