ピナコテーク・デア・モデルネとは？
ピナコテーク・デア・モデルネは、ドイツのミュンヘンにあり、20世紀から21世紀の現代美術・グラフィックアート・建築・デザインを展示する美術館で近代・現代美術という観点で言えばヨーロッパ最大級の展示数を誇ります。
日本語で正式にどう呼ぶのかというのは定まっておらず、「モダン・ピナコナテーク」と呼ばれることもあります。
「ピナコテーク」というのはギリシャ語に由来した”絵画館”を意味する言葉で、なぜモダン・ピナコテークと呼ばれるかというとミュンヘンには3つのピナコテークがあり、ひとつはバイエルン王家のコレクションを収蔵するアルテ・ピナコテーク、19世紀時代にその時代の現代美術を収蔵するために建てられたノイエ・ピナコテークがあり、ピナコテーク・デア・モデルネはこの2つのピナコテークに続く第3のピナコテークとして2002年に開館したからです。
ピナコテーク・デア・モデルネは、絵画だけではなく現代美術、建築、デザイン、グラフィックアートの4つの分野の集合美術館です。もともと各所に分散していたコレクションをここに集合させました。
地下にはデザインの展示、1階には建築とグラフィック、2階には現代美術の展示となり、階によって展示される分野が分かれています。
デザイン分野では自動車やバイクといった産業機器から、トーネット、コルビジュエ、リートフェルト、パントン、イームズ、ウェグナーといったデザイン界の巨匠の家具、プロダクトデザインにいたるまで展示されており、美術分野にはダリ、ピカソ、マティス、カンディンスキー、オスカー・ココシュカなどおなじみの巨匠の作品からキルヒナー、ノルデなどのドイツ表現主義の作品も充実しています。
建物は、シュテファン・ブラウンフェルスが設計しており、建物全体は白で統一され、中央部分は吹き抜けになっており、ガラス張りの天井から差し込む光が周囲のホワイトカラーに反射して光と影の入り混じった美しい空間を演出します。
この光の演出は、ハンス・フレイムスとの共業で他の美術館でも活躍する光のプランナーですが、このピナコテーク・デア・モデルネの設計に当たっては実寸代のプロトモデルで実際にどういった光を得られるのかを検証しながら作り上げていったというのは驚きです。
地下のスペースにも光は入るようになっており、照明との連動でまた違った光の演出を見せてくれています。
ピナコテーク・デア・モデルネは、アルテ・ピナコテーク、ノイエ・ピナコテークとも隣接しているので、3つの美術館をすべて回ることも出来ます。
まさに時代の流れを確認することができる古典から、近代、現代のコレクションが3つの美術館で堪能することが出来るので思わず時間を忘れてしまうほどです。
デア・モデルネには地下スペースに家具コレクションも充実しているので、近代、現代家具デザイナーの名作家具の現物をじっくりと見て回れるのもうれしいところです。
