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ドレスの課題を解決したジバンシィスタイル

一言で表すならニュールックの対極をいくスタイル

(出典:https://www.givenchy.com) ジバンシィのスタイルを形容する言葉としてぴったりなのは「ニュールックの反対」というものでしょうか。
ジバンシィと同世代に活躍したデザイナーとしてニュールックで夜の注目を一身に集めていたクリスチャン・ディオールがいます。

彼の打ち出したスタイルがニュールック。
ニュールックというのはウエストがはっきりと分かるようにくびれ、ヒップが強調されるような女性の身体のラインをはっきりと意識させるものでした。
よく建築に例えられるほど、その服というのは構造的でエレガントではありますが、身体を服に合わせなくてはならないようなものです。

それに対してジバンシィの服というのは着る人が自由に動けるようにシルエットに締め付けるという概念がありません。
どんなフォルムであってもウエストはゆったりとしていて、コルセットを使用するようなことはせず、衣服を身体に合わせるようなデザインだったのです。

まさにディオールのニュールックとは正反対をいくスタイルを提案していたというのがジバンシィスタイルだったのです。

象徴となるのは「セパレート」

(出典:http://www.fashionsnap.com/) そうしたゆったりスタイルのジバンシィの服を象徴しているのがセパレート。
これはドレスの持つ構造的な問題を解決したことでも有名で、それがまさにウエストのサイズだったのです。

女性のウエストは千差万別であり、ニュールックのようなウエストをきっちりと締め付けるドレスだと体型によっては着れない女性が大勢いました。
上半身と下半身を分けることによってウエストのサイズという問題を解決したというのは、ポール・ポワレが女性をコルセットから開放し、ココ・シャネルがシャネルスーツを打ち出したように女性を解放する一連の流れを踏襲したものといえるかもしれません。

創意工夫に満ち溢れたディテールへのこだわり

(出典:https://www.givenchy.com) ジバンシィはまた素材をミックスさせることにも長けたデザイナーでした。
服の重要な部分であれ、付属的な部分であれ、とにかく異なる素材を組合せて新しい物を生み出していきました。

両面が使えるリバーシブルコートであったり、フランネルとベルベット、モアレとウール、毛皮とスエード、レザーとジャージーニットなど全く質感の違う素材をミックスするといったことを試みました。

また、柄への愛情というのも並々ならぬものがありました。
そのアイデアの源泉は、ルネサンス、中国、アフリカ、エジプト、故郷フランスなどからです。

フランスの伝統柄トワル・ド・ジュイのデザインをドレスに使ったり、トロンプルイユ（だまし絵）をプリントした服などをデザインしたり、マティスやラウル・デュフィの絵画をベースにしたデザインもあります。

他にもアニマルプリントを多用したり、野菜や果物をデザインに取り入れたことでも有名です。
果物や野菜などを布地のプリントに採用したのはジバンシィが初めてだとも言われています。

ジバンシィの服作りにおいて布地の可能性を引き出すことが基本中の基本でした。v 「布地が自分のアイデアと違う反応を見せたら、その布地を使うべきではない」とも言っています。

ジバンシィのスタイルに与えた大きな影響

(出典:https://www.givenchy.com) ジバンシィに最も大きな影響を与えたデザイナー、それは最初に修行したジャック・ファスでもなく、サロンをオープンする前に働いたスキャパレリでもありません。

スペインの誇る巨匠クリストバル・バレンシアガです。

ジバンシィは幼い頃からバレンシアガに憧れ、ファッションの道に入るときに最初に訪れたのがバレンシアガでした。
（このときは門前払いされましたが）
その後自身のサロンをオープンした翌年の1953年にニューヨークで出会うことになったのです。

ジバンシィ自身が「最も影響を受けた人物はバレンシアガだ」と語るようにジョルジュサンク通りに移転してからは、店舗が目の前になったので、アイデアや意見を頻繁に交換しあっていました。

そしてその最たる例がバレンシアガのシュミーズドレスを再解釈して発表したことです。
1955年にウエストのゆるやかなスクエアショルダーのシュミーズドレスを発表し、さらに1957年にはグレイウールのシュミーズドレスを発表し、原型を見事にアレンジしたデザインが高い評価を受けました。


ジバンシィはバレンシアガ以外にも様々な影響を受けながらも独自のスタイルを確立し、コンテンポラリーシックの先駆者としての名声を高めていったのです。

次は、「ジバンシィをこよなく愛したセレブ」

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ラグジュアリーブランド・ハイファッション調査部門

ラグジュアリーブランドやハイブランドでの勤務経験者、雑誌編集者、とにかくラグジュアリーブランドやハイブランドが好きなメンバーで編成。
好みや主観が入ったり、否定的な意見が存在するのは、ハイブランド.comの味であり、外部からの影響から独立しているからこそ出来ること。
世の中のトレンドや流れを敏感に察知し、常に新しい情報を発信出来るように奮闘しています。

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