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ファミリー経営によってDNAが継承される歴史

世界でも類を見ないほど成功しているファミリービジネスの始まり

　 MISSONI（ミッソーニ）の創業は、オッタヴィオ・ミッソーニとロジータ・ミッソーニが結婚した1953年に夫婦でスタートしました。
ミッソーニというブランドはラグジュアリーブランドとしては珍しく、創業から一貫して一族経営を続けるブランドであり、ミッソーニの歴史はまさにファミリーの歴史となっているのです。

創業者の2人は共に1921年生まれでオッタヴィオは1948年のロンドンオリンピックに400m障害で決勝にまで進出し、ロジータは英国留学をしており、この時たまたま応援に行ったスタジアムでオッタヴィオと知り合い、その後結婚にいたしました。

こうした運命的な出会いによってミッソーニというブランドの歴史は、ロマンティックなスタートをすることになったのです。

創業はロジータ・ミッソーニの祖父が経営していたニット工場を引き継いだことがきっかけとなっており、当初はニット素材を活かし、オッタヴィオの経験でスポーツウェアを生産していました。
創業当初から、54年に長男のヴィットリオ、56年に次男ルカ、58年に長女のアンジェラと後にミッソーニを支える子供たちを授かっています。

「ニットの魔術師」、「色彩の魔術師」と言われる世界最高のニットウェアへの道

　 ニットを活かしたスポーツウェアというのはあまりうまくいきませんでしたが、1950年代後半頃からコンセプトを刷新し、カラフルで抽象的な幾何学パターンのニットウェアで注目を集め始めます。
1958年に初のコレクションである「Milano-Simpathy（ミラノシンパシー）」で鮮やかなカラーパレットのストライプは強烈なインパクトがあるものでした。
元々がニット工場であり、その技術力は高いものがあったミッソーニが攻めのデザインに転じたことで、これまでのニットウェアの地味なイメージを覆し、ファッションセレブの心に刺さったのです。

1966年にはついにミラノコレクションにデビューし、アイコンとなるニットウェア以外にも独特のカラーとパターンをほどこしたドレスなどプレタポルテとしても高い評価を得ました。

この時にイタリア版VOGUEのアンナ・ビアッジやアメリカ版VOGUEのダイアナ・ヴリーランドといった大物エディターに認められたことによって一躍注目のブランドへと駆けあがっていきました。
こうしたエディターから提案もあり、ニューヨークの主要な百貨店との話し合いから新たな工場の創業も開始。

これまでニットでは難しいとされていた多色編みやジグザグ模様、ストライプなどの機械編みの新しい技術を開発しニット業界に大改革をもたらしていったミッソーニは1970年代には「世界最高のニットブランド」という評価に達し、『ニットの魔術師』、『着る絵画』といった最上級の敬称を得られるまでになったのです。

こうした評価の高さというのは1973年にファッション業界のオスカー賞とも呼ばれるニーマン・マーカス賞を受賞しました。
そして、ブランド創業から40周年、オッタヴィオとロジータの結婚からも40周年を経た1993年にイタリア大統領から、これまでのファッション業界に対する優れた功績を称えられ勲章が授与されたのです。

ブランドのDNAは継承しつつ、ブランドはさらに成長

　 1997年という年はミッソーニにとってひとつの節目の年となりました。
創業者であるオッタヴィオとロジータが共に引退を表明し、経営、デザインを自分たちの子供たちへと引き継ぎ、後を託したのです。

1978年からアシスタントとしてミッソーニに入社し、1993年から自らのコレクション「アンジェラ・ミッソーニ」も立ち上げていた娘のアンジェラ・ミッソーニがクリエイティブ・ディレクターに就任しました。
長男のヴィットリオがCEOとして経営を担い、次男のルカがメンズ部門を担当するという体制へと移行しました。


　 通常、家族経営のラグジュアリーブランドは代替わりのタイミングでブランドが沈んでいくケースも多いのですが、アンジェラは両親の引退以前から十分にミッソーニを引き継ぐ準備が出来ており、これまでのミッソーニのDNAはそのまま継承しつつ、よりフレッシュで現代的なコレクションを展開したことでブランドとしてはこれまで以上の飛躍をするという珍しい軌跡をたどったと言えます。

1998年からはセカンドラインとなる「M Missoni（エム ミッソーニ）」の展開も開始、アンジェラがミッソーニに入社してからライセンスアイテムのスーパーバイザーも行っていたこともあり、スタート直後はライセンス生産が行われました。

アンジェラの展開するミッソーニの価値はすこぶる高く評価されており、2008年からは兄のルカに変わり、メンズ部門のクリエイションもアンジェラ・ミッソーニに代わっています。
このクリエイションの交代によってミッソーニのクリエイティブ面での指揮統括というのは全てアンジェラに集中しました。

ただ、アンジェラも2021年には退任し、その右腕として15年間ともにクリエイションを行ってきたアルベルト・カリーリにその座を譲っています。
まだまだ革新が期待されるミッソーニの舵をどう取っていくのか？それとも暫定対応で次のクリエイティブ・ディレクターへと繋げていくのかも注目です。

輝く未来へと向かうため孫の世代も活躍

　 創業者オッタヴィオとロジータの子供であるアンジェラ、ヴィットリオ、ルカが2代目ミッソーニをこれまで以上のブランドへと成長させてきました。

そして、一族経営を続けるミッソーニではさらに新しい世代が動き出しています。

2018年にはミッソーニのブランドミューズとしても知られる創業者から見ると孫にあたるマルゲリータ・マッカパーニ・ミッソーニがセカンドラインの「エム ミッソーニ」のクリエイティブ・ディレクターに就任することになりました。


　 これまでライセンス生産をしていた契約を打ち切り、ミッソーニのダイレクションの下に展開されるセカンドラインとしてクリエイティブ・ディレクターとしてマルゲリータを指名したのです。
マルゲリータ自体はミッソーニというブランドを離れて、外部での様々なプロジェクトに関わっていたのですが、これを機にファミリービジネスに携わることになりました。

そして、同じく孫にあたるジャコモ・ミッソーニもマーチャンダイジングの学位を取得し、メンズ、レディース、ビーチ、キッズなどミッソーニのゼンコレクションのマーチャンダイザーとして活躍するなど新しい世代もすでにその才能を発揮しているのです。


ファミリービジネスとして他にはないほどの成功を収めているMISSONI（ミッソーニ）。
これからも一族の素晴らしい才能を後世に継承し、素晴らしいウェアを生み出していってくれることを願います。

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この記事を監修しているのは？

ラグジュアリーブランド・ハイファッション調査部門

ラグジュアリーブランドやハイブランドでの勤務経験者、雑誌編集者、とにかくラグジュアリーブランドやハイブランドが好きなメンバーで編成。
好みや主観が入ったり、否定的な意見が存在するのは、ハイブランド.comの味であり、外部からの影響から独立しているからこそ出来ること。
世の中のトレンドや流れを敏感に察知し、常に新しい情報を発信出来るように奮闘しています。

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