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革新を生み出す職人のアイデア

職人から生まれるイノベーション

（出典:http://www.lvmh.co.jp/） ラグジュアリーブランドを支える源泉といえばやはり職人の腕です。
グッチも例外ではありません。
グッチの場合は、これまでの歴史の中でGAC（グッチ・アクセサリー・コレクション）の低価格商品の販売やライセンスの乱発、スキャンダルといった紆余曲折があり、ブランドにおける品質という点では色々と考えさせられるところもあるのですが、グッチオ・グッチが創業した当初から職人には非常に恵まれているブランドではあります。

例えば、グッチのアイコンにもなっている「バンブーバッグ」
このバンブーバッグは職人のアイデアから生まれたものです。
そして、一世を風靡したグッチのローファーも当初は職人のアイデアから生み出されているのです。

職人というと黙々と作業をして作品を生み出す頑固者というイメージがあるのですが、グッチの職人はなぜにこういった新しいアイデアを次々と生み出せたのでしょうか？
これには訳があり、グッチの職人に与えた職場環境というのがとても素晴しかったということに起因しています。

グッチがまだ今ほどの大企業になる前の1970年代の頃、すでに工房には100人以上の職人が働いているという大所帯でした。しかし、グッチの職人はこの職場を離れるということはほとんどありませんでした。

職場環境自体がとても豪華でまるで美術館にいるかのような開放的で芸術的な空間だったのです。
そして、材料費さえ払えば恋人や家族のための鞄を作ってもいいという日まで会ったのです。
また、職人はデザインのアイデアを出すことも許されており、良いアイデアであれば採用されることもあったため、モチベーションが上がり、グッチにおける歴史的なアイテムを創造するにまで至っているわけです。
これは創業者グッチオ・グッチの職人に対する深い尊敬の念からきており、この精神が今もグッチには受け継がれているのです。

現代に引き継がれる職人魂

（出典:http://http://www.gucci.com/） 職人として一人前になるにはひとつのバッグを一人ですべて作り上げるということでした。
エルメスもひとつのかばんはすべて同じ職人が作るという方式をとっていますが、やはり一流の職人というのは製造工程のすべてを独りで担ってしまうだけの力が必要ということなのです。

とはいえ、モノづくりを企業として推進する以上は効率化を図ることも大事です。
バッグをひとつ作り上げるにも素材の加工、裁断、縫製、装飾など様々な工程があります。職人も人間ですのでその工程に得意なものがあります。
ですので基本的には分業制がとられており、それぞれの職人が得意な作業を担当することによってより高い品質につなげています。
しかし、過去からすべての工程をひとりでこなすことが一人前の証であるので、熟練の職人であれば当然すべての工程に対応できるので臨機応変に作業を分担して進めることが出来るようになっているのです。

選ばれた職人たち

（出典:http://http://www.gucci.com/） グッチ本社の職人はフィレンツェを中心とするトスカーナの職人のみで、少なくとも10年ほどの経験がある熟練の職人ばかりです。
周辺には100以上ものファミリー企業があり、グッチ本社で働けるのはその中から選りすぐられた1％にも満たないほどのエリートなのです。

グッチ本社で働くということはグッチの職人の顔になり、高いステータスと尊敬の眼差しで見られることになり、大変名誉なことです。
そしてグッチの新作のプロトタイプの製作も行うことになり、トム・フォードやフリーダ・ジャンニーニといったスターデザイナーと肩を並べて仕事をすることにもつながるのです。

こうしたことから職人としての実力をつけていけば、グッチ本社に引き上げられるというモチベーションが働き、職人は自発的に腕を磨くようになります。
職人全体の腕が上がる事によってブランドにおける製品の品質も上がっていきます。


スターデザイナーの華やかな影に隠れて見落としがちですが、グッチの製品の高い品質というのは日々その腕を磨いている職人の技術力とモチベーションによって支えられているのです。

→次は、「昨今のブランドマネジメント」

この記事を監修しているのは？

ラグジュアリーブランド・ハイファッション調査部門

ラグジュアリーブランドやハイブランドでの勤務経験者、雑誌編集者、とにかくラグジュアリーブランドやハイブランドが好きなメンバーで編成。
好みや主観が入ったり、否定的な意見が存在するのは、ハイブランド.comの味であり、外部からの影響から独立しているからこそ出来ること。
世の中のトレンドや流れを敏感に察知し、常に新しい情報を発信出来るように奮闘しています。

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