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パンテールについて

メゾンの象徴パンテールを生み出したジャンヌ・トゥーサン

(出典:http://www.cartier.jp/) それほどまでにカルティエを象徴するアイコンとなっている豹をモチーフにしたデザイン。
このパンテールというデザインはどのようにして生まれ、カルティエの中に定着していったのでしょうか？
パンテールを語る上で絶対に外せない人物、それがカルティエのハイジュエリー部門の責任者でもあったジャンヌ・トゥーサンです。

ジャンヌ・トゥーサンは、カルティエを現在の姿にした創業者の孫ルイ・カルティエとともに20世紀のカルティエの成長を支えた原動力となった人物なのです。

では、ジャンヌ・トゥーサンとパンテールの関わりとは一体何なのでしょうか？
ジャンヌ・トゥーサンは若いころから個性的な服を好む活発で目立つ存在でした。そして細身で行動が早く、鋭く光る青い瞳を持つ彼女はいつしかパンテール（豹）という愛称で呼ばれるようになったのです。

(出典:http://www.cartier.jp/)

そんな彼女が30歳の時に自分の元からさった初恋の相手からプレゼントが届けられます。
初恋の相手が別の女性と結婚するために贈られた最後のプレゼントだったのです。それは、ゴールドに黒のエナメルを施し、蓋にダイヤモンドとオニキスのパンテールの装飾があったヴァニティケースとシガレットケースでした。

彼女はそんなことにはめげず、仕事上のパートナーとして行動をともにしていたルイ・カルティエと恋仲になります。
しかし、名家の出身ではなかった彼女はカルティエ家との縁談は認められず、結婚はできませんでした。
またしても恋に敗れたジャンヌでしたが、仕事上ではカルティエを支え続けました。

そして、ルイ・カルティエが病に倒れた時、ハイジュエリー部門の責任者を任されたのです。
ルイ・カルティエが亡くなった後、晩年に熱く語り合っていたカルティエを象徴する作品を生み出すことに没頭するのです。

数々のカルティエのアーカイブを掘りおこし、やっとたどり着いたのが、1914年にルイが見せてくれた「貴婦人とパンテール」というデッサン。このデッサンを見た時に感じたパンテールのもつ気品と強い生命力を思い出しました。
さらに彼女は、奇しくも初恋の人からもらったパンテールのモチーフのヴァニティケースも持っていました。
そして、彼女の愛称もパンテール、みな彼女をそう読んでいました。

時期としても第2次世界対戦も終戦を迎え、女性の社会進出が活発化し、より強くなった女性たちにもパンテールの躍動感溢れるスタイルはイメージと一致していたのです。

こうして数々の偶然と彼女のもつ研究心が現在もメゾンを象徴するパンテールを生み出したのです。

パンテールをこよなく愛した女性たち

(出典:http://www.cartier.jp/)

ジャンヌ・トゥーサンが初めてパンテールのジュエリーを製作したのが1948年で、購入したのはイギリス国王の座を放棄して会いに行きたウィンザー公爵でした。
ウィンザー公爵が夫人のウィリスにこのパンテールのブローチをプレゼントすると、夫人はとても気に入り、翌年にはサファイアの玉に座すパンテールのブローチを自ら購入するほどでした。

あまりにも気に入ったウィリスはその賞賛の言葉を自らジャンヌに告げたと言われています。

プリンセス・ニナ・アガ・カーンもパンテールのジュエリーを愛し、レジナルド・フェロウズ夫人もパンテールのサファイアとダイヤモンドのブローチを購入しました。

パンテールは、ジュエリーという少し固い印象のある物であるのに対し、とてもしなやかで柔軟性のある佇まいです。
そして凛々しく、品格もあり妖艶な魅力を放っています。
ただのジュエリーではなく、こうした躍動感や立体感、知性の感じられるスタイルが数々のジュエリーを見てきたはずのセレブリティをも魅了してしまったのでしょう。



(出典:http://www.cartier.jp/) 現在でもパンテールは、リング、ネックレス、ブレスレット、イヤリング、ブローチといったジェエリーだけではなくバッグなどのレザーアイテムにもモチーフとして使われています。
カルティエの誇るウォッチや香水でもパンテールの名を冠したアイテムがラインナップされています。

パンテール。それは単なるモチーフを超えた存在としてカルティエそのものを表す言葉となっているのかも知れません。

この記事を監修しているのは？

ラグジュアリーブランド・ハイファッション調査部門

ラグジュアリーブランドやハイブランドでの勤務経験者、雑誌編集者、とにかくラグジュアリーブランドやハイブランドが好きなメンバーで編成。
好みや主観が入ったり、否定的な意見が存在するのは、ハイブランド.comの味であり、外部からの影響から独立しているからこそ出来ること。
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