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ジミーチュウ Overview

世界のセレブリティが愛用するジミーチュウ

（出典:http://www.jimmychoo.jp/） Jimmy Choo（ジミーチュウ）は、すでに皆さんご存知の通り憧れのシューズブランドの地位を欲しいままにするラグジュアリーブランドです。
数々のセレブリティに愛用されるハイヒールは、痛くないヒールという、これまでの課題を取り除く革新的な靴作りを展開しています。

1996年に設立されたとても若いブランドではありますが、その人気というのはクリスチャン・ルブタンと並びいまやハイヒールの代名詞となっており、この短い期間で100年以上物歴史を持つラグジュアリーブランドと肩を並べるようなブランドになっています。

わずかな歴史の中でいかにしてこれほどまでの人気を築いてきたのか、皆さん不思議ではありませんか？
その秘密は創業者タマラ・メロンやクリエイティブ・ディレクターのサンドラ・チョイの涙ぐましい努力と大胆なアプローチにあったのです。

セレブリティの御用達になることで、世界にブランドを発信しようとしたそのアプローチはいまではラグジュアリーブランドの最もスタンダードなPR手法となっているほどです。

レッドカーペットでジミーチュウが選ばれる訳、セレブがジミーチュウを愛する訳、革新的なアプローチを見てみましょう。

セレブを虜にする靴

魔法の靴と呼ばれるのはなぜ？

（出典:http://www.jimmychoo.jp/） ジミーチュウの靴はよく”魔法の靴”と呼ばれます。
なぜ魔法の靴と呼ばれるのか？
それはハイヒールを履くとなると切っても切れない「痛み」と「疲れ」との戦い、これが少なくて履きやすいからだと言われています。

では一体なぜこれほどまでに履きやすいと言われるのか？
それには『痛みから開放される魔法の靴』とまで言われるいくつかの理由を見てみましょう。

Ⅰ 広めのとられたインソール

まずインソールの幅が他のラグジュアリーブランドに比べて広く取られているということです。
インソールが広いことでヒールが高くなっても安定感を保つことができ、長時間歩いても比較的疲れにくくなっているというわけです。

Ⅱ 計算されたカッティング

2つめにカッティングによるフィット感の計算があります。
足の内側部分のカッティングを深めにとり、外側が浅くなっています。
こうすることで土踏まずの高いフィット感と、小指の付け根に当たる面積を少なくしているので足の痛みを和らげています。

Ⅲ バランスの取れたヒール位置

3つめには、ヒールの位置がかかとの中で最も体重のかかる真ん中部分にヒールを配置されているのです。
これによって重心のバランスを取りやすくしているので、体が左右にブレずに美しく歩けるようになっています。

ただ、ヒールというのはどうしても合う・合わないが出てくるので、ジミーチュウの靴の中でも合わない靴が出てくるでしょうし、他のブランド、例えばクリスチャン・ルブタンやセルジオ・ロッシの方が履きやすいという方がいらっしゃるのは当然のことだと思います。

ただ、ハリウッド女優がレッドカーペットで履いているということが意味することがどういうことか考えてみましょう。
レッドカーペットを歩くというのは、世界中の注目が集まる晴れ舞台です。
当たり前ですが、そんな場で躓いたり、転んだりということは絶対に許されません。
そんな緊張感漂う場でジミーチュウを履くということは、デザイン面もさることながら歩きやすさという点も考慮に入っていて当然なのです。

ハリウッド女優たちからの信頼を集めていること、やはり世界で認められる履き心地がジミーチュウにはあるということを如実に物語っているといえるでしょう。

魔法の靴のルーツ

（出典:http://www.jimmychoo.jp/） ジミーチュウ本人は、すでにジミーチュウというブランドから去っています。
もともとタマラ・イヤーダイがヴォーグ時代にジミーチュウのオートクチュールの素晴らしさに魅了され、なんとか説得してジミーチュウのプレタポルテラインとして1996年にジミーチュウを立ち上げました。

ジミーチュウは、ジミーチュウブランドの設立の10年前の1986年にハックニーに工房を構え、靴型から手作業で作り上げるジミーの靴はまるで魔法のように履く人の足にフィットしたのです。
こんな魔法のような靴を作るジミーの評判は瞬く間に広がり、いわゆるファッションセレブの間で一気に人気に火がつきました。

1988年にはヴォーグで特集も組まれ、ジミーの人気は世界中に広まり、世界中のセレブ女性が彼の工房に足を運んでいたのですが、その中にはなんとあのダイアナ元イギリス皇太子妃もいたほどです。
ダイアナ妃は事あるごとにジミーチュウの靴を履いて出かけるほどの気に入りようで完全にダイアナ妃の御用達となりました。

これほどまでの人気になったにも関わらず、ジミーは手作りの靴にこだわり続け、大量の注文があっても1週間にわずか20足ほどの靴を作り上げるのがやっとの状態だったのです。
この状態を打破するためにタマラと組んでブランド「ジミーチュウ」を立ち上げ、今の魔法の靴のルーツとなっているのです。

もともと職人としての気質が強く、そんな彼にはブランド設立後のプレタポルテの商業的な考え方が合わなかったため、ブランドを去り一部の特別な顧客のための靴作りに専念しています。
現在ジミーチュウ本人の制作する靴底には「Handmade」と刻印され、プレタポルテとは全く別物になっていますが、
そんなジミーチュウという靴職人のDNAを受け継いだ靴だからこそエレガントで歩きやすい靴となっているのでしょう。

ジミーチュウがいなくても大丈夫？

（出典:http://www.jimmychoo.jp/） ジミーチュウはブランドの立ち上げから程なくして、ジミーチュウを去っています。
でもいまだにジミーチュウは魔法の靴と呼ばれるほどの履き心地と言われ続けています。
その理由は、実はジミーチュウの姪でもあり、弟子にもあたるクリエイティブ・ディレクター サンドラ・チョイにあるのだと思います。

サンドラ・チョイは、名門セントラル・セント・マーティンズ・カレッジ・オブ・アート＆デザインでファッションを学び、学校を中退してまで叔母の旦那であるジミーのもとで働くことを決意しました。
そして、彼のもとでデザイン、パターン、縫製、フィッティングや木型作りなど、クチュール・シューズの製造に必要なノウハウを全て吸収し、ジミーチュウに負けない靴職人でかつ女性らしいセンスを持つデザイナーへと成長したのです。

これがジミーのDNAを受け継いでいるというほんとうの意味であり、魔法の靴と呼ばれるほどの履きやすさがプレタポルテラインでも継続している理由なのです。

ひとつひとつ手作業で作り上げるオートクチュールとは違い、大量生産を可能にするために機械化が必要なプレタポルテでオートクチュールに近い品質を再現しているサンドラ・チョイの手腕によってジミーチュウの靴は支えられているといっても言い過ぎではないでしょう。

単にデザインがよいだけでは、これほどの人々を魅了することは出来ません。
履くことが難しいヒールだからこそ、履きやすさ、快適さを求めているセレブリティを魅了しているのです。

何度も買収されてとっても大変

（出典:http://www.jimmychoo.jp/）

ジミーチュウは、タマラ・メロンとジミーチュウによって立ち上げられたブランドというのは広く知られています。
でもすでにその2人はブランドにはいません。

創業者がブランドにいないこと自体はラグジュアリーブランドにおいて珍しいことではありません。
なぜかというとブランドというのは買収されてオーナーが代わることがよくあるからです。

世界の主要経済誌でも大きく報道されたのでご存じの方も多いと思いますが、ジミーチュウもそういった業界の荒波にしっかりと揉まれ、何度も何度も売却されてオーナーがコロコロ代わっています。
最初の買収時にはジミーチュウがブランドを離れ、4度目の買収の時にタマラがブランドを去っているのです。

そして2017年にはついに大手ブランドコングロマリットともいえるマイケル・コース・ホールディングス・リミテッドに買収され、アメリカ発のブランドコングロマリットの一員となりました。
同時期に買収されたVERSACE（ヴェルサーチェ）と共にマイケルコースを支える中核ブランドとなったのです。

ある意味ではジミーチュウの成長というのは買収がいい方向に向かったともいえます。
買収されることで新しいCEOが就任し、ベンチャー企業だったジミーチュウに拡大するための資金と企業としての仕組みを導入することができたのですから。

そういった意味では買収騒動というのは、必ずしもネガティブな面だけではなく、むしろポジティブな面の方が大きかったのです。

買収に次ぐ買収 成長に混乱はつきもの

ブランドの成長エンジン「ハンドバッグ」

（出典:http://www.jimmychoo.jp/）

ラグジュアリーブランドのアイテムの中で最もよく売れるのはハンドバッグと財布です。
財布は価格も比較的手頃なので、手が届きやすいですし、ハンドバッグはブランド顔としてアイコンになりますし、最近では「イット・バッグ」などといわれてもてはやされます。

ジミーチュウはジミーが作るオートクチュール靴をプレタポルテとして発表するために立ち上げられたブランドなので、当然靴が主力製品で今もそうですがハンドバッグや財布などのレザーグッズも販売しています。
そんな事は知ってるよ！というツッコミありそうですが、やはりバッグというのはラグジュアリーブランドを経営する上では欠かせないものなのです。

スタッズのついたレザーアイテムがジミーチュウの定番になっていますが、最初のハンドバッグ・コレクションはいつ、どうやって生み出されたのかご存じですか？

靴だけじゃない！目指せit Bag

ジミーチュウは単に素晴らしい靴を販売しているブランドという粋にとどまらないのです。
ラグジュアリーブランド業界において、短期間で急激な成長を遂げた業界のサクセス・ストーリーであり、ラグジュアリーブランド企業の高額買収案件の基盤を作った企業でもあり、痛いはずのハイヒールの概念を打ち破ったシューズメーカーでもあるのです。

幅広い年代において絶大な人気を誇り、いつかは履きたい憧れを抱かれるというのも頷けます。

→次は、「ジミーチュウ成功の立役者 タマラ・メロン」

この記事を監修しているのは？

ラグジュアリーブランド・ハイファッション調査部門

ラグジュアリーブランドやハイブランドでの勤務経験者、雑誌編集者、とにかくラグジュアリーブランドやハイブランドが好きなメンバーで編成。
好みや主観が入ったり、否定的な意見が存在するのは、ハイブランド.comの味であり、外部からの影響から独立しているからこそ出来ること。
世の中のトレンドや流れを敏感に察知し、常に新しい情報を発信出来るように奮闘しています。

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