- Established： 2012
- Nation：アメリカ
- Website：https://fearofgod.com/
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フィアオブゴッド Overview
ラグジュアリーストリートの台風の目「フィアオブゴッド」
アメリカではすでにラグジュアリーストリートの中心的存在と言われているFEAR OF GOD（フィアオブゴッド）というブランド。
日本での知名度はまだそれほどないですが、確実に日本のラグストカルチャーにも浸透しつつあります。
フィアオブゴッドの創業者ジェリー・ロレンゾは、いまやラグジュアリーストリートというファッション業界の大きな革命に置いて、ルイ・ヴィトンのクリエイティブ・ディレクターとなり大成功を収めているオフホワイトのヴァージル・アブローと並ぶほどの影響力を持つとされる超重要人物。
日本では取り扱いも少ないですし、おそらくヘロンプレストンやマルセロ・ブロンの方がラグストブランドとして認知されている傾向もありますが、アメリカではラグジュアリーストリートファッションに欠かせないブランドとなっています。
ベースがオーセンティックな1980～90年代のアメカジなので、そのころのカルチャーに触れていたセレブにとってはとても懐かしさを感じさせるものですし、知らないヤングセレブからすると逆に新鮮に映るのです。
ただ、アメカジといって使われる素材は超一流で、「Made in LA」にこだわり、大量生産をせずに丁寧に仕上げられる品質の高さは、伝統的なラグジュアリーブランドと同じレベルのハイエンドな価格帯になっています。
ラグジュアリー×ベーシックなアメカジ
というスタイルはAMIRI（アミリ）とも似ていますが、アミリはややモードな雰囲気もあり、フィアオブゴッドの方が少しラフな感じがしてよりアメカジ臭さが強い感じがします。
普通だけど普通じゃないのが「F・O・Gスタイル」のすごいところ
ブランドとしてのメインアイテムは、Tシャツやネルシャツ、デニム、ミリタリージャケット、スニーカーといった90年代アメカジの定番ばかり。
そして、Tシャツとネルシャツやパーカーといったアイテムをレイヤード（重ね着）して作り上げるスタイリングいうのが基本となっています。
それって本当にただのアメカジだよね？
下手したらダサくないですか？
という声も聞こえてきそうですが、
ありきたりの大きなロゴ入りストリートブランドに飽きていたセレブリティからするとこの普通さが逆に斬新で、ファッショニスタを虜にしています。
それに普通と言ってもヴィンテージアイテムのようなビッグサイズTやボンバージャケット、美しいクラッシュ加工のデニムなどブランドとしてのアイコニックなアイテムも多いです。
とはいえ、もちろん普通のアメカジとは違うのは使われる素材は全てラグジュアリーブランドで使われているような超ハイクオリティであるということ。
そこら辺に売ってそうな安っぽい感じのシャツであっても実はラグジュアリーブランドクラスのハイエンド素材で出来ているのです。
リック・オウエンスやエディ・スリマンが行ってきたようなサブカルチャーのスタイルやシルエットを綿密な計算と製造工程によってラグジュアリーに落としていくということを、ヒップホップ、ロック、スケート、グランジといったアメリカンカルチャーに対して形にしていくのがフィアオブゴッド流なのです。
モノづくりに対するこだわり「メイド・イン・ロサンゼルス」
フィアオブゴッドの人気の秘密は、昔懐かしの普遍的なスタイリングだけではありません。
とにかく『いいもの』を作ろうとする姿勢がセレブリティから支持を集めているのです。
昨今ではラグジュアリーブランドと呼ばれるブランドであっても人件費の安いアジア地域で生産することが増えてきている一方で、ロサンゼルスで作るということにこだわりを持っている稀有なブランド。
そして、ロサンゼルスで作っている理由というのが多くのアイテムを職人のハンドメイドによって完成させているからなのです。
ハンドメイドで作るという事は、当然ながら大量生産は出来ません。
その分、金額は高くなるのですが『いいもの』を作るために妥協をせず、ありきたりの定番アイテムを最高水準の特別なものに引き上げているのです。
さらに人気に拍車をかけている理由として、入手が困難であるということ。
大量生産が出来ない上に、ジェリー・ロレンゾが認めた限られたショップでしか販売されないため非常に希少価値が高いのです。
新作はすぐに売り切れてしまいますし、手に入れるのが大変というのもプレミア感を高めている要因です。
そして、こだわりとしておもしろいのはファッションショーを行わないところ。
元々ファッション業界出身ではなかったというのもありますが、今ファッションに足りないものを必要な時に作って提供するというコンセプトもファッション業界の慣習を壊しつつ、フィアオブゴッドを魅力あるものにしています。
すでにセカンドラインまで登場「ESSENTIALS」
ラグジュアリーブランドの中ではディフュージョンラインとして、メインブランドを買えない若者層向けに廉価版をリリースしているところも多いです。
フィアオブゴッドのESSENTIALS（エッセンシャルズ）もそのディフュージョンラインとなり、メインブランドのDNAを継承しながらリーズナブルな価格帯で提供されているので、若者を中心に大人気となり売り切れ続出となっています。
ベースとなったのは、カリフォルニアのセレクトショップPacSun（パクサン）とのコラボレーションライン「F.O.G」でその後継としてスタートしたのです。
フィアオブゴッドの売りは、ヒップホップやグランジ、ロックなどのアメリカンカルチャーをラグジュアリーにまで昇華させる巧みなシルエットや丁寧なモノづくり。
そうしたDNAというものをしっかりと継承し、廉価版ではあるがコストパフォーマンスという観点で非常に高い評価を得ています。
メインブランドに比べると、スポーティーでリラックスしたスタイリングになっていて、よりラグストっぽさが強いブランドになっているのでフィアオブゴッドを好きな方でも、ラグジュアリーストリートが好きな方でも両方に好まれるような万人受けする感じが特徴です。
メンズスタイルの新しいカタチを提案する「高級紳士服×ラグジュアリーストリート」
ラグジュアリーストリートブランドが他ブランドやアーティストとコラボレーションをするというのはもはや定番となりつつありますが、フィアオブゴッドとコラボレーションするという意味では異色といえるのが「エルメネジルド ゼニア」
ゼニアというのは、スーツなどのフォーマルウェアが好きな方だとよくご存じだと思いますが高級紳士服として有名なブランド。
ラグジュアリーストリート×高級紳士服
という全く新しいミックススタイルに業界は騒然としましたが、ゼニアとフィアオブゴッドという2つの異なるスタイルをミックスさせるというわけではなく、全く新しいメンズスタイルを創り出すという実験的な試みです。
ノーカラージャケットや裾にファスナー付きのスラックス、サイズ不問の誰にでもフィットするチェスターコート、フィアオブゴッド調フォントで「ZEGNA」のロゴがあしらわれたボンバージャケットなど、トラックパンツなどブラックやグレーをベースにし、ゼニアの誇る上質な素材を使い作り込まれています。
もしかするとこれからのメンズスタイルを大きく改革するようなチャレンジになるかもしれないので要注目です。
よくあるNIKE（ナイキ）コラボもFOGだとこうなる
ラグストブランドとNIKE（ナイキ）のコラボレーションは完全に既定路線になりつつありますが、それだけNIKEのスニーカーというのはストリートに、そして生活に溶け込んでいるからでしょう。
フィアオブゴッドとNIKEのコラボレーションはそんな既定路線の中でも、これまでの常識とは少し違ったものです。
「ナイキ エア フィアオブゴッド 1（NIKE AIR FEAR OF GOD 1）」と名付けられたスニーカーは、オフホワイトなどもそうであったように通常ではNIKEの既存モデルをベースにしてエッセンスを取り込むことでコラボモデルを作っていくのですが、これはジェリー・ロレンゾが１からモデルを作り、そこにナイキの持つ機能素材や技術を融合し、完成させるというアプローチ。
完全オリジナルコラボスニーカーというのは珍しく、レアなアイテムとなりました。
「妥協しない」というフィアオブゴッドの信念が、コラボアイテムにまで行き届いています。
そして、スニーカーだけではなくボリューミーでショート丈という90年代のエッセンスがつまったパーカーやジャージ、ジャケットなどのいかにもフィアオブゴッドっぽい定番アイテムもリリースされています。
adidas（アディダス）とのパートナーシップが熱い
2020年末に世界的スポーツブランドのadidas（アディダス）とパートナーシップを結んだことを発表しました。
そして、このパートナーシップの締結によってEssentials（エッセンシャルズ）に次ぐ第3のライン「FEAR OF GOD ATHLETICS（フィアオブゴッド アスレチックス）」を立ち上げることになったのです。
adidasバスケットボール部門のグローバルなクリエイティブとビジネス戦略を統括していくという普通のコラボレーションとは全く違う重要な立ち位置で従来の型にとらわれない活動を目指しているのです。
ストリートカルチャーに大きな影響を与えたジェリー・ロレンゾがスポーツの世界にどんな革命を起こしていくのか楽しみで仕方がありません。
実はターゲットとしているお客さんは20万円しか持っていなくても、10万以上のボンバージャケットを買うような若者です。ジェリー・ロレンゾは、かつての自分がそうであったようにそうした若者に背伸びをしてでも価値があるものを届けようとしています。
希少価値も高く、日本ではまだ浸透していない感のあるフィアオブゴッド。
だからこそ今着るべきブランドであり、同じラグストでも周りとの差をつけるにはうってつけのブランドです。
この記事を監修しているのは？
ラグジュアリーブランド・ハイファッション調査部門
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