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多様なバックグラウンドによって生み出された歴史

ディーゼルの創業者レンツォ・ロッソにも認められた双子の才能

　 ディースクエアードのデザイナーは双子のDean Caten（ディーン・ケイティン）とDan Caten（ダン・ケイティン）。
ケイティンというのはニックネームで本名はCatenacci（カナテッシ）です。

1964年に9人兄弟の末っ子としてカナダのトロントで生まれており、高校を卒業と同時にファッションを学ぶためにニューヨークに移住しパーソンズ美術大学に入学しています。
父はイタリア人で、母はイギリス人なのですが、生まれはカナダで、ファッションを学んだのはアメリカということで多国籍なミックスカルチャーの要素はこうしたところからも来ているのでしょう。

実はパーソンズ美術大学の在籍は短くわずか1学期のみでトロントに戻っています。
1983年には最初のコレクションを立ち上げ、ディースクエアードを立ち上げる以前に1986年にはレディースブランドの「DEanDAN」をスタートしていました。
さらに1988年には現在のポーツ1861とクリエティブ・ディレクター契約を結び、最先端の高級ブランドを目指すポーツ1861向けのデザインを行っており、低価格レジャーブランドのタビ・インターナショナルのデザインも担当するなど多岐に渡る活動を行っています。

そして、1991年にイタリアに渡り、そこでイタリアの名門VERSACE（ヴェルサーチェ）とデニムが有名なハイファッションブランドDIESEL（ディーゼル）で修業をしたのです。

DSQUARED2（ディースクエアード）を立ち上げるきっかけは、ディーゼルの創業者であるレンツォ・ロッソがケイティン兄弟の才能を認め、資金援助を行ったこと。
この援助によって1995年にメンズコレクションデビューを果たしたのです。

世界中から高い評価と注目を集め続けるブランドとして成長

　 ディースクエアードのスタートからブランドは順風満帆に成長していきます。
ファーストコレクションを行った同1995年にはイタリアの老舗フットウェアブランドのGALIZIO TORRESI（ガリツィオ トレッシ）とパートナー契約を結びます。

2000年にはマドンナの「Don’t tell me」の衣装を手掛け、2002年の「Drowned World Tour 2002」でもDSQUARED2の衣装が使われました。
2003年にはクリスティーナ・アギレラのライブ衣装を手掛け、同年にはその勢いに乗ってウィメンズコレクションを開始します。
ブランドの創業から10年ほどを経てようやくウィメンズがスタートしたのですが、今ではウィメンズコレクションもメンズ同様の人気となっています。

この頃からStaff Internationalとのパートナーシップを開始し、プレタポルテの製造・販売の契約を行いグローバル規模への拡大路線を引いていきます。
Staff Internationalは、メゾン・マルジェラやマルニなどとも契約しているグローバルでのプレタポルテ企画・製造・販売を行う企業です。

その後もイタリアの名門サッカーチーム「ユベントス」の公式ユニフォームに採用されたのを皮切りに、スペインの名門「バルセロナ」のユニフォームに採用、そして2010年のバンクーバー冬季オリンピックのユニフォームにノミネートされるなどブランドとしてスポーツの世界にも貢献してきました。

さらに香水、サングラス、アンダーウェア、スイムウェア、キッズコレクション、ジムやレストランなどの複合施設Ceresio7（セレシオ７）の発表と総合ブランドとして次々とその活動範囲を広げていきました。

2006年にはジャンニ・ヴェルサーチェやトム・フォードも受賞したゴールデン・ニードル・アワードの受賞やドイツのGQ誌によるベストデザイナーオブザイヤーも獲得。
2009年には、トロントのカナダ・ウォーク・オブ・フェイムで二人に星が贈呈され、2014年にはCFDAのカナディアンアート＆ファッション賞、2015年にはスペインアイコンアワードなど数々のファッション賞を受賞し、世界中から高い評価を集め続けています。

ランウェイを彩ったユニークな演出のファッションショー

　 ディースクエアードの歴史の中では、そのウィットに富んだショーも醍醐味のひとつ。
ショーには魅惑的な音楽や有名セレブが登場するなどの大胆な演出が多く、こうしたファッションショーの演出というのもブランドの歴史を語る上では避けては通れません。

2005年のショーでは、シンガーのクリスティーナ・アギレラが男性モデルの服を徐々に脱がせていくという演出で観客を大きく沸かせました。

また、2007年のショーではリアーナがアメリカのハイパフォーマンスカーであるマッスルカーから登場し、ランウェイウォークを行うというサプライズ。

2010年にはビル・カウリッツが天井から登場。
「ロッキー・ホラー・ショー」のようなエレベーターゲージに乗って降りてきて、そこからランウェイを歩くという演出を行った。

こうした何が起こるか予測できないようなショーというのもディースクエアードの魅力であり、歴代の登場したセレブはディースクエアードと親交の深い顧客でもあります。

グローバルに向けた店舗展開

　 最初のフラッグシップストアがミラノにオープンしたのは2007年。
5400平方フィートの巨大店舗をミラノのおしゃれなヴェッリ通り4番地にオープンし、「カナダの森とイタリアンデザインが出会う家」というコンセプトを全面的に体験することが出来るショップとなっています。

ここからディースクエアードのグローバルでの店舗展開が始まります。
2008年にカプリ、イスタンブール、キエフ、香港にブティックを開き、2009年にもカンヌ、ドバイ、シンガポール、九龍（香港）、2010年にはアテネ、テッサロニキ、モンテカルロ、上海などと展開を続けます。

2011年の北京に続き、パリにはフラッグシップストアをオープンしました。
2012年には日本にも進出を果たし、銀座にフラッグシップストアをオープンさせました。
西部渋谷、阪急メンズ館東京とショップを展開していき、今では日本でも色々な地域にショップを構えるブランドへと成長しています。

その後もニコシア、アブダビ、杭州、サンモリッツ、モスクワ、ミコノス、ポルトチェルボ、ロサンゼルス、バクー、ニューヨーク、マイアミ、ロンドン、パナマ、ドーハ、クウェート、ウィーン、ホーチミン、アムステルダムなどグローバルという観点で見ても世界の主要都市にはショップが存在しており、グローバルを股に掛ける一大ブランドとなっています。


カナダ、アメリカ、イタリアなど様々なバックボーンを持つ双子の少年たちは、様々なブランドや人物とかかわりを持ちながらDSQUARED2（ディースクエアード）というブランドを立ち上げました。
そして、気づけばスポーツや音楽の世界でも評価され、グローバルレベルでの巨大ブランドを作り上げていったのです。

次は、「音楽、スポーツといったサブカルチャーは欠かせない」

この記事を監修しているのは？

ラグジュアリーブランド・ハイファッション調査部門

ラグジュアリーブランドやハイブランドでの勤務経験者、雑誌編集者、とにかくラグジュアリーブランドやハイブランドが好きなメンバーで編成。
好みや主観が入ったり、否定的な意見が存在するのは、ハイブランド.comの味であり、外部からの影響から独立しているからこそ出来ること。
世の中のトレンドや流れを敏感に察知し、常に新しい情報を発信出来るように奮闘しています。

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