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100年以上の歴史を誇るランバン

少女時代から才能の片鱗を見せていたランバン

(出典:http://www.lanvin.com/) ジャンヌ・ランバンは1867年にジャーナリストの父コンスタンタン・ベルナール・ランバンのもと1月1日にパリに生まれました。
9人の男の子とたった一人の女の子という大家族でした。

ジャンヌ・ランバンはまだ日本でいう中学生の時代にすでにお金を稼いでいました。
それは、洋服や帽子を大量に抱えてお客さんの家に注文を聞いてまわる婦人服店の使い走りでした。
これ自体は当時のパリでは珍しいことではなく、こうしてお金を稼ぐ少女は数百人はいたのです。

ジャンヌ・ランバンもその中のひとりだったのですが、少し変わっていたのは手間賃を安くするために場所の後ろを走ってまわっているということでした。
この頃からすでに実業家としての顔を覗かせていたということです。

1883年からフォーブル・サントノーレ15番街のマダム・フェリックスの店で帽子づくりの修行をし、なんと1885年、18歳で自分の帽子屋を開いたのです。
これが今も続くLANVIN（ランバン）というブランドの始まりなのです。

ランバンを知るものは彼女の店は必ず成功するものと確信していました。
実際に彼女の店は繁盛し、より広く、よりよい場所へと移転を重ねていったのです。

ランバンブランドの大きな転機は結婚ではなく・・・

(出典:http://www.lanvin.com/) 1895年にはイタリア人の貴族エミリオ・ディ・ピエトロと結婚します。
結婚生活自体は長くは続かず、8年ほどで破局を迎えることになるのですが、ジャンヌ・ランバンにとってはこの結婚によって大きな人生の転機が訪れることになりました。

それが娘マルグリートの誕生だったのです。
そしてマルグリートの誕生によって何が起こったかというと、「子供服」を作り出したということです。

娘への愛情とジャンヌの才能が共鳴し、かつてないような子供服が次々と誕生しました。
ジャンヌ・ランバンが子供服のモードを創造したと言っても過言ではないほど、素晴らしい子供服がワードローブに溢れかえったのです。

これをみた顧客たちから自分の娘にも子供服を作って欲しいと注文が相次ぎ、ジャンヌは「子供服」の部門をオープンしたのです。
後に子供服がランバンというビッグメゾンの大きな柱になるということは、まだ想像してはいませんでした。

ビジネス的に作られた服ではなく、単純に我が子への愛情から生み出された服にパリジェンヌたちは魅了されたのです。

1909年の段階で「婦人服」と「子供服」の2つの部門ともに順調そのものでした。
この時期にクチュール組合にも加入し、ブランドはどんどんと成長を続けていきました。

飛躍的な成長を続ける巨大な帝国ランバン

(出典:http://www.lanvin.com/) 1918年にフォーブル・サントノーレ22番地の建物を買い取ったランバンには「スーツ」のアトリエと「柔らかもの」のアトリエが2つ、「帽子」と「ランジェリー」のアトリエが1つずつ、刺繍用のアトリエが2つ、デザインアトリエが1つ、さらにジャンヌ自らが人に任せられない作業を行う特別なアトリエを1つあるという状態にまで発展しています。

1920年代に入るとこうしたアトリエの従業員は販売員を除いても800人以上にまで膨らみました。
コレクションのたびに300以上のパターンを発表し、わざわざアメリカからコレクションを見に来る顧客もかなりの数見受けられるようになったのです。

このあたりからランバンというのはどんどんと組織化が進んでいきます。
婦人服部門と子供服部門だったランバンは、スポーツ、毛皮、紳士服、インテリアなど事業を多角化していくのです。

とくにインテリアに関しては、アルマン・アルベール・ラトーと交友により、ランバン・インテリア・ブティックの内装デザインからランバンの店舗、さらにランバンの自宅、ドヌ－劇場など数々の内装を手がけました。

1923年には何テールに染色工場を建設しており、「ランバンのパレット」の素晴らしいカラーが生み出されていきました。


(出典:http://www.lanvin.com/) 1926年にはレジオン・ドヌール勲章の騎士章を受勲し、これは女性としては初めての快挙となりました。
そして翌年には香水「アルページュ」が発表され、ラトーがデザインした黒いボール状のデザインのボトルが印象的で今もなおランバンの代表的なアイテムとして地位を確立しています。

ランバン亡き後もそのDNAは引き継がれていく

ランバンの持ち味というと刺繍とパール使いの上手さでした。
モチーフに合わせてパールやスパンコールはもちろんのこと雲母や産後、金糸に銀糸、リボン、ラフィアなど多彩な素材を使い、彩っていきます。
モチーフは娘への愛情の証でもあるマルグリートのモチーフやハート、そしてリボンや木の葉などが多く使われました。

これらは1920年から25年くらいにピークに達し、その後1930年代からはコレクションにラメが登場します。
プラストロンや肩のウイング用の並行な縫い目を入れたサテン、蜂の巣織りのサテン、スーツを強調する飾りひも、アップリケやフリルなど1940年代に至るまでとても多くのバリエーションを生み出していきました。

1937年にはパリのオートクチュール協会の会長になり、ファッション業界へも大きく貢献します。

1946年にはジャンヌ・ランバンは79歳でこの世を去りますが、最愛の娘マルグリートが社長としてあとを継ぎます。
その後はオートクチュールをスペイン人のアントニオ・カノヴァス・デル・カスティロに託し、ベルギーのジュール＝フランソワ・クラエが引き継ぎ、さらにはメリル・ランバン、クロード・モンタナなどジャンヌ・ランバン亡き後も数々のクリエーターがランバンのDNAを守っていったのです。


(出典:http://www.lanvin.com/) 2001年からはアルベール・エルバスがデザイナーを務め、メンズはエルバスの指揮のもとルカ・オッセンドライバーになっています。

エルバスはコレクションのハイライトとしても取り上げられるほどで、ランバンらしいエレガントかつフェミニンなデザインが特徴となっています。
そして、近年のメンズ人気はオッセンドライバーの活躍によるところが大きいです。


(出典:http://www.lanvin.com/) 2015年にエルバスがアーティスティック・ディレクターを退任し、ジャンポール・ゴルチエ、バレンシアガ、クリスチャン・ラクロワなどで活躍したブシュラ・ジャラールがウィメンズのアーティスティック・ディレクターに就任し今後の活躍が期待されましたが、2年ほどで退任となり後任にオリヴィエ・ラピドスが就任しましたがわずか2シーズンで退任し、その後ランバンのデザインチームのデザインとなり空席が続きます。
さらに人気低迷のウィメンズとは裏腹にメンズ人気を14年もの間けん引してきたルカ・オッセンドライバーの退任も発表されました。

この一連のデザイナー退任劇には2017年2月に中国の投資会社フォースン・インターナショナル（FOSUN INTERNATIONAL）による買収というのも一因としてあるでしょう。


(出典:http://www.lanvin.com/) 満を持して2019年にバレンシアガやアレキサンダーワンで経験を積み、ロエベのメンズデザインを手掛けていたブルーノ・シアレッリがメンズ・ウィメンズ両方を統括するクリエイティブ・ディレクターとして就任しました。
これまでバラバラだったメンズとウィメンズの世界観を統一し、ランバンを再生するためのスタートを切っています。

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この記事を監修しているのは？

ラグジュアリーブランド・ハイファッション調査部門

ラグジュアリーブランドやハイブランドでの勤務経験者、雑誌編集者、とにかくラグジュアリーブランドやハイブランドが好きなメンバーで編成。
好みや主観が入ったり、否定的な意見が存在するのは、ハイブランド.comの味であり、外部からの影響から独立しているからこそ出来ること。
世の中のトレンドや流れを敏感に察知し、常に新しい情報を発信出来るように奮闘しています。

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