Jimmy Choo ジミーチュウ
買収に次ぐ買収 成長に混乱はつきもの
急激な成長の影にあるもの
ジミーチュウは実に短期間で世界のラグジュアリーブランドへと駆け上がった類まれなるブランドです。
我々消費者からすると、とても華やかなイメージばかりが目に入ってきますが、これだけ短期間で成長し、また莫大なお金や権利が動いていることを考えると内部ではドロドロとした人間関係や様々な事態が起こっていて当然です。
ジミーチュウとイヤーダイ家の確執
まず最初がブランド設立当初からのジミーチュウとイヤーダイ家の確執ですね。
イヤーダイ家というのは、タマラもそうですし、タマラの父トムのことです。
もともとジミーチュウの権利はジミーチュウとトム・イヤーダイが50%づつで持っていたのですが、基本的に経営に関してはトムが、デザインに関してはタマラとサンドラ・チョイがほとんど行っており、ジミーチュウは1996年の設立当初からまったくといっていいほどブランドに関与していない状態です。
これはジミーの姪サンドラ・チョイがジミーチュウのクリエイティブ・ディレクターに就任していることからも分かりますね。
結局ジミーは靴職人であり、オートクチュールを優先してしまったので、大量生産のプレタポルテのやり方に納得出来なかったというのが大きな要因でしょう。
ジミーチュウがブランドを去ったのは、2001年でロバート・ベンサーソンとイクイノックス社によるジミーチュウの全株式の買収の時期でしたが、1996年の時点ですでにイヤーダイ家との確執は決定的になっていたとも言えるでしょう。
最初の買収 ロバートの情熱から
(2001年ブーツの発表)
ジミーチュウは実に4回にも渡り、ブランドが買収されています。
ラグジュアリーブランドの世界では、ブランドの買収というのはよくある話で、ルイ・ヴィトンを筆頭とするベルナール・アルノー率いるLVMH(ルイ・ヴィトン・モエ・ヘネシー)やグッチを擁するケリング、ラグジュアリーウォッチブランドが多数属するリシュモングループなど多くのブランドというのは買収され、巨大なブランドコングロマリットに属しているというのが一般的です。
これは、2000年前後にブランドの買収戦争が巻き起こり、多くのブランドが巨大グループによって買収されたことによって起こりました。
ジミーチュウは上に挙げたようなブランドグループに属しているわけではありませんが、ロバート・ベンサーソンとイクイノックス社によって2001年に買収されています。
これは買収と言っても敵対的買収ではなく、ジミーから株式を購入し、イヤーダイ家とも事前に交渉を重ねた結果によるものです。
なのでブランド買収後もタマラはジミーチュウに残り、代表取締役社長となり、ロバートがCEOに任命されました。
ある意味ロバートがCEOになったことでジミーチュウは成長軌道に乗ったともいえます。
もともとソニア・リキエル、セルッティ、クリスチャン・ラクロワ、ジャン・フランコ・フェレでブランド再建のビジネスを行ってきた手腕がいかんなく発揮されたのです。
財務やシステムの整備、ヨーロッパにおける卸売契約の見直し、ネッタポルテというオンラインストアの取引関係の強化、ショップデザインのリニューアル、製造ラインの安定確保、有名デパートへの出店交渉、靴に次ぐ製品ライン「バッグ」の拡充などジミーチュウを企業として成熟させていったのです。
売上は倍々ゲームのように伸びていき、ジミーチュウの企業としての価値も膨れ上がっていったのです。
2度目の買収劇 スピード決戦
(2004年キャンペーン)
ロバートがCEOにつき、企業としてのカタチが整い、ビジネスとして急成長を遂げたジミーチュウ。
そんな状態であれば当然ブランドとしての価値も高まります。
ここで次なる一手として再度の企業売却の検討が始まったのです。
この検討の中にはロバートをはじめ、トム・イヤーダイも入っていたのですが、なんとトムが病に倒れてしまいます。
トムの死はジミーチュウにとっての潤滑剤を失うことになり、ブランド経営にとってはとても痛手ではありましたが、逆にこのトムの死が遺産の分配などを含め、2度めの売却に対して拍車をかけたことも事実です。
この時最初はLVMHやリシュモン、ケリング(この当時はPPR)に売却を打診しましたが、すべて交渉が失敗に終わり、代わって名乗りを上げたのが、「青年銀行家」と言われていたリンドン・リーという人物でした。
リンドンがライオン・キャピタルという投資会社を設立し、約200億という価格でジミーチュウを買収することになりました。
2004年に行われたこの買収劇は、規模はそれほど大きくないとはいえ「ニューヨーク・タイムズ」、「ウォール・ストリート・ジャーナル」、「フィナンシャル・タイムズ」といった世界の主要経済誌で大きく取り上げられるニュースとなりました。
3度目の買収 タマラとロバートの確執で
(2006年ウェブサイトの立ち上げ)
リンドンによる買収からわずか2年後の2006年にはタマラとロバートのビジネス上の対立はすでに限界に達していました。
この時ロバートが打開策として考えたのが、ジミーチュウを再度売却することだったのです。
売却先の候補として挙がったのは、タワーブルック社で2004年のライオン・キャピタルによるジミーチュウ買収の時にロバートが知り合ったラーミズ・スースーとの関係によるものです。
ジミーチュウの業績は2003年からすでに3倍の規模になっていました。
2007年にタワーブルックによる買収が正式に決定し、なんと買収額は約440億と2年まえから倍増したのです。
そして、この買収を契機にしてロバートはジミーチュウを去り、新CEOとしてグッチ、ギャップ、ケネス・コールで経験を積んだジョシュア・シュルマンが就任します。
ジョシュアの就任は、同じビバリーヒルズ育ちで激情家のロバートとは異なる落ち着きのあるジョシュアの方がタマラにとっては相性がよかったのです。
ロバートがいた頃はタマラとサンドラの間にも不協和音が流れていましたが、それも改善したのです。
4度目の買収 タマラの退任
(2011年メンズコレクションの発表)
2011年にはさらなる買収が行われました。
買収したのは、ドイツのReimann Family(レイマンファミリー)が2007年に設立した企業ラベルックスグループ。
バリー、デレク ラムなどを保有している新興ブランドコングロマリットです。
ただ、今回の買収が今までと違うのはタマラが退任したということ。
これまで15年にも渡り、ブランドを支え成長させてきたタマラ・メロンが退任するというのは大きなニュースになりました。
CEOを務めていたジョシュア・シュルマンも退任しました。
クリエイティブ・ディレクターは、サンドラ・チョイが残っています。
ブランドの創始者がブランドを去るというのは、よくあることなのですが失敗に終わるケースが多いです。
グッチのようにグッチ一族がブランドを離れてから復活したケースやシャネルのあとにカール・ラガーフェルドによってブランドを活性化させたように成功事例もあります。
サンドラ・チョイが残っている時点でクリエイティブな面では大きな変化がないとは思いますが、動向は気になりますね。
ついに大手コングロマリットの一員へ
2017年にまたしてもジミーチュウに激震が走りました。
なんとMICHAEL KORS(マイケルコース)を運営するマイケル・コース・ホールディングス・リミテッドがジミーチュウを12億ドル(約1330億円)で買収すると発表したのです。
マイケルコースというとラグジュアリーと大衆向けファッションのちょうど中間に位置するような「手の届くラグジュアリー感が売りのブランドですが、ジミーチュウは完全なラグジュアリーブランドなので両者の違いは鮮明です。
マイケルコースは同時期にVERSACE(ヴェルサーチェ)の買収も行ったので、グループとしては高級路線へと舵を切っています。
マイケルコースは自身がアンブレラブランドになることを目指しており、その中で国際的なファッションブランドを傘下に収め、一大高級ブランドグループを築くという野望を持っているため、ジミーチュウの買収もその一環といえるでしょう。
繰り返し行われたジミーチュウの買収劇によって紆余曲折ありながらも、結果としてはラグジュアリーブランドとして成長の一途をたどり、ビジネスとしても大成功を収めているのです。
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ラグジュアリーブランド・ハイファッション調査部門
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