Dior ディオール
ディオールの歴史②「ディオールの亡き後」
ディオールの死後
(出典:http://www.dior.com/)
ディオールが亡くなるまでの数ヶ月の間にディオールが行っていたこと、それは次のデザイナーの育成です。
ひとつは若干21歳だったイヴ・サンローランに重要な仕事を任せ始めていたこと。
そしてもうひとつが、マルク・ボアンをニューヨークのスタジオの責任者として自身の仕事をセーブし、次世代への引き継ぎを開始していたのです。
そして、その時は突然訪れました。
クリスチャン・ディオールは53歳という若さで心臓発作でこの世を去ってしまったのです。
ディオール亡き後、そのあとを継ぐことになったのは若き天才イヴ・サンローラン。
イヴ・サンローランのの時代はどうだったのでしょうか?
若き天才 イヴ・サンローラン
ディオールというブランドは、わずか10年で巨大な企業として成長していました。
それを若干21歳の若者が引き継ぐことになったのです。いくらディオールの後押しがあっ
たとはいえ、イヴ・サンローランの肩にのしかかる重圧というのはおそらく常人では理解し難いほどすさまじいものだったでしょう。
幼い頃からファッションに興味のあったサンローランは、18歳の時に本格的にファッションを勉強するためにパリのファッションスクールに通い、そこで行われたコンテストに応募したことからヴォーグのディレクターの目に止まり、ディオールを紹介されました。
ディオールはしばらく彼を自身のメゾンで働かせ、その才能に惚れ込みそく後継者として彼を指名するほどでした。
イヴ・サンローランというと後に自身のメゾンを立ち上げ、現在でもトップブランドとして存続しているほどなので、その才能、実力を疑う余地もありませんが、その才能を最初に見出したのはディオールだったのです。
後継者として指名され、ディオールの死後、すぐに後を継ぐ事になったサンローランですが、1958年に「トラペーズ」ラインを発表したことでディオールに認められた才能を証明してみせました。
しかし、残念ながら1960年にアルジェリア戦争に徴兵されることになり、ディオールを離れることになってしまうのです。
実はこの徴兵の裏にはマルセル・ブサックが暗躍していました。
ブサックというのはディオールのメゾン設立時に出資をしたテキスタイル界の超大物です。
このブサックとイヴ・サンローランは馬が合わなかったため、サンローランを追い出すためにブサックが無理やり兵役につくように裏から手を回したのでした。
マルク・ボアンの時代
サンローランが徴兵によってディオールを去った後、その後を引き継ぐことになったのは、ディオールがもう一人気にかけていたデザイナー マルク・ボアンです。
マルク・ボアンもディオールの存命中にニューヨークのスタジオを任されるなど期待をされていたデザイナーでした。
この任命もマルセル・ブサックが行いました。
ブサックは、ディオールに出資した人物ですので、当然ですがオーナーであり、デザイナーの決定権を持っています。
マルク・ボアンはもともとロベール・ピゲでアシスタント・デザイナーとして働き、クチュール界の巨匠ジャン・パトゥでオートクチュールのデザイナーをしていたところを引きぬかれていたほどの人物なのです。
ですが、さすがにディオール、そしてサンローランのあとを引き継ぐとなるととてつもないプレッシャーがあったとは想像できますが、最初のコレクションで「スリムルック」を発表。
このスリムリックがヨーロッパだけではなく、アメリカでも人気を博すなどプレッシャーをはねのけ見事に大役を果たします。
スリムルックは、細身のスカートに長いスリムなジャケットを合わせ、ディオールのアルファベットコレクションを継承するかのような「Iライン」を形成します。
その後も「サファリルック」、「マキシルック」など30年にも渡り、ディオールのデザインを支え続け、ある意味ディオールの中核をなす人物となったのです。
革新性が失われ、衰退するディオール
30年にも渡り、ディオールを支え続けたマルク・ボアンですが、やはり長きに渡り革新性を維持することはとても困難です。
徐々にディオールというブランドは衰退し、人気も衰えていきます。
そして、それを決定づけたのが、マルセル・ブサックの破産です。
スポンサーを失ったディオールは風前の灯状態、アガッシュ・ウィロブループによって一時的に救済されますが、底に登場したのが、ベルナール・アルノーです。
昨今のラグジュアリーブランドというのは大体が大きなブランド・コングロマリットに属してますが、こうした弱ったブランドの買収を繰り返すことで幾つかの巨大な組織が出来上がっているのです。
ベルナール・アルノーはルイ・ヴィトン・モエ・ヘネシーグループを買収し、世界最大のブランド・コングロマリットのトップに立った人物なのです。
ここからディオールの破壊と再生が始まります。
伝統を活かしつつ清く正しい ジャン・フランコ・フェレ
(出典:http://www.dior.com/)
ブランドはデザイナーによって180度変わります。
衰退して、倒産寸前のブランドであっても素晴らしいデザイナーによって復活をした事例というのは数多くあります。
例えば、グッチのトム・フォードしかり、コーチのリード・クラッコフしかりです。
そして、アルノーが指名したデザイナーはジャン・フランコ・フェレ。
ジャン・フランコ・フェレも自身の名前を冠したブランドを展開しているのでご存じの方も多いと思いますが、アルマーニ、ヴェルサーチと並び「イタリアの3大デザイナー」と称されるほどの人物なのです。
1989年にディオールのデザイナーに任命されるまでは自身のブランドでオートクチュール・コレクションを発表していましたが、1989年から8年の間はディオールの主任デザイナーとしてオートクチュール・コレクションを発表しました。
ディオールの伝統を活かしながらも、いかにモダンを取り入れるかを考え伝統の上に新しい世界観を築きあげました。
伝統を捨て生まれ変わる 奇才ジョン・ガリアーノ
(出典:http://www.dior.com/)
そして、1996年からは問題児ジョン・ガリアーノの登場です。
ジョン・ガリアーノはディオールにとっていわくつきの人物。そもそも才能はすばらしく、大学のモード科を主席で卒業した後、すぐに自身ブランドを立ち上げるのですが、遊びすぎて倒産。
その後ジバンシィのデザイナーとして働いていたところを引きぬかれてディオールに移籍してきました。
ガリアーノは良くも悪くもディオールに衝撃を与えたデザイナーです。
そのデザインはというとジャン・フランコ・フェレ時代の伝統の上の新しいスタイルとはうって変わり、完全にこれまでのディオールを破壊するような革新的なデザインでした。
しかし、この破壊は多くの素晴らしいデザインを生み出し、常にファッション誌の表紙を飾るような完全復活を遂げたのもガリアーノの時代です。
そういう意味では「奇才」としてディオールに大きく貢献した人物ではあるのですが、人種差別発言によって逮捕され、そしてディオールを解雇。素晴らしい才能がありながらもその破天荒ぶりで悪い意味でも大きな衝撃を与えたデザイナーとなったのです。
誰も予想しえなかった ラフ・シモンズ
(出典:http://www.dior.com/)
ガリアーノの解雇によってしばらく空席となっていたデザイナーの椅子に座ったのはラフ・シモンズです。
このラフ・シモンズの就任というのもとても驚かされるものでした。
憶測としてはルイ・ヴィトンのデザイナーだったマーク・ジェイコブスやランバンのアルバー・エルベ、ジバンシーのリカルド・ティッシュなど様々な名前が飛び交っていたのですが、意外なところから出てきたのがラフ・シモンズだったのです。
しかもラフ・シモンズはジル・サンダーのデザイナーでしたが、それを解雇されたばかり。しかもオートクチュールの経験がないメンズウェア出身であり、それでいて奇才ジョン・ガリアーノとは全く違うミニマリストともいえるラフ・シモンズなのです。
しかし、ラフ・シモンズのファーストコレクションは8週間という短い準備期間の中でも大成功を収め、この選択が間違っていなかったということを証明します。
くしくもクリスチャン・ディオールの後継者としてデザイナーの地位に就いたイヴ・サンローランの新デザイナーとしてかつてディオール・オムのデザイナーだったエディ・スリマンが就任したのとタイミングが同じです。
こうした新デザイナーによってブランドがどう変わっていくのか、またある種ライバルのような構図というのも面白いですね。
かつてクリスチャン・ディオールとココ・シャネルが敵対していたように・・・
空白のクリエイティブ・ディレクターの座を射止めた マリア・グラツィア・キウリ
3年間クリエイティブ・ディレクターを務めたラフ・シモンズでしたが、2015年10月に自身のブランドに専念したいという理由から退任し、その後ディオールのクリエイティブ・ディレクターはしばらく空席となっていました。
そして、空白だったクリエイティブ・ディレクターの座を射止めたのがマリア・グラツィア・キウリ。
ヴァレンティノのクリエイティブ・ディレクターを退任したマリアがこれまで男性デザイナーばかりだったディオールで初の女性クリエイティブ・ディレクターをとなったのです。
ファーストコレクションは、様々な見方がありましたが「未来的」「新鮮」「革新的」「ロマンティック」といった様々なコメントが寄せられ大きな反響がありました。
こうしたデザイナーの交代によってブランドには常に新しい息吹が吹き込まれていき、成長もするし、衰退もするという生き物のようなものですね。
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