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ファッションの枠組みを超えたビジネス展開

ファッションの域を超えた総合ブランド

アルマーニはファッションブランドとして立ち上げられたブランドですが、創業から40年を経過したアルマーニというブランドは実に多彩な事業を展開しています。

昨今ではブランドが多角化していくことは珍しいことではないですが、アルマーニほど様々な事業に展開しているラグジュアリーブランドはなかなかありません。

アルマーニが展開している事業は、本業であるファッション関連のラインだけでも、ジョルジオ・アルマーニ、エンポリオ・アルマーニ、エンポリオのスポーツライン「EA７」、アルマーニ・コレツィオーニ、A/Jアルマーニ・ジーンズ、A/Xアルマーニ・エクスチェンジ、オートクチュールのアルマーニ・プリヴェ、アルマーニ・ジュニアとこれだけの数があるのです。

2018年春夏シーズンより、ブランド戦略の一環としてブランドラインの統廃合を行いました。
これまでアルマーニ・コレツィオーニ、アルマーニ・ジーンズとして展開されていたラインはエンポリオ・アルマーニとなり、オートクチュールのアルマーニ・プリヴェとインテリアのアルマーニ・カーサは高級ラインとしてジョルジオ・アルマーニへとリンクさせることになりました。
アルマーニ・エクスチェンジは引き継ぎ、若者向けのストリートウェアブランドとして一部アルマーニ・ジーンズの商品も一部扱うことになっています。

時代の変化と共に「1つの空間で異なる人たちに異なる商品」を見せることがふさわしい販売戦略、新たな買い物体験になると睨んでのブランド再編成となっています。
特にエンポリオは異なる階層、スタイルを扱う総合ブランドとしてアルマーニブランドの中核となるでしょう。

さらにインテリアを手がけるアルマーニ・カーサ、ロレアルと提携している香水やコスメのアルマーニ・ビューティ、ホテル事業のアルマーニ・ホテル、レストラン・カフェ事業のアルマーニ・リストランテ、花を扱うアルマーニ・フィオリ、チョコレートのアルマーニ・ドルチなど実に多岐にわたるのです。

レストラン・カフェ事業

（出典：http://armanirestaurants.com/） 今でこそ日本にもアルマーニ銀座タワー、青山にエンポリオ・アルマーニカフェなども展開し、アメリカ、アジア、ヨーロッパに店舗展開をしているレストラン事業ですが、当初はアルマーニにしては珍しく苦い失敗もしています。

1989年にエンポリオの大型店をフェレンツェにオープンするときに過去に閉店に追い込まれていた名レストラン「ドネイ」を復活させることにしました。
800㎡もあるエンポリオのショップのうち、150㎡をドネイに割り当てました。
建築家のジャンカルロ・オルテッリのデザインでアルマーニ風のミニマルなデザインではなく、古きよき時代の温もりのあるレストランにしましたが、すでに昔の面影を失ったフィレンツェでは受け入れられることはなく、わずか2年で閉店となってしまったのです。

しかし、この教訓を活かし、アルマーニ・リストランテを成功させ現在の展開となっています。

インテリア事業

（出典：http://www.armanicasa.com/） 2000年に立ち上げたアルマーニ・カーサは、アルマーニのミニマルなスタイルがインテリアに集約された見事なラインです。
アルマーニはもともと「家」に対する思い入れが強く、訪れる場所に1軒、1軒家を持ちたいとさせ思うほどでした。
なので、レストラン事業も含め、衣食住を形成するインテリア事業に行き着くことは至極当然のことだと思います。

アルマーニ・カーサはファッションデザイナーのアルマーニらしく、テキスタイルやマテリアルに対するこだわりが強く、直線的ライン、幾何学的なパターン、ミニマルであり、軽やかなスタイルはまさにアルマーニの洋服をそのままインテリアにしたようなもので、見ればすぐにアルマーニ・カーサだと分かるほどです。

インテリアブランドの場合はファッションとは違い、フランスよりもイタリアの方が圧倒的に人気があり、イタリアンモダンのカッシーナやアルフレックスといったインテリア専業のイタリアンブランドはとても人気が高いですが、アルマーニ・カーサはこういったブランドとも肩を並べるくらいの存在感を発揮しているのが本当にすごいです。

フラワーアレンジメント事業

（出典：http://www.armanifiori.com/） ここまでくると何をやっているのか分からないという感じにもなってきますが、フラワーアレンジメントのビジネスもミラノ大型アルマーニショップ「ヴィア・マンツォーニ31」で2000年から開始しています。

カーサと同時期に始めているので、インテリアの一環という感じもしますが、いわゆるフラワーアレンジメント的な要素と日本の生花にも通じる美的感覚が感じられます。

ミュンヘン、香港、マナマ、クアラルンプール、ドバイ、アンマンとソウルと世界各国に広がりを見せていますが、今のところまで日本では展開されていません。

チョコレート事業

（出典：http://www.armanidolci.com/） 昨今ではブルガリやグッチなども発表しているので、チョコレートはラグジュアリーブランドの中でも意外と流行りものだったりしますが、アルマーニ・ドルチは世界で続々と店舗をオープンしており、日本はアルマーニ銀座タワーに店舗があります。

チョコレートに刻印された『A』の文字はまさにアルマーニを表していますし、やはりファッションブランドらしくチョコレートとは思えないほどゴージャスなパッケージとなっています。

普段のおやつというよりは、お祝い事やバレンタインデーなどの記念日に贈り物として使うようなものですね。

コスメ・香水事業

（出典：http://www.armanibeauty.com/） アルマーニが香水をスタートした1980年代にロレアルとライセンス契約をしており、2000年にジョルジオ・アルマーニ・コスメティックスとしてスタートしました。
今ではジョルジオ・アルマーニ・ビューティと名称変更されていますが、ロレアルとの契約は変わっておらず、実質はロレアルの傘下にあるブランドとなっています。

香水やコスメなどはこうしたライセンス契約で外部委託している場合が多く、イヴ・サンローランやラルフローレンなどもロレアルが運営しています。


このようにアルマーニは次々とファッション以外の事業も展開していますが、やはりファッションとは関連性の高い事業が多いです。 ブランドの多角化は双方から認知度を高めるという相乗効果と売上の増加という効果がありますが、失敗するとブランドにとっては大きなダメージを受ける諸刃の剣ともいえます。

アルマーニに関してはライセンス販売をうまく取り入れたり、カーサやレストランのようなビジネスを幅を広げる事業も非常にうまくいっているブランドなのです。

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この記事を監修しているのは？

ラグジュアリーブランド・ハイファッション調査部門

ラグジュアリーブランドやハイブランドでの勤務経験者、雑誌編集者、とにかくラグジュアリーブランドやハイブランドが好きなメンバーで編成。
好みや主観が入ったり、否定的な意見が存在するのは、ハイブランド.comの味であり、外部からの影響から独立しているからこそ出来ること。
世の中のトレンドや流れを敏感に察知し、常に新しい情報を発信出来るように奮闘しています。

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