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デザイナーストーリー

世界初のスチールパイプ椅子の開発者

1902年にハンガリーのペーチに生まれ、ウィーンで美術を学んだ後、ワイマールに移りバウハウスの第一期生となります。当時の家具工房のフォルムマスターであったヴァルター・グロピウスがブロイヤーの才能を見抜き、家具のデザインを勧めました。
後にバウハウスの教官（マイスター）となったブロイヤーは数多くの家具デザインを手がけ、1925年に世界初となるスチールパイプ椅子「Wassily Chair（ワシリーチェア）」を生み出します。

1928年よりベルリンで独立し、家具や内装デザインのかたわら、展示会の設営も手がけていましたが、1930年代に入り、ドイツ国内でナチスが台頭すると、ユダヤ人のブロイヤーはロンドンに移住します。
ロンドンでは、Isokon（アイソコン）社に勤め、自分の長椅子をデザインする際にベニヤ板で金属のような曲面を構成することをいち早く試みています。

ブロイヤーは最終的にはアメリカに移住し、 ハーバード大学院、マサチューセッツ工科大学で建築を教えます。
生徒には、後にアメリカを代表する建築家となった、フィリップ・ジョンソンやポール・ラドルフなどがいました。
また同時期に、ブロイヤーはバウハウス時代からの旧友でハーバード大での同僚、ヴァルター・グロピウスと共に建築設計事務所を開設し、ボストン周辺の幾つかの住宅のデザインを手懸けていきます。

1941年には自身の建築設計事務所をニューヨークに開き、1945年の「Geller House I」は双眼鏡に着想して玄関を中心に寝室と居間・食堂・キッチンを両翼に分けてデザインした「バタフライ」と呼ばれる特徴的な屋根を持つ最初の作品を発表し、この作品はモダニズム建築の代表的型式となります。

1953年、パリのユネスコ本部の設計依頼はブロイヤーにとって転換点となり、この仕事で初めてコンクリートを使用します。以後の彼は曲線美や彫刻的な表現を特徴とするブルータリズムの先駆者として広く知れ渡るようになり、多くの建築家は「彼はコンクリートで“柔かさ”を表現した」と称賛しました。 1925年以来、彼の手によって開発されたスチールパイプ椅子や建築によって、住宅についての新しい考え方を広めることに寄与しました。それによって彼は、20世紀を代表する最も重要な家具デザイナー、インテリアデザイナーの一人となっています。

Wassily Chair（ワシリーチェア）

（出典:http://www.knoll-japan.com/） ワシリーチェアは、スチールパイプの加工性と張地の張力を利用して作られた世界初の椅子です。自転車の製法からヒントを得たと言われる特徴的なスチールパイプのベースは、シンプルな形の中に美しさと耐久性を併せ持つための精密な技術が随所に施されています。製作年の1925年、それまでの椅子は４本足で重いものが主流であり、当時としてはあまりにも前衛的な作品だったため評価されませんでしたが、バウハウスで親交の深かった抽象画家のワシリー・カンディスキーがこの作品を高く評価したことから、彼の名前を取り、「ワシリーチェア」と命名しました。

Cesca Chair（チェスカチェア）

（出典:http://www.knoll-japan.com/） チェスカチェアは、鋼管丸パイプの素材特性を生かしたカンチレバー構造により、弾力性のある快適な座り心地を実現しています。シンプルで美しいデザインの中に、椅子としての機能を高い次元で実現したチェスカチェアは、完成度の高い椅子として世界各国で愛され続けています。

chaise longue（シェーズロング）

（出典:http://www.moma.org/） 1932年にデザインしたアルミ製の寝椅子に採用していた構造を用いて、1936年に新たにプライウッドでリ・デザインされたのがこの「シェーズロング」です。金属にはない、暖かみのある表情を持った作品です。

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この記事を監修しているのは？

高級家具・インテリアリサーチ部門

元建築家や現役インテリアコーディネーターや家具販売店員で編成。
国内外の高級家具やブランドなどを徹底的にリサーチし、定番からまだ見ぬブランドや家具を発掘しています。
世の中のトレンドや流れを敏感に察知し、常に新しい情報を発信出来るように奮闘しています。

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