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家族経営からグローバルへ マルニの歴史

着たいものを作りたいという思いから

(出典:https://www.marni.com/) MARNI（マルニ）というブランドは1994年に出来たばかりのブランドでハイブランドといわれるブランドの中ではかなり新しく若いブランドといえます。
そんなMARNIがどのような軌跡をたどり今のポジションを築いてきたのか、歴史的な観点から迫ってみたいと思います。

MARNI（マルニ）を立ち上げたのは、コンスエロ・カスティリオーニという女性デザイナーですが、ブランド創業のきっかけは夫であるジャン・カスティリオーニの会社「Ciwifurs」のファミリービジネスの一貫という位置づけでした。
今でこそマルニはレディース、メンズのアパレル、レザーグッズ、アクセサリーなどを取り扱う総合ブランドとなっていますが、当初は夫の毛皮メーカーであるCiwifursのビジネスの一部だったので毛皮とレザー製品のみのスタートだったのです。

しかし、コンスエロ・カスティリオーニがファミリービジネスをはじめたきっかけというのが「自分の着たいものを自分自身で作りたい」という思いからだったので1996年のミラノコレクションへの参加が決まったタイミングでニットなどのアパレル、アクセサリーなどを含むトータルブランドへと舵を切りました。

そして1999年についにCiwifursから独立し、MARNI(マルニ)というブランドが独り立ちしました。

家族経営によるブランドの繁栄

(出典:https://www.marni.com/) マルニのコレクションを見ているとその独自性を感じることが出来ると思いますが、素材の使い方、プリント、チェックやストライプなどの模様、ボリューム感や構築的なシルエットなど今までのブランドにはないようなアートな雰囲気と建築的なアプローチによる大人かわいいレトロスタイルによって世界的に人気化していきます。

そして2000年代のマルニは店舗展開やオンラインストアの開設、コレクションの拡張などブランドの幅、知名度、基盤を盤石なものにしていきます。

店舗展開を見てみると2000年にはロンドンにブティック1号店、そして日本ではオンワード樫山の子会社バスストップと提携してマルニ・ジャパンを設立しました。
2001年にはミラノ、そして2002年にはパリ、さらに同年「フューチャー・システムズ」による美しい曲線で構成された巨大なフラッグシップストアを南青山にオープンしました。
2005年にはロサンゼルスと香港、2006年には上海、2008年にはマイアミと世界の主要都市に直営店の展開を広げていきます。

さらにマルニはオンラインストアのパイオニアともいわれており、2006年にヨーロッパとアメリカ向けに、その翌年には日本向け、2011年には中国向けのオンラインストアを開設しています。
この運営はコンスエロ・カスティリオーニの娘であるカロライナによって行われており、まさに家族ぐるみの経営によってMARNI（マルニ）というブランドは運営され、成長していったのです。

グローバルへの店舗展開と同時に2002年にはメンズコレクション、2003年にはジュエリーコレクション、そしてカーペットの製作に関してThe Rug Companyとライセンス契約を結び、2005年にはアイウェアを始めるなど商品ラインナップも拡充していきました。

家族経営からグローバルブランドへ

　 2012年、マルニにとって大きな転機が訪れます。
これまで夫のジャン・カスティリオーニによるブランドの経営、デザイナーのコンスエロ・カスティリオーニ、そして娘のカロライナによるオンラインストアの運営といった家族経営によって成長してきたマルニですが、この年ついにOTBグループというブランドコングロマリットの傘下にはいることになったのです。

昨今は単独ブランドとして存続している方が珍しく、どこかのブランドコングロマリットに所属するのが一般的になっているので経営基盤を安定させるためにも悪いことではありません。

OTBグループというのはDIESEL（ディーゼル）の創始者レンツォ・ロッソが率いるグループでメゾン・マルジェラやヴィクター＆ロルフ、Paula Cademartoriなどを所有する企業です。


(出典:https://www.marni.com/) こうした買収によって何が起こるかというと経営体制やデザイン体制の刷新です。
2016年に創業者であり、これまでマルニのデザインを支えてきたコンスエロ・カスティリオーニがデザイナーを退任し、フランチェスコ・リッソがクリエイティブ・ディレクターに就任しました。 また、CEOも2018年にステファノ・ビオンドに交代しています。

フランチェスコ・リッソはフィレンツェやニューヨーク、ロンドンでファッションを学んだあとにアンナモリナーリやアレッサンドロデラクア、マーロなどで経験を積んだ後、プラダに入社しウイメンズコレクションを担当していた敏腕デザイナー。
フランチェスコ・リッソによって新生マルニの幕が開きました。
そしてリッソは2018年にはファッション業界の最重要人物のひとりとしてBoF（The Best of Fashion）500に選出されています。

フランチェスコ・リッソはクリエイティブ・ディレクターに就任して以来、スタイルの変革、そしてインテリアやマーケティング、デジタルの活用までマルニ新しい方向性を築き上げてきました。
その貢献が認められて2020年に契約更新が行われ、ブランドのさらなる活性化を行っていくでしょう。


わずか20年ほどの間にこれほどまでのブランドに成長したMARNI（マルニ）。
今後のブランドがどのように成長していくのかまだまだ目が離せません。

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この記事を監修しているのは？

ラグジュアリーブランド・ハイファッション調査部門

ラグジュアリーブランドやハイブランドでの勤務経験者、雑誌編集者、とにかくラグジュアリーブランドやハイブランドが好きなメンバーで編成。
好みや主観が入ったり、否定的な意見が存在するのは、ハイブランド.comの味であり、外部からの影響から独立しているからこそ出来ること。
世の中のトレンドや流れを敏感に察知し、常に新しい情報を発信出来るように奮闘しています。

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