JIL SANDER ジルサンダー
新しい才能によるミニマリズム継承の歴史
ジルサンダーの歴史に大きな影響を与える3組のデザイナー
JIL SANDER(ジルサンダー)は、時代の大きなうねりの中で紆余曲折を経ながらも現在に至るブランドとなっています。
その歴史の中では創業を含めると大きな3つのターニングポイントがあり、それぞれが時代を彩るようなデザイナーによって導かれているのです。
創業者のジル・サンダー、そして天才の名をほしいままにするラフ・シモンズ、そして消えかけたジルサンダーに再び火をともしたメイヤー夫妻。
この3組のクリエイティブ・ディレクターにスポットライトを当てながらジルサンダーの歴史をさかのぼってみたいと思います。
『鉄の女』ジル・サンダー時代
創業までの道のり
創業者のジル・サンダー(本名ハイデリー・イリーネ・ザンダー)は、1943年にドイツのハンブルグに生まれました。
クレフェルド・スクール・オブ・テキスタイル専門学校を卒業し、しばらくテキスタイル職人として働いた後に渡米してカリフォルニア大学に2年間留学し、ニューヨークの出版社に就職しました。
ファッション・ジャーナリストとして活躍していましたが、1965年にはドイツに帰国します。
1968年にハンブルグにブティックを立ち上げたのがJIL SANDER(ジルサンダー)の始まりですが、自身のコレクションを販売するためというよりもソニア・リキエルなどのブランド服を販売するセレクトショップとしてのスタートでした。
早すぎたミニマリズム、不遇のパリデビュー
そこから5年後の1973年についにパリのプレタポルテのコレクションでデビューします。
ドイツ発のブランドがなぜパリコレなのかというところは、取り扱っていたソニア・リキエルの影響が大きかったようです。
一般的なラグジュアリーブランドは、大抵デビューから注目を集め、飛ぶ鳥を落とす勢いで伸びていくというのを想像しますが、ジルサンダーの場合は全くそういった事はなく、むしろパリコレクションでのジルサンダーの評価はかなり低かったというのが実際のところです。
というのもジルサンダーのスタイリングというのはミニマリズムを定着させたほどのモノトーン系やグレーなどのシンプルかつ非装飾的なスタイル。悪く言えば地味だったのです。
当時のパリでは、といっても今もそういう傾向は強いですが、キャッチーなデザインや少し派手なカラーリングが受ける時代だったので当然といえば当然の結果でしょう。
7年ほどパリで頑張りましたが、鳴かず飛ばずの状態が続いたため、1980年に諦めてパリコレクションから撤退しすることとしました。
時代が追いつき、ミラノで大ブレーク
1985年に今度はイタリアのミラノに拠点を移し、新たなスタートを切ります。
1987年にはミラノコレクションに参加し、自身の持つスタイルは崩さずミニマルで高品質のウェアで勝負したのです。
ミラノではパリとはうって変わって高い評価を得ることに成功します。
これまで貫き続けてきた自身のスタイルがようやく報われました。
今でこそシルエットや素材にこだわった高品質のミニマルウェアというのは、ラグジュアリーブランドの中でも、ファッション業界でもひとつのジャンルとして確立されていますが、それはジルサンダーの粘りがあったからということが出来るでしょう。
この時期にデビューしているミニマルなウェアを提案するヘルムートラングも成功していますが、時代がやっとジルサンダーに追いついた瞬間だったのかもしれません。
一気にトップブランドへと駆けあがったジルサンダーは、1989年にはドイツのフランクフルト市場に上場を果たし、急速に事業を拡大していくのです。
プラダという巨大な波に飲み込まれる
シックでクールなジルサンダーのウェアであれば、当然ですがメンズラインが欲しいという要望が出てくるのは当然のこと。
満を持して1997年にメンズラインも開始し、ミニマルメンズウェアのブームもあってアッパークラスのビジネスマンにとってマストブランドとして定着していきました。
順風満帆に思えた矢先、なんとPRADA(プラダ)グループによって75%の株式を取得され買収されます。
この2000年前後というのはラグジュアリーブランドの再編成のピーク時期にあたり、世界最大のブランドコングロマリットLVMH(ルイ・ヴィトン・モエ・ヘネシー)やリシュモン、グッチグループなど巨大ブランドコングロマリットによる買収合戦が行われていたのです。
プラダグループもそうした巨大ブランドコングロマリットを目指すひとつであり、絶好調のジルサンダーに白羽の矢を立てたのです。
巨大ブランドコングロマリットに入ることは悪いことばかりではなく、ブランドの独立性を失う変わりに巨大な資金力を背景にブランドをグローバルに大きく拡大していくことが可能になります。
ジルサンダーにとっても今後の拡大を見据えれば、よい選択のように思えました・・・
ジル・サンダーがブランドを去る
プラダグループによる買収によって創業者であるジル・サンダーはブランドを去ることになります。
ジル・サンダーとプラダグループ総帥であるパトリッツィオ・ベルテッリとの確執が原因ですが、利益を優先する企業としてのプラダの思惑と利益よりも品質を優先するジル・サンダーとの考え方の違いが決定的だったのです。
買収翌年の2000年にはジル・サンダーはブランドを去り、ミニマルの女王と呼ばれたジル・サンダー不在でブランドは継続するのです。
ジル・サンダーが去るとブランドが崩れるかというとそうでもなく、新しいシルエットや新しいカラーパターンによって売り上げが伸びるという現象が起こりました。
これはパトリッツィオ・ベルテッリの手腕によるものですが、その勢いで2001年にはクリエイティブ・ディレクターとしてミラン・ヴィクミロビッチを招きます。
2001年から2003年までの短期間でしたが、ブランドの売上としては飛躍しています。
その後2003年から一時的にジル・サンダーがブランドに復帰をしたのですが、1年ほどでまた辞任。
やはりプラダグループとの考え方の違いは埋めようのないほど大きなものでした。
『カリスマ』ラフ・シモンズ時代
ジルサンダーを語る上では、この人なくしては語れないというほどの重要人物がラフ・シモンズ。
ジル・サンダーが再度ブランドを去った後、2005年から2012年までの間、ジルサンダーのクリエイションを支えたデザイナーです。
1995年に自身のブランドをローンチして以来、メンズファッションの革命児的な存在となり若者の中でカリスマとなったRAF SIMONS(ラフシモンズ)の創業デザイナー。
パンクやロックのエッセンスをテーラードなスタイルに落とし込むラフ・シモンズが、ミニマリズㇺのカリスマとなったジルサンダーのクリエイティブ・ディレクターに就任したことは、ファッション業界では驚きの声がありました。
その一方で2005年以降のラフシモンズはミニマルなアーバンデザインも多く、不安よりも期待が大きかったのです。
実際ラフ・シモンズによるジルサンダーのコレクションは、ジルサンダー史上最高との呼び声も高く、新しく、そして美しいジルサンダーを提案したと評価されています。
また、ジルサンダーというブランド自体は2006年に投資ファンドにプラダグループから売却され、さらに2008年には日本のオンワードホールディングスによって買収されています。
ドイツ発祥のジルサンダーがいつの間にか日本のブランドになった瞬間です。
また、ラフ・シモンズはジルサンダーを商業的に成功させたことも評価されています。
2011年にディフュージョンラインであるジルサンダー・ネイビーの展開をスタートさせ、ラフ・シモンズの効果によってメンズラインもさらに勢いづきました。
こうしてジル・サンダーの辞任によってゴタゴタしていたところをラフ・シモンズのクリエイションによってさらに大きく飛躍させたのです。
しかし、ラフ・シモンズも2012年にはジルサンダーを去ることになります。
ジョン・ガリアーノの後任としてDior(ディオール)のクリエティブ・ディレクターとして飛躍していきました。
『二人三脚』ルーク&ルーシー・メイヤー時代
ラフ・シモンズというコアを失ったジルサンダーは輝きを失っていきます。
このタイミングでジル・サンダーがクリエイティブ・ディレクターとして復帰しましたが、またも1年ほどで退任し、その後はデザインチームが引き継ぎました。
2014年に新しいクリエイティブ・ディレクターとしてロドルヴォ・パリアルンガが就任しましたが、2017年に退任。
この辺りの時期はジルサンダーとしては冬の時代と言っていいでしょう。
しかし、ジルサンダーに新しい風をもたらしたのが2017年にクリエイティブ・ディレクターに就任したルーシー&ルーク・メイヤー夫妻なのです。
メイヤー夫妻というのは元々デュオというわけではなく、それぞれが超一流デザイナー。
ルーク・メイヤーはなんとSupreme(シュープリーム)の創業当初のヘッドデザイナーであり、さらにラグジュアリーストリートブランドとして人気のOAMC(オーエーエムシー)を創業した人物。
バリバリのストリート畑を歩んできたルークに対し、ルーシー・メイヤーはマーク・ジェイコブスが率いていた時代のルイ・ヴィトン、二コラ・ジェスキエール時代のバレンシアガ、そしてラフ・シモンズ時代のディオールのウィメンズヘッドデザイナーというキャリアを持つクチュリエ。
全く違う道を歩んできたデザイナー夫婦によるクチュールとストリートの融合による新しいジルサンダーは、ブランドが本来持つミニマル、クリーン、シルエットの独創性や上質な素材といったベーシックな“よさ”は踏襲しながらもワークやスポーティーなどのスポーティー要素が適度にミックスされ、大人のためのリアルクローズとなっています。
ファッション業界でも大きな注目を集めるメイヤー夫妻によって、ジルサンダーは復活を遂げています。
こうしてジェットコースターのようなアップダウンを繰り返しながら成長してきたジルサンダーですので、今後も大きな波によって浮沈するかもしれませんが、「ミニマリズム」という普遍的な価値を提案し続けてほしいものです。
この記事を監修しているのは?
ラグジュアリーブランド・ハイファッション調査部門
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