Roger Vivier ロジェ・ヴィヴィエ
「シューズ界のファベルジェ」ロジェ・ヴィヴィエの歴史
20世紀の3大シューズデザイナーと言われるロジェ・ヴィヴィエ
フランスのロココ期の偉大な画家ジャン・オノレ・フラゴナールにちなんで「靴のフラゴナール」、そして宝石や貴金属を用いて作られるインペリアル・イースター・エッグを作った金細工師ピーター・カール・フェベルジェにちなみ「シューズ界のファベルジェ」と呼ばれたロジェ・ヴィヴィエ。
サルヴァトーレ・フェラガモ、アンドレ・ペルージャと並び20世紀の3大シューズデザイナーにも数えられるほどの偉大なデザイナーとロジェ・ヴィヴィエというブランドが歩んだ歴史を見ていきましょう。
芸術家志向だった幼少時代
ロジェ・ヴィヴィエは1907年にパリで生まれましたが、残念なことに9歳にして両親を亡くし、伯父の一かに引き取られ幼少期を過ごしました。
しかし、伯母はヴィヴィエの芸術的な才能のよき理解者であったことでパリの名門美術学校エコール・デ・ボザールに入学し、彫刻を専攻しました。
彫刻を学びながらも舞台美術などにも興味を持ち、いくつかの舞台製作なども行っていました。
ただ在学中に伯父の友人が経営する靴工場で働くことになり、この経験がヴィヴィエの靴職人としての未来に大きな転機となったのです。
ヴィヴィエの指向は大きく変化し、靴もそうなのですが服なども含め、単なる芸術品ではなく「身に着けることの出来る芸術品」を作ることに舵を切り、エコール・デ・ボザールを中退し、ドイツの皮革製品の卸であるラボレムスでシューズ職人としての修業を始めました。
もともと舞台芸術にも興味を持っていたヴィヴィエだったので、この時期ムーラン・ルージュやカジノ・ド・パリなどの劇場やミュージックホールに通いつめ、舞台衣装などを手掛けており、バックステージで知り合った女優ジョセフィン・ベーカーや歌手ミスタンゲットのためにカスタムメイドのシューズをデザインするようになっていったのです。
スパンコールやタッセルといったこの時代では靴にほとんど使われていなかった前衛的で煌びやかなデザインが受けて、靴デザイナーとしてロジェ・ヴィヴィエに注目が集まりました。
ブランドを立ち上げる以前から成功は約束されていた
こうしたクリエイションの成功から1937年にはパリのロワイヤル通り22番地に最初のブティックをオープンすることになりました。
実はロジェ・ヴィヴィエという名前を冠したブランドの立ち上げは1963年なのですが、一般的にこのブティックのオープンがブランドのスタートとされています。
ブランドの立ち上げ前からフランスのスターを顧客に抱えていたロジェ・ヴィヴィエですが、1938年のブランドオープン直後にココ・シャネルのライバルとも言われたトップクチュリエールのエルザ・スキャパレッリのコレクションでロジェ・ヴィヴィエのウエッジソールが採用されているのです。
ヴィヴィエのシューズはこの後も様々なトップデザイナーのコレクションで採用されることになりますが、すでにこの段階でトップデザイナーとのコラボレーションが実現していました。
1940年代はブランドの歴史において空白の時代になっていますが、その理由は明白でこの時期は第2次世界大戦があったからです。
アメリカのドルマン社の招聘によってアメリカに渡っていたのですが、レザー製品の製造が制限されていましたが旧友のシュザンヌ・レミーとニューヨークにシュザンヌ&ロジェというショップをオープンして過ごしていました。
フランスに帰国したのは1947年ですが、このタイミングでクリスチャン・ディオールとのコラボレーションが決定します。
そして1950年代に入ってからがロジェ・ヴィヴィエの快進撃が始まるのです。
シューズの歴史を変えるほどの革新と偉大な功績
1953年にドイツ人女優マレーネ・ディートリッヒのためにヒールにビジューをあしらった「ボールヒール」をデザイン。
この後、エリザベス・テイラーやウインザー公爵夫人、イランのソラヤ王妃、ブリジット・バルドー、エヴァ・ガートナー、ビートルズといった世界のセレブリティ向けにシューズデザインを手掛けていくことになるのですが、この年にブランドとしては一大事とも呼べるイベントが発生します。
1953年6月2日、イギリスのエリザベス女王の戴冠式でヒールにガーネットを贅沢にあしらった子ヤギ革製のゴールドのパンプスが着用されたのです。
この戴冠式に招待されたフランス人デザイナーはロジェ・ヴィヴィエだけという歴史にも名を残すほどの栄誉を手にしました。
さらに同年クリスチャン・ディオールがシューズアトリエを開き、デザイナーとしてロジェ・ヴィヴィエを抜擢。
ディオールがシューズデザイナーをパートナーにしたのは生涯でロジェ・ヴィヴィエただ一人だけです。
この1953年という年は、ロジェ・ヴィヴィエにとって大きな飛躍の年となったのは明らかでしょう。
1954年に航空工学エンジニアの協力によって発明した「エギュイーユ(スティレットヒール)」は、クリスチャン・ディオールのオートクチュールに採用され、女性とファッションにもたらした最大の貢献ともいえるほど世界の女性を魅了しました。
ヒールの改革はこれだけではなく、1959年のスティレットが外側から内側にカーブすることシャープな雰囲気からフェミニンを表現する「ショック」や1963年のコンマの形のようにシューズの外側から内側、そして外側にかけてカーブするヒール「ヴィルギュル(コンマヒール)」などシューズ史に残るような革新的なデザインを多数発表しています。
満を持して1963年にパリのフランソワ・プルミエ通りにブティックをオープンし、自らの名前を冠したロジェ・ヴィヴィエというブランドを立ち上げたのです。
数々の革命的デザインの中でも最大のヒット作となったのが、現在では「ベル ヴィヴィエ」と呼ばれているピルグリムパンプスです。
イヴ・サンローランのモンドリアンコレクションのためにデザインされたクロームプレートのオーバーサイズバックルが印象的なパンプスですが、1967年の映画「昼顔」でカトリーヌ・ドヌーヴが着用したこともあり、ブティックにはベル ヴィヴィエを求める女性客であふれ、1年間で20万足以上を売り上げるという記録を残しました。
ロジェ・ヴィヴィエは1971年に引退しましたが、全盛期ともいえる1950~1970年代にディオールやサンローランだけではく、バレンシアガやエマニュエル・ウンガロ、バルマン、クレージュ、シャルル・ジョルダンといった時代を彩るデザイナーの靴デザインを手掛けてきました。
こうした功績から『20世紀の3大シューズデザイナー』とまで呼ばれる存在となったのです。
ロジェ・ヴィヴィエ亡き後のブランド再始動
ロジェ・ヴィヴィエは1998年に91歳でこの世を去ります。
ロジェ・ヴィヴィエの靴はニューヨークのメトロポリタン美術館やロンドンのヴィクトリア&アルバート美術館などに展示されるほどとなりました。
1971年のロジェ・ヴィヴィエの引退以降は、ブランドは下降線を辿っていたと言っていいでしょう。
カリスマデザイナーが創業したブランドというのはうまくデザイナーの引継ぎが行われないとブランドの魅力は徐々に失われていきます。
ロジェ・ヴィヴィエもその例外ではありませんでした。
しかし、2002年からTOD‘S(トッズ)グループがロジェ・ヴィヴィエに資本を入れ始め、2004年にはブランドの再スタートを期すため、ブルーノ・フリゾーニをクリエイティブ・ディレクターに、そしてブランドアンバサダーとして元祖スーパーモデルとも言われるイネス・ド・ラ・フレサンジュを起用しました。
2007年にはアクセサリーブランドとしては初のオートクチュールコレクションを発表。
熟練のアルチザンがハンドメイドしたリミテッドエディションのシューズとバッグという特別なアイテムを披露しました。
そして2010年には「昼顔」以来の映画「ロビンフッド」でケイト・ブランシェットのシューズをデザインし、映画へも復帰。
これを機にケイト・ブランシェットだけではなくシャーリーズ・セロン、シャロン・ストーン、マリオン・コティヤール、ケイティ・ホームズ、ジェシカ・アルバ、フリーダ・ピント、アン・ハサウェイ、ジェニファー・ローレンスといった現代のセレブリティの支持も集めています。
また、元フランス大統領夫人のカーラ・ブルーニ・サルコジのためにデザインしたバッグ「ミス ヴィヴィ」は彼女の公務で使用され話題となり、シューズだけでなくバッグのブランドとしての名声を得ています。
ブランド再スタートからの新体制によってブランドは息を吹き返し、2015年にはTOD‘S(トッズ)の買収が完了し、正式にトッズグループの傘下となっています。
そして、2018年からは16年クリエイティブ・ディレクターを務めたブルーノ・フリゾーニは退任し、後任としてゲラルド・フェローニがクリエイティブ・ディレクターに就任しました。
プラダ、ヘルムートラング、フェンディ、ミュウミュウといった一流ブランドでシューズデザインを行い、さらにディオールではウィメンズシューズ企画のトップとしてジョン・ガリアーノ、ラフ・シモンズのもとで働いてきた人物です。
デビューコレクションでは新アイコンとなった「トレ ヴィヴィエ」シリーズを発表し、さらにメゾン初となるスニーカー「ヴィヴィラン」を発表するなどメゾンの伝統を継承しながらもコンテンポラリーなコレクションを発表し、新しいロジェ・ヴィヴィエのスタイルを確立しています。
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ラグジュアリーブランド・ハイファッション調査部門
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