ロサンゼルス現代美術館とは?
ロサンゼルス現代美術館は、ダウンタウンの再開発の一環として開館した近・現代美術専門の美術館です。
アメリカ西海岸では、サンフランシスコ近代美術館などもありますが、こちらもコレクションでは西海岸有数を誇る美術館となっています。
ニューヨーク近代美術館がMoMAの愛称でおなじみですが、こちらはMuseum of Contemporary Art, Los AngelesなのでMoCAの愛称で親しまれています。
1979年に当時の市長トム・ブラッドレーや慈善家のマーシア・シモン・ワイズマン、市会議員ジョエル・ワックスの発案により現代美術館創設の計画が持ち上がり、同じ年に美術館設立準備委員会が設置されました。
1983年には建築家フランク・O・ゲーリー設計の「テンポラリー・コンテンポラリー」がオープンします。
MoCAには3つの施設があり、1つは本館で1988年にダウンタウンのグランド通りにオープンしており、デザインは日本人建築家である磯崎新が担当しています。
もうひとつは、リトル・トーキョーで仮設の形態をとっている「ゲフィン・コンテンポラリー・アット・MOCA」で1983年にフランク・O・ゲーリーが設計した「テンポラリー・コンテンポラリー」を音楽レーベルで財を成したデヴィッド・ゲフィンの寄付により1996年に改装したものです。
そして、ウエスト・ハリウッドの「パシフィック・デザイン・センター」です。
1983年の「テンポラリー・コンテンポラリー」からMoCAの開館と捉えることも出来ますが、本格的なオープンは、1988年の本館のオープンからとなっています。
MoCAのコレクションと建築
MoCAのコレクションは、9割が個人からの寄贈品です。
1984年にはジャン・フォートリエ、フランツ・クライン、ロイ・リキテンスタイン、クレス・オルデンバーグ、ロバート・ラウシェンバーグ、マーク・ロスコ、アントニ・タピエスを含むジュゼッペ・パンツァのコレクションの一部を購入していますが、1989年、リタおよびタフト・シュライバーのコレクションが寄贈されており、その中にはジャクソン・ポロック、ピエト・モンドリアン、アーシル・ゴーキーなどもありました。
また、美術館の創設者の一人であるマーシア・シモン・ワイズマンよりウィレム・デ・クーニング、バーネット・ニューマン、ジャスパー・ジョーンズ、リチャード・ディーベンコーン、サム・フランシスなど83点の素描が寄贈されています。
1991年には、スコット・スピーゲルによりジャン=ミシェル・バスキア、ロバート・ロンゴ、スーザン・ローゼンバーグ、デヴィッド・サーレなどが寄贈されています。
ギャラリーの構造は、四角形や立方体を組み合わせたとてもシンプルな構造となっており、大規模な展示会にも余裕で対応可能な容量となっています。
また、照明は吹き抜けからの自然光と人工照明を併用しており、自然の木材をそのまま活かした床とホワイトの壁面が展示品を引き立たせる役目を担っています。
シンプルな構造ですが、本来の目的である美術品の鑑賞を最大限に引き立たせるための効率的な設計になっているのでこのあたりも美術館としては非常に優秀です。
アメリカにはMoMAやSFMoMA、ニュー・ミュージアム・オブ・コンテンポラリー・アート、ホイットニー美術館、シカゴアテナイオンなど数々の著名な美術館がありますが、ロサンゼルス現代美術館もまた現代美術を語る上では見逃せない美術館です。