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勢いあまって大失敗

グッチの失敗「GAC」の氾濫

（出典:http://http://www.gucci.com/） グッチというブランドはラグジュアリーブランドを形成する上で数々の失敗をしてきています。
その失敗の一例というのがグッチ・パルファンのケースです。

グッチ・パルファンというのは1975年に香水ビジネスのために立ち上げた会社だったのですが、香水だけでなく様々な商品の開発を行うことになりました。
このパルファンからの商品はGAC（GUCCI Accessories Collection）と呼ばれ、今でも有名なGGキャンバスで作られたバッグなども販売されました。

GACも単純に失敗というわけではなく、革で作られた製品ラインに比べて価格が安価に出来たのでこれまでグッチに馴染みのなかった層でもグッチを購入することが出来るようになり、購買層が広がったという点、香水を取り扱うデパート等に香水と一緒にGAC商品を置いてもらい販路の拡大が図れたという利点もありました。

しかし、問題はこの利点の裏返しにあるのです。
例えばルイ・ヴィトンやエルメスなどのラグジュアリーブランドは、販売経路というのは厳しく管理し、自社の管理下におけないような販路では販売しません。
そして、安価なセカンドラインやライセンスビジネスも一切やっていません。
なぜかというと、販路の拡大は売上の拡大と同時に希少性の低下、商品の飽和状態を招き、ブランド価値を低下させるということを知っているからです。

同様にセカンドラインやライセンスビジネスというのも、低価格の商品を出すことでラグジュアリーなブランドイメージを損ない、ライセンス品は低品質な商品が氾濫し、偽物が大量に出回ります。
こうしたブランドの価値を低下させる要因になることを一切行ってこなかったからこそ今の価値を保っているのです。

グッチはというとGAC商品の販売により、大量の商品が出まわり品質管理がまったく行き届かない状態に陥りました。
ライターや灰皿、ペンなどありとあらゆる商品にグッチブランドが使われたことによって、グッチというブランドがどこにでもある一般的なブランドへと格下げされてしまったのです。
また、大量に商品が流通するということはクラフトマンシップから工業生産に切り替わることを意味していて、そうすると誰でも容易に作れてしまうという事態が発生します。
すなわち模倣品、偽物が大量に出回ってしまったのです。

他にも、アルド・グッチの息子パオロ・グッチがグッチ家と決別し、独自のブランド展開したことにより、数ドルレベルでグッチの名前がついたバッグが売られるなど品質に関しても価格に関しても完全な混沌状態になりました。

安物売りからの完全撤退

（出典:http://http://www.gucci.com/） グッチオ・グッチが創業し、アルド・グッチが後を引き継いだまではグッチのブランドイメージというのは高い品質と調和のとれたスタイルを体現できてたのですが、グッチ家の中での権力争いの中でぞれぞれが商品を開発したり、ライセンスを乱発したり、パルファンのようなアルドによる急激な拡大路線によってグッチの商品というのはまったく一貫性の取れない状態に陥っていました。

結局これらのライセンス販売や低価格の商品というのは、マウリツィオ時代にグッチ・アメリカのトップに就いたドメニコ・デ・ソーレによって高級革製品に商品を集中させ、当てはまらないライセンス契約は全て打ち切り。
店舗に関しても基本は直営店、百貨店や免税店などでの販売もグッチのイメージに合わないと判断した場合は即座に撤退という対応をしました。

こうした徹底した対応によって、創業時代の高級品のみを扱うラグジュアリーブランドとしての格を取り戻し、現在の地位を礎を築き直したのです。


バーバリーやラルフローロン、ヴァレンチノ、ランバン、イブサンローランなど様々な一流ブランドがライセンスビジネスの甘い蜜に手を出して失敗してきました。
グッチもその例外ではなかったのです。
バーバリーなども長年日本でライセンス供与してきた契約を打ち切っています。

ここから分かることは、ライセンスビジネスを始めとする拡大路線、量販というのはラグジュアリーブランドにとって本当に危険な諸刃の剣ということですね。
利益を上げるために、ブランドの価値を切り売りすることになっているのですから。

→次は、ブランドコングロマリット「グッチグループ」

この記事を監修しているのは？

ラグジュアリーブランド・ハイファッション調査部門

ラグジュアリーブランドやハイブランドでの勤務経験者、雑誌編集者、とにかくラグジュアリーブランドやハイブランドが好きなメンバーで編成。
好みや主観が入ったり、否定的な意見が存在するのは、ハイブランド.comの味であり、外部からの影響から独立しているからこそ出来ること。
世の中のトレンドや流れを敏感に察知し、常に新しい情報を発信出来るように奮闘しています。

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