High-Brands.com

サンローランの歴史「いつも時代を作るモードの帝王」

イブ・サンローランの歴史

　 イブ・サンローランは1961年でイブ・サンローランとその恋人であったピエール・ベルジェ、そしてアメリカ人の実業家マック・ロビンソンによって設立されました。
イブ・サンローランの歴史を語るとそれはそのままイブ・サンローランとピエール・ベルジェの歴史に置き換えてもいいのかもしれません。

そして、もう一人イブ・サンローランというブランドを語る上では外せないのが、エディ・スリマンです。
エディ・スリマンは2012年にサン・ローランにブランド名を変更したクリエイティブ・ディレクターですが、これはイブ・サンローランが引退した後の話なので後述することにしましょう。

まずは、イブ・サンローランというデザイナーがいかにしてメゾンを開くことになったのか、そこから振り返って見る必要があります。
実はエディ・スリマンを絡めてイブ・サンローランとディオールの関係を見てみるととてもおもしろいことにも気づくと思います。

メゾン「イブ・サンローラン」が出来るまで

（出典:http://www.ysl.com/） イブ・サンローランは、1936年にフランス領のアルジェリアで保険会社に勤める両親のもとで生まれた比較的裕福な中流階級の子供でした。
17歳でパリに移住し、パリのシャンブル・サンディカル・ド・ラ・オート・クチュール ファッションデザイン学校に入学します。
すでにこの頃から非凡の才能を発揮しており、ライバルとなる素晴らしいデザイナーたちとも切磋琢磨している時代です。なぜかというと3ヶ月のコースが終了する頃に行われたIWS主催のデザインコンクールにカクテルドレスを応募し、最優秀賞を獲得してしまったのです。
しかも、このカクテルドレスを縫製したのはジバンシィで、コート部門の受賞者はあのフェンディ、シャネルで皇帝とまで呼ばれるようになったカール・ラガーフェルドだったのです。

そして、このコンクールがきっかけでVOGUEのディレクターだったミッシェル・デブリュノフがイブをクリスチャン・ディオールに紹介し、ディオールとの出会いとなったのです。
ディオールはイブの才能に感銘を受け、すぐに後継者として育成を始めました。
1954年にクリスチャン・ディオールに入ったイブですが、3年後にはクリスチャン・ディオールが急逝してしまったため、1958年、若干21歳という若さでクリスチャン・ディオールという当時は飛ぶ鳥を落とす勢いであった巨大メゾンの主任デザイナーとなってしまったのです。

普通なら重圧に押しつぶされてしまうような中、イブは「トラペーズ」ラインという、スカートの裾のラインがちょうど膝にかかるくらいの台形のデザインを発表し、翌日の新聞には「イヴ・サンローランはフランスを救った。偉大なるディオールの伝統は続きます」といった見出しが踊るなど大好評を博し、さらにニーマン・マーカス賞を受賞するほどでした。

しかし、栄光は永くは続きませんでした。
1960年にアルジェリア独立戦争を戦っていたフランスに徴兵され、ディオールを離れることになります。
実はこの徴兵の裏にはディオールのオーナーであったマルセル・ブサックが動いていたこともありました。
なぜかブサックはイブのことが嫌いだったようで、ディオールがもう一人気にかけていたマルク・ボアンを主任デザイナーにするためにイブを戦争に行かせ、その間にイブを解雇してマルク・ボアンを主任デザイナーに就任サせたのです。
イブは軍隊内のいじめなどもあり、心を病み、精神病院に収容されるまでに弱り果ててしまったのです。

イブ・サンローラン（YSL）の設立

ある意味ではマルセル・ブサックによるディオールの解雇はイブにとっては良かったのかもしれません。
1961年に恋人ピエール・ベルジェと自身のメゾンである「イブ・サンローラン」を設立することが出来ました。
資金面での苦難もありましたが、アメリカの実業家マック・ロビンソンの援助もあって乗り切ることができています。

そして、ここから若き頃から天才と呼ばれ、「モードの帝王」となったイブ・サンローランの快進撃が始まります。

1965年　モンドリアンルック

　 オランダの抽象画家ピエト・モンドリアンの作品にインスピレーションを得たもので、白のミニワンピを垂直と水平にいれたラインによって分割し、分割されたそれぞれのエリアに赤、黄、青の3原色を大胆に取り入れるというデザインです。
アートとファッションを融合させた見事なデザインによってサンローランの類まれなる才能を世に知らしめる作品となりました。

1966年　スモーキング

　 男性用のタキシードをアレンジしてクールな女性用のスーツに仕立てあげます。
細身でスタイリッシュなスタイルはイブ・サンローランを象徴するようなアイコンとして語り継がれるようになります。
スモーキングという名前はタキシードと同義語でもともと食後の喫煙時に着ていたガウンからタキシードが生まれたことが語源です。

1968年　シースルー

　 シースルーは今でこそ当たり前のように使われているものですが、肌が透けて見えるシースルーを最初に発表したのはイブ・サンローランで、一大センセーションを巻き起こすほどの衝撃的なものでした。

1968年　サファリルック

　 サファリルックも元々狩猟の時に男性が着る服を女性用のスーツとして改良して、ボタンではなく紐を使い、ベルトでウエストを締めることで女性的なラインを生み出し、後世までサンローランで度々使われる定番のスタイルとなりました。

1968年　パンタロン

　 パンツスタイルの革命とも言われるパンタロン。
日本では裾広がりのパンツを指しますが、日常着としてスカートに変わる女性用スタイルとしてパンツを定着させるということに一役買いました。
ある意味タブーとされていたことに挑戦した結果として、徐々にミニ・スカートに変わる新しいスタイルとして米を中心として浸透していきました。


こうした新しい女性のエレガンスを提案する中で1966年にはイブ・サンローラン リブ・ゴーシュ（Yves Saint Laurent rive gauche）をパリにオープンし、プレタポルテラインをはじめます。

それ以降もめまぐるしい活躍を続け、1985年にはフランスの最高勲章レジオン・ドヌール勲章シュヴァリエ、1993年にはデ・ドール賞（金の指抜き賞）を授与されるなど、「モードの帝王」と呼ばれるほどのデザイナーとなり、まさに20世紀を代表するデザイナーへと駆け上がったのです。

激動の渦に巻き込まれたサンローラン

（出典:http://www.ysl.com/） イブ・サンローランの活躍は、ファッション業界に常に驚きと感動を与えるような素晴らしいものでしたが企業としてのイブ・サンローランは1990年代に入り、激動の時代を迎えます。
1993年のサノフィ・ボーテ社による買収である。
この2000年前後というのは、ちょうどブランドの買収合戦が繰り広げられていた時期で、ベルナール・アルノー率いるLVMH（ルイ・ヴィトン・モエ・ヘネシー）やグッチを所有するPPR（ピノー・プランタン・ルドゥート）など激しい攻防が繰り広げられていました。

そんな濁流の中にイブ・サンローランも巻き込まれてしまったのです。
PPRによってサノフィ・ボーテが買収され、オートクチュール以外のプレタポルテラインのリブ・ゴーシュ、フレグランスやコスメを扱うイブ・サンローラン・ボーテはPPRの傘下であったグッチグループに入ります。
イブ・サンローランはオートクチュールとともにPPRの直下組織に残ることになりました。

そして、2001年リブ・ゴーシュのデザイナーとしてグッチを再生させたデザイナーとして名高いトム・フォードが就任するのです。

2002年には、イブ・サンローラン本人も引退を発表し、イブ・サンローランの後を継ぐことが出来る人物などいるはずもなくオートクチュールはイブの引退をもって閉鎖することになります。
2003年にはトム・フォードもリブ・ゴーシュのデザイナーを辞任し、2005年にアルマーニ、プラダと渡り歩いてきたステファノ・ピラーティが後任となり、2012年までデザイナーを務めることになります。

ステファノ・ピラーティによる立て直し

（出典:http://www.ysl.com/） ステファノ・ピラーティは、ミラノに生まれファッションの中心として発展していく様子を見るうちにもともと目指していた測量士の道を諦め、セルッティのインターンからキャリアをスタートさせました。
そして、1993年にはジョルジオ・アルマーニのメンズウェア部門のアシスタントとして採用され、1995年にはプラダのファブリック部門の開発担当者になり、素材について深い造詣をえるようになります。
プラダの姉妹ブランドであるミュウミュウ（MiuMiu）のアシスタント・デザイナーへと昇格し、プラダの女王ミウッチャ・プラダのもとでレディース、メンズウェアの担当をしてきました。

そんなピラーティがイブ・サンローランに入ったのが2000年。
わずか2年後の2002年にはイブ・サンローランの全デザインを統括するディレクターとなっており、トム・フォードの辞任を受けて2004年にクリエイティブ・ディレクターに就任することになります。

イブ・サンローランの神格化された輝き、エディ・スリマンの強烈な個性に比べると目立たない印象がありますが、2004年の就任以降、2012年の退任まで8年もの間イブ・サンローランのトップとして指揮を取り、グッチグループによる買収やイブ・サンローランの引退などでブランド価値が低下していたイブ・サンローランの立て直しを図り、よりコンテンポラリーなラグジュアリーブランドとして改革した功労者です。

歴史を変えるエディ・スリマン

（出典:http://www.ysl.com/） 2012年に8年にも渡り、イブ・サンローランを支えてきたステファノ・ピラーティが退任し、その後任としてクリエイティブ・ディレクターの座についたのがエディ・スリマンです。
実はエディ・スリマンは、サノフィ・ボーテに買収された後の1997年よりメンズラインのアーティスティック・デザイナーを数年務めていました。

そのエディがメンズ、レディースのクリエイティブ・ディレクターとして戻ってきたのです。
エディ・スリマンといえば2000年よりディオール・オムのデザインを手がけ、伝説となったコレクションを発表し、社会現象を巻き起こすほどの人気を博したデザイナーです。

イブ・サンローランのキャリアのスタートがディオールのデザイナー出会ったことを考えるととても数奇な運命だと言えるのではないでしょうか？
また、ステファノ・ピラーティの後任として噂されていたのが、エディ・スリマン以外にももう一人いて、それがジル・サンダーのデザイナーを務めていたラフ・シモンズです。
なんとラフ・シモンズはジョン・ガリアーノが解雇されて空席となっていたディオールのクリエイティブ・ディレクターの座にエディ・スリマンがサンローランのクリエイティブ・ディレクターになるのと同時期に就いたというのもとてもおもしろいといえます。

サンローランとディオールというのは切っても切れない縁で結ばれているのではないかと思ってしまいます。

そして、エディ・スリマンが行った改革のひとつとしてプレタプルテのブランド名称をイブ・サンローランから「サンローラン・パリ」に変更したのです。
これは、イブ・サンローランへの反旗というわけではありません。ブランドの原点に立ち返るために1966年のリブ・ゴーシュ創業当時のフォントを使用しており、また、「YSL」というロゴも存続させ、企業としてのイブ・サンローランという社名もそのままです。

エディ・スリマンのロック魂溢れるニューテイストのサンローランは、イブ・サンローランの残したブランドの伝統を尊重しながらも新しいスタイルを生み出し、大人気を博すことになっています。

常に時代は変化していく

　 サンローランでわずか数年の間にひとつの時代を築いたといってもいいエディ・スリマンですが2016年10月に開かれた2017春夏コレクションでついにサンローランを去ることになりました。

完全なるカリスマとしてサンローランだけでなく、ファッション業界全体をけん引していたと言ってもいいほどの活躍をしていたエディ・スリマンが退任すると一体どうなってしまうのかと多くの方は不安がり、またスリマンの退任を残念に感じたことでしょう。

スリマンの退任は実はもう少し前から噂されており、後任にはアンソニー・ヴァカレロが着任するというのが2016年4月に発表されました。

スリマンの後は相当なプレッシャーではあったでしょうが、このアンソニー・ヴァカレロという人物も並の人物ではありません。
キャリアのスタートはカール・ラガーフェルド時代のフェンディでスタートし、あのラガーフェルドもアンソニーの才能には着目していたといわれています。
自身のブランドも立ち上げており、2015年にはヴェルサーチのメンズ、ウイメンズのクリエイティブ・ディレクターになっているのです。

サンローランへの移籍によってわずか1年でヴェルサーチを去ることになったわけですが、それだけ数々の名門メゾンがその才能に着目していることの裏返しでもありますね。
デザイナーの移籍も激しいですし、ブランドとデザイナーは合う合わないというのもありますので、これからのサンローランにもまだまだ注目が必要です。

→次は、「天才 異才 奇才 エディ・スリマン」

この記事を監修しているのは？

ラグジュアリーブランド・ハイファッション調査部門

ラグジュアリーブランドやハイブランドでの勤務経験者、雑誌編集者、とにかくラグジュアリーブランドやハイブランドが好きなメンバーで編成。
好みや主観が入ったり、否定的な意見が存在するのは、ハイブランド.comの味であり、外部からの影響から独立しているからこそ出来ること。
世の中のトレンドや流れを敏感に察知し、常に新しい情報を発信出来るように奮闘しています。

このブランドを見た人はこんなブランドも見ています

中古・古着でサンローランを格安購入

1	SNKRDUNK スニーカーダンク
	ハイブランドを売りたい人と買いたい人をマッチングしてくれる新しいサービスの形態！安心の真贋鑑定を兼ね備え、煩わしいやり取りのいらない次世代のフリマアプリでお得にハイブランドをゲットしよう！
	SNKRDUNKでサンローランを探す

2	セカンドストリート 2nd Street
	取り扱い商品が100満点規模にも登る古着アイテムが常識外れの格安プライスで販売中！オンライン試着や店舗お取り寄せなど大手ならではの充実のサービスで安心・快適なショッピング体験を！
	セカンドストリートでサンローランを探す

サンローランを海外から直接購入

1	SSENSE エスセンス
	ラグジュアリーブランド海外通販のSSENSE（エスセンス）がついに待望の日本語オープン。関税や送料もコミコミ価格でベッドで寝転びながらでも格安でハイブランドが買えちゃいます。
	SSENSEでサンローランを探す

2	MATCHESFASHION マッチズファッション
	英語版でも大人気だった老舗セレクトショップが待望の日本語化。最大で50％OFFにもなるセールはただでさえ安い海外直買い付けを信じられない破格のプライスにしてしまった！
	MATCHESFASHIONでサンローランを探す

3	LUISAVIAROMA ルイーザヴィアローマ
	100年近い歴史を誇る老舗ブランドセレクトショップによる安心の海外直輸入！関税も送料も込みこみでセール価格で最後の1点はさらに割引、安心・安全に格安海外ショッピング！
	LUISAVIAROMAでサンローランを探す