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ロエベを再構築する期待のホープ「ジョナサン・アンダーソン」

若干29歳でロエベを率いる若き才能「ジョナサン・アンダーソン」

2013年よりロエベのクリエイティブ・ディレクターに就任したジョナサン・アンダーソン。
彼は若干29歳という若さでロエベという超一流メゾンのトップデザイナーに就任した現在「もっとも才能のある」デザイナーとして期待される若手のホープです。

メゾンのクリエイティブ・ディレクターというと入れ替わりが激しく、結果が出ないとすぐにクビになってしまう完全実力主義の世界です。

ロエベに限らず、実力のあるデザイナーは各ブランドで引きぬき合戦が行われており、近年ではヴェトモンを立ち上げ、バレンシアガのアーティスティックデザイナーに就任したデムナ・ヴァザリア、サンローランを2016年に辞任したエディ・スリマン、ルイ・ヴィトンのニコラ・ゲスキエール、クロエ、セリーヌで活躍のフィービー・ファイロなどが有名です。 古くではシャネルやフェンディで名を馳せた皇帝カール・ラガーフェルド、グッチを復活させたトム・フォード、ルイ・ヴィトンのマーク・ジェイコブスなどデザイナーの実力がそのブランドの命運を左右するくらいとても重要なのです。

そんな重要な立ち位置に就いたジョナサン・アンダーソンとはどういった人物なのでしょうか？

ジョナサン・アンダーソンとは？

（出典:http://www.loewe.com/） 1984年に北アイルランドで生まれたジョナサンは、実はデザイナーになる前に俳優だったのです。
ただ、俳優をやる傍らでステージ衣装に興味を持ったことから、名門ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業しました。

そして、まだ24歳だった2008年にTopman (トップマン) が主催する若手メンズウェア・デザイナーのサポート・プロジェクト、「MAN」の支援のもと自身のメンズウェアブランド「J.W. アンダーソン」を立ち上げキャリアをスタート。
すぐにレディースラインも立ち上げ、正確なカッティング技術、伝統とモダンをミックスさせたスタイル、男女間でシェアできるデザインへのアプローチなどで、瞬く間にファッション界の注目の的となったのです。

何がすごいかというと通常は、幾つかのブランドで下積みをして、中堅ブランドのクリエイティブ・ディレクターを経験してビッグメゾンといったステップを踏むのを、いきなりオリジナルブランドをヒットさせ、ロエベという世界有数のブランドのトップに立ってしまったのですから、その期待というのは計り知れません。

さらに自身のブランドであるJ.W.アンダーソンも世界一のブランドコングロマリットであるLVMHグループ入りを果たしています。

ジョナサン流のアプローチでロエベはどう変わったか？

　 ジョナサンはクラフトマンシップをとても重んじるデザイナーです。
伝統に対して、モダンなイノベーションをミックスさせることで新しいスタイルを生み出しています。

彼が就任して、まず最初に考えたことはロエベをオリジナル（原点）に戻すということ。
要するに1846年にスペインのマドリードで数人の職人が集まって立ち上げた工房の時代に回帰するということなのです。

創業当時からロエベのデザインは時代から一歩進んだ先進的なものであり、そのオリジナルに現代的な要素をプラスするアプローチをとっています。

ロエベは生まれ変わりました。
ロエベの本来持つ強みである上質な素材、ジョナサンのもつクリエーションが融合したこれまでにない近未来的なコレクションです。

シーズンテーマも設けない。
なぜならインスピレーションは日常的に存在し、普段の生活、旅先で感じること、触れたこと。
その全てがインスピレーションの源泉であり、ファッションはただそれを映す鏡にすぎないからです。

なのでひとつのテーマに着目してデザインするというよりも、様々なインスピレーションを活かしてデザインのは場を広げているのです。

幅広い視野と才能をいかんなく発揮

（出典:http://www.loewe.com/） ジョナサンはただプレタポルテをレザーグッズをデザインするだけのデザイナーではありません。
ロエベをあらゆる方向へ導いています。

彼はアートやライフスタイル全般に多大な興味を持ち、それらをうまくブランドとコラボレートしています。

例えば、イギリス人のテキスタイルデザイナー、ジョン・アレンとコラボではジョン・アレンの手がけたカーペットを基点として「フォーリングリーブス」、「コーニッシュハーバー」、「カンブリアのピンクハウス」のデザインをセレクトし、トートバッグやダッフルバッグ、スカーフやタオルなどを展開しました。

他にも多分やの技術を応用してレザーの可能性を広げたり、解釈し直すという取り組みを行っており、「ボウルズプロジェクト」といったこれまでレザーが使われることがなかった分野への適応で新しいレザーの可能性を探るプロジェクトも行っています。

また、これまでロエベは店舗デザインの革新性には定評がありましたが、ジョナサンも店舗デザインにはとてもこだわりが強く、「カサ ロエベ 表参道」は、新ストアコンセプトを取り入れた世界初の店舗で店内と外との仕切りはガラス1枚のみで、これまでロエベの象徴ともなっていた美しいウインドウディスプレイも存在しないのです。

ひらかれた店構えは日本建築の影響も受けており、レザーボウルコレクションのインスピレーションともなった陶芸作品が店内にディスプレイされたのです。

日本の伝統文化にまで視野を広げるジョナサンは世界のあらゆる芸術を視界に捉えているのでしょう。


今後もジョナサン・アンダーソンの活躍からは目が離せません。
デザイナーによってブランドは変わります。
ジョナサン・アンダーソンの時代がロエベの黄金時代だったと言われる日がくるかもしれませんね。

次は、「財産は最高の素材と最高の職人」

この記事を監修しているのは？

ラグジュアリーブランド・ハイファッション調査部門

ラグジュアリーブランドやハイブランドでの勤務経験者、雑誌編集者、とにかくラグジュアリーブランドやハイブランドが好きなメンバーで編成。
好みや主観が入ったり、否定的な意見が存在するのは、ハイブランド.comの味であり、外部からの影響から独立しているからこそ出来ること。
世の中のトレンドや流れを敏感に察知し、常に新しい情報を発信出来るように奮闘しています。

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