メトロポリタン美術館とは?
アメリカのニューヨーク・マンハッタンにある世界最大級の美術館で、「The Met」の愛称で親しまれています。
世界各地の芸術、文明、技法の作品を先史から現代までカバーしているジャンルの広さなのですが、実はこのメトロポリタン美術館はこれだけの規模であるにもかかわらず、公立の美術館ではなく、私立美術館なのです。
そして、おもしろいのは入館料が美術館側の希望額として設定されており、お金がない美術学生などは入館料を大目に見てもらえたり、裕福そうな紳士淑女などは気前よく払ってくれることを期待していたりすることです。
このあたりのユニークな仕組みは私立美術館ならではのことだと思います。
The Metの歴史
メトロポリタン美術館の構想は、1866年にパリでアメリカ独立記念日を祝うために集まったアメリカ人によって提案されました。
このときの参加者のひとりジョン・ジョンストンは、アメリカに国際規模の美術館がないことに嘆き、メトロポリタン美術館の創設の構想を打ち立てたが、この時点では何の作品も所持しているわけではありませんでした。
しかし、1870年にはこの構想は現実のものとなり、ニューヨーク市民の努力によって創設され、1872年には開館までこぎつけます。
その後は基金による購入や、さまざまなコレクターからの寄贈によって収蔵品数は激増し、関係者達の努力の結果、現在では絵画・彫刻・写真・工芸品ほか家具・楽器・装飾品など300万点の美術品を所蔵する世界最大規模の美術館へと進化を遂げました。
1880年には、セントラルパークの現在地に独立の建物を構えた。現在の建物のファサードなど主要部はリチャード・ハントらの設計により 1902年に完成し、その後もモルガン、ロックフェラー、アルトマン、レーマンらの個人コレクションの寄贈や購入により増改築がなされて拡大を続けてきました。
美術館の運営管理は理事会によって行われており、創立100周年の1970年から始まった大改修計画により、美術館の総床面積は倍増し、さらに充実した展示が可能となっています。
1点づつ1分ごとに見ていくとなんと13年かかるというとんでもない収蔵数と広さになっています。
メトロポリタンの見所
ひとつはエジプト美術館です。
一番の見所はデンドゥール神殿で、エジプトの神殿を再現した広くて明るいスペースは非常にダイナミックな空間でメトロポリタン美術館の自慢の一つです。
また、ミイラや壁画などのコレクションも3万点以上あり、これらコレクションも見逃せません。
次にアメリカンウィングですが、エジプト美術館のすぐ隣にあり、アメリカ絵画、家具・調度品、ティファニーのステンドグラスなどデザインがメインのスペースです。彫刻やステンドグラスに囲まれた空間は非常に美しい造形の世界を見せてくれます。
そして、近代・現代美術館では、ピカソ、マティス、ロックウェル、モディリアーニなど有名な巨匠の絵画が見られるので、それほど美術に精通していなくても楽しめます。
絵画でいえばヨーロッパ絵画も見ごたえ十分です。
1階の大ホール正面から大きな階段を使って2階へ行くと12世紀から18世紀にかけてのヨーロッパ絵画ガ飾ってあり、フェルメール、レンブラント、ルーベンスなど、ヨーロッパ絵画の巨匠の絵がまんべんなく揃っています。
季節限定で夏場だけなのですが、屋上のルーフトップカフェも必見です。展示プラスカフェという空間でセントラルパークとマンハッタンの街並みを一望できます。
メトロポリタンは非常に多くの作品があり、とても1日では見て回れないほどの広さですが、さまざまな興味を引かれるスペースがありますので、ぜひ何日か余裕を持ってみて回るとよいと思います。