High-Brands.com

コミュニティが支えるクリエイティビティ

クリエイティブ・ディレクター不在の異色ブランド

　 ヴァレクストラにはクリエイティブ・ディレクターがいません。
ラグジュアリーブランドとしてはかなり珍しく、どこのブランドもクリエイティブ・ディレクターの就任によってブランドイメージを刷新したり、ブランドが大きく反映したりとラグジュアリーブランドに対するクリエイティブ・ディレクターの影響力というのはブランド売上を数倍にもするほど大きいものがあります。

2013年にブランド改革の一環としてジミーチュウで8年間デザイン・ディレクターを務めたアルバロ・ゴンザレスがクリエイティブ・ディレクターを任されましたが、1年ほどで退任となりました。

しかし、ヴァレクストラは2015年から５年足らずでブランドの売り上げが４倍に伸びています。
クリエイティブ・ディレクターが新しく就任したわけでもなく、なぜこのようなことが起こっているのか？
そこには金融、コンサルティングファーム出身でファッション業界でも長い経歴を持つCEOの就任がありました。 それがサラ・フェレーロです。

サラ・フェレーロが行った改革とは？

　 ひとつは、これまでブランドの主力がメンズ製品だったところをウィメンズ中心に切り替えていったこと。
ロゴを前面に押し出さないミニマルなデザインは、男性への受けが非常によかったのですが、そのコンセプトはウィメンズでも十分に通用するものでした。
マーケット規模の大きいウィメンズに注力したことで売り上げが大幅に伸びていったのです。

２つめは、これまで財布やカードケースなどの革小物が主力製品だったところをウィメンズへの注力と同時にハンドバッグをブランドの中心に据えたことです。
ハンドバッグの方が単価も高くなりますし、ラグジュアリーブランドの顔はやはりハンドバッグなのです。

最後に卸売りから小売ビジネスへとビジネスモデルを変換し、ヴァレクストラユーザーに対して直接リーチしてマーケットをコントロールできる環境を整えていったことです。

ラグジュアリーブランドをビジネスとして成立させるスタイルは、ファッション業界だけではなくコンサルティングファーム「マッキンゼー」での経験が活きたものといえるでしょう。

新しい領域へも果敢にチャレンジして成果を出す

　 サラ・フェレーロ体制になってからというもの、これまでにないチャレンジも行っています。
ヴァレクストラのフィロソフィーでもある「ノーロゴ」に対して、世の中のトレンドはモノグラムやロゴといったある意味では過度なブランドアピール。

ここに対して「NO LOGO MY LOGO」というユニークな発想をもって、トレンドに対抗していきました。
ユニークな発想というのは、ブランドのロゴでモノグラムを作るのではなく、ユーザー自身のイニシャルでオリジナルモノグラムを作成、バッグにデザインするというものです。


　 昨今のラグジュアリースニーカーブームに対してフットウェアの販売も始めました。
スニーカーは元々アーティストや建築家などのヴァレクストラのコミュニティメンバーに対して贈り物として作っていたものですが、これが好評を博したために販売に踏み切りました。

発売されると同時に半分ほど売り切れてしまうほどの人気となり、スニーカーという新しいブランドのカラーを出すことにも成功しています。


　 ミラノ・ファッションウィークでのミラノブランドとのコラボレーションプロジェクト「エクストラ ミラノ」も注目を集め、「ラ・ダブルジェイ（LA DOUBLE J.）」、「SUNNEI（スンネイ）」、「プラン C（PLAN C）」、「アーサー アルベッセ（ARTHUR ARBESSER）」、「マッシモ アルバ（MASSIMO ALBA）」の5ブランドがヴァレクストラのバッグをベースにしたカスタムアレンジモデルを発表します。
全部集めてしまいたくなるほどポップでオリジナルなアイテムばかりでヴァレクストラの新しい魅力を引き出しています。

コミュニティを大事にするヴァレクストラらしい発想で、自然とつながる人と人、ブランドとブランドのつながりから生まれたクリエイティブマインドの結晶。


　 気鋭の男性デュオが生み出すブランドSUNNEI（スンネイ）は人気のパスパトートにマトリョーシカのエッセンスを加えた入れ子構造のイメ―ジでサイズが展開され、ユニークでカラフルなストライプが目を引きます。


　 La Double J（ラ・ダブルジェイ）は、トリックトラックを1970年代の水玉のようなパターンに落とし込んだファンシーな作品を披露。


　 PLAN C（プランシー）は、遊び心溢れるイラストを入れたイジィデのクロスボディバッグでヴァレクストラでは見られない斬新さ、ユーモアを表現しています。


　 Arthur Arbesser（アーサーアルベッセ）は、建築や芸術に造形が深いデザイナーらしくプレラをグラフィカルにカスタマイズ。


　 Massimo Alba（マッシモアルバ）は、上質な素材、仕立てで知られるマッシモらしく、まるで洋服のようなバッグに仕上がりました。

普遍的に愛される究極のバッグを目指したコラボレーション「FLUTE（フルート）」

　 世界を代表する照明デザイナー マイケル・アナスタシアデスとのコラボレーションも大きな注目を集めるものとなりました。
アナスタシアデスは、照明のトップブランドFLOS（フロス）やバング＆オルフセンとのコラボレーションでも話題になった人物で老舗レザーブランドのヴァレクストラとのコラボレーションも意外性があるタッグです。

クリエイティブ・ディレクターがいないヴァレクストラですが、こうしたデザイナーとの出会いはとても大切にしており、会話から新しいアイデアを生み出し、今回のプロジェクトでもブランド初のジュエリーとアナスタシアデスとしては初となるバッグ「FLUTE（フルート）」が創造されたのです。


　 ジュエリーはニューヨークのメトロポリタン美術館にコレクションされている古代キプロスのオブジェがインスピレーションになっており、リングやバングルはスライドさせることで付け方を変えられるような遊び心も入っています。

バッグは、サラ・フェレーロがCEOに就任して復刻されることになったセリエ エスの存在から始まったプロジェクトであり、1960年代のデザインを再解釈することでこれまでのデザインを継承しながらも現代的なエッセンスを注ぎ込むことで新しいヴァレクストラの可能性を見出しています。


ヴァレクストラはひとりのクリエイティブ・ディレクターがブランドの世界観を創り出していくというものではなく、こうしたコラボレーションを行いながらコミュニティを広げていくブランドの世界観をつなぎ合わせていくという新しい発想のもとに成り立っています。 才能とアイデアの連鎖によって新しいクリエイティビティが刺激され、ヴァレクストラはますます進化し続けています。

「ヴァレクストラの評価と概要」に戻る

この記事を監修しているのは？

ラグジュアリーブランド・ハイファッション調査部門

ラグジュアリーブランドやハイブランドでの勤務経験者、雑誌編集者、とにかくラグジュアリーブランドやハイブランドが好きなメンバーで編成。
好みや主観が入ったり、否定的な意見が存在するのは、ハイブランド.comの味であり、外部からの影響から独立しているからこそ出来ること。
世の中のトレンドや流れを敏感に察知し、常に新しい情報を発信出来るように奮闘しています。

このブランドを見た人はこんなブランドも見ています

中古・古着でヴァレクストラを格安購入

1	SNKRDUNK スニーカーダンク
	ハイブランドを売りたい人と買いたい人をマッチングしてくれる新しいサービスの形態！安心の真贋鑑定を兼ね備え、煩わしいやり取りのいらない次世代のフリマアプリでお得にハイブランドをゲットしよう！
	SNKRDUNKでヴァレクストラを探す

2	セカンドストリート 2nd Street
	取り扱い商品が100満点規模にも登る古着アイテムが常識外れの格安プライスで販売中！オンライン試着や店舗お取り寄せなど大手ならではの充実のサービスで安心・快適なショッピング体験を！
	セカンドストリートでヴァレクストラを探す

ヴァレクストラを海外から直接購入

1	MATCHESFASHION マッチズファッション
	英語版でも大人気だった老舗セレクトショップが待望の日本語化。最大で50％OFFにもなるセールはただでさえ安い海外直買い付けを信じられない破格のプライスにしてしまった！
	MATCHESFASHIONでヴァレクストラを探す

2	YOOX ユークス
	YOOXプライスはブランド正規品の新品がいきなりブランド定価の半額からスタート。時間が経てばさらに値下がりして、90％OFFのスーパープライスに。海外アウトレットだからできる驚愕のプライスは体験するしかない！
	YOOXでヴァレクストラを探す

3	アメイジングサーカス Amazing Circus
	海外正規店で購入した商品を日本で販売する並行輸入。直営店のようにブランドからの指示を受けるわけではないので、値引きもセールも出来るため新品が直営店の半額以下になることも珍しくありません。
	アメイジングサーカスでヴァレクストラを探す