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靴だけじゃない！目指せit Bag

ラグジュアリーブランドを命運を左右するハンドバッグ

（出典:http://www.jimmychoo.jp/） いまやラグジュアリーブランドにとってハンドバッグ・コレクションはなくてはならないほど重要な位置づけになっています。
よく”IT BAG（イット・バッグ）”などと言われ、ブランドのアイコンとなるバッグがもてはやされていますが、ハンドバッグはブランドの稼ぎ頭であり、その人気がブランドの命運を左右するほどなのです。

ジミーチュウにとってもハンドバッグというのは避けては通れない道でした。
もともとは靴職人ジミーチュウのオートクチュールの靴を、プレタポルテとして世に送り出す事を目的としたブランドでしたが、創業から7年後の2003年にいよいよ本格的にハンドバッグ・コレクションに乗り出したのです。

ブランド第2の柱　ハンドバッグによる製品の拡充

（出典:http://www.jimmychoo.jp/）

2003年以前には1999年のフェンディのバゲットの登場から、プラダのボーリングバッグ、クロエのパディントン、イヴ・サンローランのモンバサなど人気のバッグが登場し、ラグジュアリーブランド業界ではブランドを代表するバッグを生み出そうと必死になっていました。

ジミーチュウも例外ではなく、もともとバッグを全く販売していないわけではありませんでしが、2003年以前のジミーチュウのバッグというとシューズに合わせるイブニングバッグだけでした。
あくまでアクセサリー感覚のバッグだったので、それほど販売数も多くなく目立った存在ではなかったという状態です。

ここでこのイット・バッグブームに乗るべく、タマラ・メロンとクリエイティブ・ディレクターのサンドラ・チョイで新しいハンドバッグ・コレクションをデザインすることにしましたが、毎シーズンの靴コレクションに忙しすぎてなかなか手がつけられないでいました。
また、ハンドバッグは靴とは違った技術やデザインセンスが必要だったため、外部のデザイナーを採用したのです。

勝負をかけたひとつのバッグ「トゥリータ」

（出典:http://www.jimmychoo.jp/）

ジミーチュウのバッグ戦略はとてもユニークでした。
通常ラグジュアリーブランドでは、数多くのハンドバッグのモデルがあり、さらにラインごとにそのモデルがリリースされるようなケースが多いです。
モデルとライン、さらに素材やカラーを組み合わせて数十から数百のコレクションを発表しています。

しかし、ジミーチュウのとった戦略は一点のバッグで勝負するという選択です。
かなりリスキーな勝負のようですが、いくつものサンプルの中から一般消費者グループを集めてダントツ人気となった「トゥリータ」に命運をかけたのです。

トゥリータは、柔らかいレザーにT字型のフラップ、ゴールドのバックルをあしらったソフトでフェミニンな印象のバッグで、外付きポケットや物の出し入れ、使いやすさなど当時の流行になりつつあった実用性も兼ね備えていたことが決め手となりました。

大成功の決め手は、やはりセレブ

（出典:http://www.jimmychoo.jp/） 2003年の3月にタマラ主催の夕食会が開かれ、そこにはセレナ・ボードマン、トリー・バーチ、マージョリー・グベルマン、エミリア・ファンフール、ジェニファー・クリールなどが集まりました。
ここで集まったセレブたち帰り際に手渡したもの、それがトゥリータです。

実はトゥリータはこの時はまだ発売すらされておらず、販売予定も数カ月先でした。
ただタマラの思惑はセレブに愛用してもらうのが、もっともよい宣伝になると考えていて、発売よりも一足先に世界的なファッションセレブに使ってもらおうとしたのです。

レッドカーペット大作戦と同じくタマラの大胆な作戦は功を奏し、トゥリータは発売前から大人気となり、トゥリータを手に入れるための順番待ちリストが出来たほどでした。

こうしてジミーチュウは靴だけじゃない、レザーアイテムでも世界に通用するブランドだということを印象づけたのです。


いまでもジミーチュウのレザーアイテム（バッグや財布など）は他のブランドに比べ、それほど種類は多くありません。
もちろん本業が靴であるということもありますが、ハンドバッグ・コレクション発表当初からの一点勝負の精神を引き継いでいるところもあるのでしょう。

トゥリータ自体はすでに生産が終わっていますが、ジミーチュウのレザーアイテムというとスタッズがアイテム前面にあしらわれたコレクションが有名です。
トゥリータ以降もジミーチュウのレザーアイテムはしっかりとラグジュアリーブランドの世界に定着し、人気のアイテムになっているのです。

→次は、「あなただけの世界で一つだけの靴を」

この記事を監修しているのは？

ラグジュアリーブランド・ハイファッション調査部門

ラグジュアリーブランドやハイブランドでの勤務経験者、雑誌編集者、とにかくラグジュアリーブランドやハイブランドが好きなメンバーで編成。
好みや主観が入ったり、否定的な意見が存在するのは、ハイブランド.comの味であり、外部からの影響から独立しているからこそ出来ること。
世の中のトレンドや流れを敏感に察知し、常に新しい情報を発信出来るように奮闘しています。

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