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服の建築家 クリストバル・バレンシアガ

クリストバル・バレンシアガというデザイナー

（出典:http://www.balenciaga.com/） バレンシアガというブランドは知っていてもクリストバル・バレンシアガという人物を知っているという人はあまりいないのではないでしょうか？

実はファッションの歴史において、とても重要であり、誰もが知っているココ・シャネルやクリスチャン・ディオールからも一目置かれるような人物だったのです。

ではなぜココ・シャネルやディオールほど有名ではないのでしょうか？
それはあまり表舞台に出てこなかったから。
コレクションでも舞台裏で見守るだけで、挨拶などもほとんどしない。
広告や写真、社交界など華々しい舞台を避けるようにしてきたのです。
モデル顔負けのウォーキングを見せるカール・ラガーフェルドなどとは正反対ですね。

こういった理由からクリストバル・バレンシアガの人生こそが最高の広告だったとまで言われるほどです。

モード界に革命を起こしたゆったりスタイル

（出典:http://www.balenciaga.com/） そんなバレンシアガが成し遂げたこと。 それは、女性の体のラインがはっきりと分かるようなピッタリとした服から、体型を気にせずに服を切れるようなゆったりとした服を作ったことです。

例えばディオールのニュールックを思い出すと、そのスタイルはコルセットで腰回りをガチガチに固めた建築的なアプローチでした。
当時の美的感覚からするとそれもありだったのですが、やはり着るだけでお手伝いさんを雇わなければいけないほど大変だったのです。

ココ・シャネルもコルセットから女性を開放したと言われていたり、ポール・ポワレやマドレーヌ・ヴィオネが最初にコルセットからの開放を行ったなど色々と見方はありますが、体型を気にせずに着れる服というのがポイントです。

「私の服を着るのに完璧も、美しさも必要ない。私の服が着る人を完璧にし、美しくする。」

こんな名言を残しています。

この自信に溢れた言葉を裏付ける根拠はバレンシアガの圧倒的な技術力にあります。
クラシカルでシンプルなバレンシアガの服というのは、それほど目立つものではありません。
しかし、その精密な裁断と素材の質というのは眼を見張るものがあり、体のラインが完璧でなくても裁断ひとつで直してしまう力を持っていました。

完璧を追い求めるがゆえに・・

（出典:http://flungmagazine.com/） バレンシアガはよく働くことでも知られていました。
「彼だけが、デザインをして、型紙を作り、縫い上げるという全ての工程を一人で出来る本当のクチュリエだ。」とココ・シャネルが言っているほどで、「クチュール界の建築家」の異名は伊達ではありません。

1日に120回の仮縫いをこなし、コレクションの隅々までチェックし、服だけでなく帽子のような小物まで自分の手で仕立てるほど。そして、妥協を許さない性格であり、自分の納得がいくまで何度でもパターンを作り直し、縫い目が完全に隠れるまで作りなおすといった完璧主義者でもあったのです。

これほどまでに完璧にこだわるが性格ゆえにビジネスの拡大という点では後手を踏んでいました。
アメリカの最先端の技術に興味を持ち、プレタポルテの工場を見学したのですが機械では自分の服は作れないと確信し、機械化によるビジネスの拡大を断念したのです。

この頃ディオールはアメリカでプレタポルテを展開し、大人気となっていましたがビジネス面での才覚ではディオールとは大きく違っていました。

とはいえ超一流の服を作り続けたバレンシアガは、最高の顧客と高価格に支えられて他のファッションブランドと並ぶほどの売上をあげていたというからすごいの一言です。

最高の仲間と最高の顧客に囲まれた人生

クリストバル・バレンシアガは、孤高の人でした。
慣れ合いを好まず、我が道を行くといったとても独立性の強い人物であったことは確かです。

オートクチュール組合にも入っていなかったし、注文を断ることもあった。
しかし彼の周りには常に最高の仲間がいました。

ココ・シャネルは「バレンシアガだけが本物のクチュリエだ」と讃えているし、マドレーヌ・ヴィオネとも親交が深かった。
クリスチャン・ディオールは、「われわれ全員の師」と呼び、バレンシアガが一度デザイン活動を辞めようとした時には直々に辞めないで欲しいと懇願したほどです。
ユベール・ド・ジパンシーは親友でもあり、「奇跡のバレンシアガ」と彼の類まれなる才能に賛辞を贈り、クレージュ、エマニュエル・ウンガロといった弟子たちはバレンシアガへの尊敬の念を忘れません。

ここに名前を挙げただけでも、歴史に名を残す名デザイナーがずらりと並んでいるのです。

さらに徹底してオートクチュールにこだわった彼の顧客は、バレンシアガに魅了され歩き方からものの見方まで感化されるほどだったといいます。
バレンシアガが閉鎖を発表した時にはショックで2日間も部屋に閉じこもって寝込んでしまう夫人もいたほどなのです。


「モードの未来を創った」とはヴォーグなどでも活躍したイギリスの写真家セシル・ビートンの言葉で、謎に満ちたバレンシアガの生涯ではありましたがこの言葉に彼の積み重ねたファッション界への功績がつまっているといえるでしょう。

次は、「イメージが全てのハイブランド業界」

この記事を監修しているのは？

ラグジュアリーブランド・ハイファッション調査部門

ラグジュアリーブランドやハイブランドでの勤務経験者、雑誌編集者、とにかくラグジュアリーブランドやハイブランドが好きなメンバーで編成。
好みや主観が入ったり、否定的な意見が存在するのは、ハイブランド.comの味であり、外部からの影響から独立しているからこそ出来ること。
世の中のトレンドや流れを敏感に察知し、常に新しい情報を発信出来るように奮闘しています。

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