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多彩なクリエイターとのコラボレーションで快進撃

コラボレーションを推進するカルチャーを醸成

　 かねてから積極的な外部デザイナーやブランドとのコラボレーションを行ってきたMONCLER（モンクレール）。
バレンシアガやジュンヤワタナベなどとのコラボレーションは有名で、sacai（サカイ）のデザイナー阿部千登勢が手がけたMONCLER S（モンクレール エス）やvisbim（ビズビム）のデザイナー中村ヒロキが手掛けたMONCLER V（モンクレール ブイ）、ホワイトマウンテニアリングの相沢陽介のMONCLER W（モンクレール ダブリュ）、ミハラヤスヒロのMONCLER Y（モンクレール ワイ）、そして今やルイ・ヴィトンのクリエイティブ・ディレクターとなったオフホワイトのヴァージル・アブローのMONCLER O（モンクレール オー）など実に多彩な才能との協業路線を歩んできました。
こうして見ると日本人デザイナーとのコラボレーションが多いようにも思いますね。

普通に考えれば当然と言えますが、特にヴァージル・アブロー率いるオフホワイトとのコラボレーションは大成功に終わり、これがこの先の一大コラボレーションプロジェクトの火種となったのです。

満を持して始まったMONCLER GENIUS（モンクレール ジーニアス）

　 これまで様々なコラボレーションを続けてきたモンクレールですが、2018年に新しいプロジェクトとして「MONCLER GENIUS（モンクレール ジーニアス）」を立ち上げます。

このプロジェクトは、個性あふれるデザイナーがモンクレールのプロダクトをベースにしてそれぞれの熱い想いを表現したコレクションを毎月順番にリリースしていくというものです。

第1期のプロジェクトに参画したデザイナーは8人でVALENTINO（ヴァレンティノ）のクリエイティブ・ディレクターを務めるピエールパオロ・ピッチョーリをはじめ、パーム・エンジェルスのフランチェスコ・ラガッツィ、シモーネ・ロシャ、クレイグ・グリーン、サンドロ・マンドリーノ、キュレーターとしてカール・テンプラー、そして日本からもフラグメントの藤原ヒロシ、そしてコムデギャルソンが展開するノワールケイニノミヤの二宮啓が参加しました。

まさに時代をけん引するような豪華な顔ぶれで圧倒的なオリジナリティをもって新しいファン層を獲得しました。

1つのメゾン、異なるボイスでユーザーを魅了

　 毎月の新しいコレクションで、同じモンクレールというブランドなのに次々と新しいスタイルが飛び出すことでユーザーが常にワクワクできるジーニアスコレクション。


　 初年度から素晴らしいメンバーが集まりましたが、年々参加するメンバーの顔ぶれにも変化が現れます。
2年目となった2019年のコレクションでは、1017 ALYX 9SMのデザイナー マシュー・ウィリアムズも新たに参加しました。
フェティッシュなスタイルと大胆なバックル使いなど独自性の強いテイストで人気を集めている新進気鋭のブランド。
モンクレールの持つ機能性と快適さ、耐久性といったハイクオリティなスタンダードを目指すALYXとしてもそこにモダンな息吹を投入して新しいプロダクトを創り出すというという意志を持ち、独自の世界観を持ってモンクレールを表現しました。


　 そして2020年にはクリエイティブ・ディレクターとしてLOEWE（ロエベ）も手掛けているスーパーデザイナー ジョナサン・ウィリアム・アンダーソンが加わり、さらにスーツケースで有名なRIMOWA（リモワ）もジョインしたのです。

ジョナサン・アンダーソンは自身のアーカイブからインスピレーションを得たドットとスパイクを配したカラフルなダウンウェアが注目を集めました。

スーツケースとのモンクレールだとどういったコラボになるのか？と疑問に思われるかもしれませんが、リモワのコレクションもとてもおもしろく、アイコニックなオリジナルキャビンを鏡面のように磨き上げ、まるでモンクレールの光沢感のあるダウンジャケットのように仕上げ、さらにボディにはLEDスクリーンをあしらうというユニークなコレクションを発表しました。


　 2021年の目玉はHYKE（ハイク）の初参加。
究極のベーシックブランドらしいミニマルなデザインながら、フランス人登山家のリオネル・テレイが着用したアーカイブジャケットやフランスのヴィンテージウェアなどからアイテムを製作。
カーキやネイビーを中心としたシンプルなカラーで、ディテールにハイクらしさを落とし込んだミリタリーっぽさを感じさせるデザインを発表しました。

ブランド戦略の成功 モンクレール ジーニアスによって快進撃

　 このモンクレール ジーニアスというプロジェクト自体は実験的な意味合いも強いものでしたが、ブランドとしては期待以上の成果を収めたといえます。

毎月新たな商品を店頭に送り込むことで常に店舗を活性化し、話題を提供し、そしてユーザーには新しい発見と驚きを提供してきました。
これまでモンクレールに興味のなかった人も自分の好きなブランドやデザイナーがコラボレーションしているから見てみようと新しいユーザーを獲得するにも寄与していますし、ストリートブランドとのコラボレーションによって若い世代に対しても効果的なアプローチとなりました。

ブランドに対する憧れを高め、欲しいブランドとして頭の中に意識づけ、これまでの高級ダウンジャケットというイメージとはまた違うイメージをユーザーに届けられたのではないかと思います。

時代と共にブランドの戦略は変化していきますが、これからのデジタル時代においてモンクレールのとったジーニアス戦略は新しいコミュニケーションモデルとして今後は他のブランドでも活用されていくのではないでしょうか。

実際にブランドの売上高は大幅に伸びているので、ファンも増え、売上も上がり、さらによい商品が投入されていくことでしょう。

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この記事を監修しているのは？

ラグジュアリーブランド・ハイファッション調査部門

ラグジュアリーブランドやハイブランドでの勤務経験者、雑誌編集者、とにかくラグジュアリーブランドやハイブランドが好きなメンバーで編成。
好みや主観が入ったり、否定的な意見が存在するのは、ハイブランド.comの味であり、外部からの影響から独立しているからこそ出来ること。
世の中のトレンドや流れを敏感に察知し、常に新しい情報を発信出来るように奮闘しています。

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