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どん底から這い上がった逆転の歴史

幼い頃から非凡な才能を開花

　 MICHAEL KORS（マイケル・コース）は、1981年にアメリカでスタートした後に飛ぶ鳥を落とす勢いで世界中に拡大したブランドであり、大きなブランドコングロマリットにまで発展しつつあるグループ会社です。

そのスタートというのはブランド名の通り、マイケル・コースという一人のデザイナーによって始まりました。
1959年にニューヨーク州のロングアイランドに生まれ、母親はモデルというファッションに関係の深い家庭で育ち、実は幼い頃からモデルとして全国キャンペーンなどにも起用されていたのです。

実は両親が幼い時に離婚しており、最初の名前はカール・アンダーソンJrだったのが、5歳の時に母親が再婚し、その時にマイケル・コースという名前となりました。
幼い頃の逸話としては、マイケル・コースは幼い時からファッションにすでに夢中になっており、母親はマイケルに自分のウェディングドレスをデザインさせたのです。

大学はニューヨークのファッション工科大学（FIT）へと進みます。
しかし、勉強よりもストリートを愛したマイケル・コースは大学を中退し、当時流行を生み出していたブティックLothar‘sで働き始め、レザーを中心にブティックでのコレクションデザインを手掛けたというのがファッション業界へのデビューとなります。

そして、ブランド立ち上げのきっかけというのがバーグドルフ・グッドマンのエグゼクティブ・バイスプレジデントだったドーン・メローにその才能を見出され、正式にブランドを立ち上げることを助言されたからです。
ドーン・メローというとグッチのクリエイティブ・ディレクターも務めた超大物で、こんな人物にデビューしてもいない若者が注目されたというのはとてつもない才能だったということでしょう。

捨てる神あれば拾う神ありの大逆転

　 1981年にブランドMICHAEL KORS（マイケル・コース）を立ち上げ、サックス・フィフス・アベニューとバーグドルフ・グッドマンにて販売されました。
その後もブルーミング・デールズ、ニーマン・マーカス、ロード・アンド・テイラーといったアメリカの主要百貨店にてレディースラインを展開していったのです。

さらにトランクシューと呼ばれた個人の家でショーを行う地道な活動などもあり、デビュー後の1983年には、その実績が認められデュポンの主催する第1回アメリカン・オリジナル・アワードを受賞します。
1984年にランウェイデビューが叶い、マイケル・コースのグラマラスでシック、かつコンフォータブルなスポーツウェアというのは当時の女性の気持ちを理解しているデザイナーとして高い評判を築き上げていったのです。

しかし、デビューから一気に成功の階段を駆け上がったかに見えたマイケル・コースですが、1993年にはなんと破産申請を行っているのです。
日本ではあまり知られていませんが、低価格ラインのライセンスを持つ会社が生産を停止したことにより、大幅に収益が悪化してしまったのです。


　 ただ、その反省を活かしつつ世界最大のブランドコングロマリットLVMH（ルイ・ヴィトン・モエ・ヘネシー）の支援を得て、1996年にはセカンドラインとなる「KORS」を始動し、さらに1997年からCELINE（セリーヌ）のクリエイティブ・ディレクターを兼任することになります。

アメリカのデザイナーがフランスブランドを率いたという事例は過去にほとんどなく、ニューヨーク仕込みのミニマルで洗練された都会的なスタイルとパリの上品さを融合させたスタイルによってセリーヌの若返りを行ったのです。
LVMHからするとセリーヌのデザイナーとしてのマイケル・コースを買ったという感じなのでしょうが、大成功を収めました。

セリーヌの活躍によってマイケル・コースの価値も急上昇

　 セリーヌでの成功というのはマイケル・コース自体にも好影響をもたらし、一度は沈んだブランドがまた勢いを取り戻したのです。

セリーヌとの兼任中もブランドを拡大し続け、1999年にはCFDA（アメリカファッションデザイナー協議会）の主催するファッション界のオスカー賞でデザイナー・オブ・ザ・イヤーを獲得することになりました。

2004年までセリーヌのクリエイティブ・ディレクターを務めましたが、その間にもマイケル・コースは2001年にアクセサリーラインの立ち上げ、2002年にはメンズラインのスタート、2004年には1996年にスタートさせたセカンドラインKORSの後継として「MICHAEL Michael Kors（マイケル マイケルコース）」を発表しました。
さらにFOSSIL（フォッシル）とパートナーシップを締結し、ウォッチラインも立ち上げています。


　 2003年にはレディースだけでなくCFDAのメンズウェア・デザイナー・オブ・ザ・イヤーも獲得しているのですが、2010年にはこれまでの多大な功績が認められ、CFDAジェフリービーン生涯功労賞を歴代の最年少で受賞するという快挙も成し遂げました。

2011年には株式公開され上場企業となったのですが近年マイケル・コースが業界を賑わしているのは買収戦略で、2017年にラグジュアリーシューズブランドの「JIMMY CHOO（ジミーチュウ）」の買収、そして2018年には歴史あるオートクチュールブランドの「VERSACE（ヴェルサーチェ）」を買収するという事件を起こし話題を攫いました。

この買収劇によってマイケル・コースは、グループとしての社名をカプリ・ホールディングスに変更しています。
マイケル・コースというブランドもカプリ・ホールディングスのひとつのブランドになっています。

すでにニューヨーク、ビバリーヒルズ、シカゴ、ロンドン、ミラノ、パリ、ミュンヘン、イスタンブール、ドバイ、東京、香港、上海、ソウル、リオデジャネイロといった世界の主要都市に進出しており、ウェア、バッグ、レザーグッズ、シューズ、ジュエリー、ウォッチ、アイウェア、フレグランスなどのフルラインナップを取り揃えるトータルファッションブランドとして世界規模で展開されています。

次は、「マイケル・コースのイメージはセカンドライン」

この記事を監修しているのは？

ラグジュアリーブランド・ハイファッション調査部門

ラグジュアリーブランドやハイブランドでの勤務経験者、雑誌編集者、とにかくラグジュアリーブランドやハイブランドが好きなメンバーで編成。
好みや主観が入ったり、否定的な意見が存在するのは、ハイブランド.comの味であり、外部からの影響から独立しているからこそ出来ること。
世の中のトレンドや流れを敏感に察知し、常に新しい情報を発信出来るように奮闘しています。

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