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ラグスト界の大物ジェリー・ロレンゾ

FOGを立ち上げたラグストの立役者ジェリー・ロレンゾとは？

　 FEAR OF GOD（フィアオブゴッド）の創業者でありクリエティブ・ディレクターのジェリー・ロレンゾ。
アメリカでは今やカニエ・ウエストやヴァージル・アブローといったラグジュアリーストリートを語る上での代名詞的存在の彼らと肩を並べるほどの存在になっています。

といってもジェリー・ロレンゾしかり、ヘロンプレストンしかり、マシュー・ウィリアムズしかりである意味ではファミリーのような仲間うちであることは確かです。

しかし、おもしろいのはこれまでファッションスクールや学校などでファッションを学んだことがないというキャリアの持ち主。
純粋にストリートからファッションを感じ取り、インスピレーションを得て、フィアオブゴッドというブランドを完成させ、ラグジュアリーストリートをけん引しているという点ではもの凄くすごい人物であることは間違いありません。

どうれすればここまでのセルフブランディングを確立し、時代のトップに立てるのか夢がふくらむ半生を追ってみましょう。

生まれ育った環境がブランドの方向性に大きな影響

　 ジェリー・ロレンゾが誕生したのは1976年、アメリカのカリフォルニア州サクラメントです。
父は当時メジャーリーガーに成りたてのジェリー・マニュエル、母は熱心なキリスト教信者でヴィンテージ愛好家でもあったジェリー・レネッタ。

メッツの監督にまでなった父のおかげで裕福な家庭に生まれ育ち、恵まれた環境で多くの文化や物、そして母の影響もあり貴重なヴィンテージ品に触れることが出来たことは後の妥協しないモノづくりにもつながっているのでしょう。
実際にインタビューでも宗教やヒップホップ、グランジ、ボンバージャケットやBMXジャージ、Migos（ミーゴズ）やカート・コバーンといった音楽に影響を受けたと語っています。

そしてブランド名の「FEAR OF GOD」というのも、キリスト教信者のレネッタと毎日欠かさず行っていた礼拝の中で読んでいたオズワルド・チェンバースの「MY UTMOST for HIS HIGHEST」の一節が由来となっているのです。

学生時代はバスケットボールに熱中し、誰もが憧れるマイケル・ジョーダンやアンドレ・アガシといったトップアスリートから影響を受けています。

この時点では、自身がまだファッションブランドを立ち上げるという事は想像もしていなかった可能性が高いですが、ラグジュアリーというものを実体験していたことが、ストリートとラグジュアリーを結び付けるというコンセプトに繋がっていったのだと思います。

実はファッション業界とは違う道を歩いてきた

　 華々しい半生を歩んできたと思われがちなジェリー・ロレンゾですが、実はファッション業界に入ったのはアルバイトから。
しかもデザインアシスタントやインターンなどといったものではなく、商品在庫の補充などを行うバックヤード係。

ディーゼルやドルチェ＆ガッバーナ、GAPなどで働いており、ブランドの名前だけを聞けばそれなりですが、あくまでアルバイトなのです。
この辺りが一般的なクリエティブ・ディレクターの半生にあるような数々のブランドで経験を積みというくだりとは全く違います。

逆にこういった学生時代の経験からファッション業界に足りないものや人が好むデザインや傾向をつかみ、自分が足りないとおもったものを作るためにデザインの勉強を始めました。

学生時代からバスケットボールをしていたロレンゾですが、NBAの夢が叶わないと理解すると野球へと進路を変え、マイナーリーグでプレーするところまでいきコーチとなりました。
その後スポーツエージェントで働き、この時にNBAプレーヤーや大リーガーなどとのコレクションを作ります。

そしてこのコネクションを活かしてJL Nightsというイベントを主催することになりました。
このイベントの中で当時はまだ結婚はしていませんでしたが、後に妻となるデジレ・マニュエルはスタイリストをしていたので、イベントで付き合いだしたセレブな仲間たちの個人スタイリストとしてデジレを紹介し、その裏方としてファッションビジネスがスタートしたのです。

個人スタイリストとして、すでにあるハイブランドでは友人たちもロレンゾ自身も納得できなかったので、カスタムしたアイテムやオリジナルアイテムを作るようになり、これがフェアオブゴッドの原型となりました。

ラグスト界隈はコネクションが重要

　 JL Nightsはフィアオブゴッドには欠かせない出会いをたくさん生み出しました。
カニエ・ウエストとの出会いもJL Nightsのイベントからですし、Ne-Yo（ニーヨ）、ドレイクなどとも出会っており、なんとTygaの「Still Got it」ft. DrakeのPVにも出演しているのです。

そして、出会いという意味では大きかったのが、ビッグショーン。
カニエ・ウエストの秘蔵っ子とも言われるラッパーともデジレのおかげで出会うことができ、フィアオブゴッドのアイテムを気に入ったことから付き合いが始まりました。

これがきっかけでカニエ・ウエストのYEEZYとのAPCコラボレーションに参加することが出来るようになったのです。
その後YEEZYツアーでもジェリー・ロレンゾはツアーデザイナーとして参加することにもなりました。

これまで培った圧倒的なコネクションがあったからこそ、フィアオブゴッドは2013年にファーストコレクションで満を持してデビューした直後からラグジュアリーストリートの世界で大きな注目を集め、一躍ラグストの中心とまで言われるブランドへと飛躍したのです。

ブランドの設立としてはオフホワイトやパームエンジェルスよりも早く、ジェリー・ロレンゾはラグジュアリーストリートの立役者的な存在として認知されるようになりました。

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この記事を監修しているのは？

ラグジュアリーブランド・ハイファッション調査部門

ラグジュアリーブランドやハイブランドでの勤務経験者、雑誌編集者、とにかくラグジュアリーブランドやハイブランドが好きなメンバーで編成。
好みや主観が入ったり、否定的な意見が存在するのは、ハイブランド.comの味であり、外部からの影響から独立しているからこそ出来ること。
世の中のトレンドや流れを敏感に察知し、常に新しい情報を発信出来るように奮闘しています。

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