VERSACE ヴェルサーチェ
困難を乗り越えたヴェルサーチェの歴史
ミラノの3Gと呼ばれたヴェルサーチの誕生
VERSACE(ヴェルサーチ)の創業者ジャンニ・ヴェルサーチは1946年にイタリアで生まれ、母親の経営するブティックでファッションを学んだあと1973年にデザイナーとなりマリオ・ヴァレンティノやコンプリーチェといったブランドを経験した後に1978年に独立しました。
このタイミングでレディース、メンズともにファーストコレクションを発表し、その評価の高さからミラノに1号店をオープンしました。
日本では古くからあるブランドのような印象を受けますが、実はハイブランドの中では比較的歴史の浅いブランドとなっています。
デビュー直後からジョルジオ・アルマーニ、ジャンフランコ・フェレと共に「ミラノの3G」と称され、イタリアを代表するファッションブランドとして快調な滑り出しをみせました。
バブル真っ只中の日本ではイタリアンブランドの象徴的存在
1980年代の日本といえばまさにバブルが膨れ上がっていた時代。
この時期はインポートブランドが売れに売れていた時代でしたが、ヴェルサーチはそのゴージャスな雰囲気が受け、アルマーニとともにバブル期のイタリアンブランドをけん引していた存在と言えます。
ブランドのシンボルともなっているメドゥーサのロゴシャツやカラースーツ、ゴールドのアクセサリーなどギラギラとした雰囲気はまさにバブル期の日本にふさわしく、街を歩けばヴェルサーチにあたるような時代でした。
バブルの崩壊と共に日本での人気が落ちていきましたが、今の40代以上の方からすると懐かしいブランドのようなイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。
創業者が射殺されるというショッキングな事件
そしてヴェルサーチの歴史を語る上ではどうしても必要になってくるのが、創業者であるジャンニ・ヴェルサーチが射殺されたという事件です。
殺害されたのは1997年でしたが、創業してからすぐに受賞したイタリアのレディースウェアデザイナーの最高賞であるゴールデンアイ賞、ニューヨークのカティサーク賞を受賞。
1994年のエリザベス・ハーレイが着用したブラックドレスが脚光を浴び、シルヴェスタ・スタローンの映画「ジャッジ・ドレッド」の衣装デザインを担当するなど飛ぶ鳥を落とす勢いで邁進していた最中の悲劇でした。
ジャンニ・ヴェルサーチは自身が同性愛者であることを公言しており、ジャンニを殺害したのは恋人とうわさされていた高級男娼のアンドリュー・クナナンだったと言われています。
ジャンニ亡き後は、妹であるドナテラ・ヴェルサーチがアーティスティック・ディレクターに就任しており、多大なプレッシャーに悩まされることになりました。
空白の10年ともいえる衰退期
(出典:https://www.versace.jp/)
ヴェルサーチというブランドにとって2000年代が最も苦しい時期でした。
ジャンニの後を継いだドナテラはカジュアルラインであるVersus(ヴェルサス)のデザイナーとして活躍していましたが、一夜にしていきなりメインラインのアーティスティック・ディレクターを任されることになり、重度のプレッシャーからコカイン依存と鬱に悩まされる日々を送ったのです。
実際この時期のヴェルサーチというのは完全に輝きを失っていて、日本でもヴェルサーチというブランドの名前を聞くことはほとんどありませんでした。
2004年にフェンディの元CEOであるジャンカルロ・ディ・リシオがCEOに就任し、ライセンスやフランチャイズといったブランドイメージに関わる契約を見直し、ラグジュアリー部門の復活を目指しました。
その後、2009年にはジルサンダーの元CEOジャン・ジャコモ・フェラリスがCEOに就任し、抜本的な改革を施し、大規模なリストラや店舗閉鎖を推し進めました。
この時にバブル期にはドル箱とをも言われた日本からも撤退を表明し、東京紀尾井町の本店、百貨店の店舗、アウトレットの全店舗を閉鎖しています。
絶望のどん底からの華麗なる復活
一時期はどん底を経験したヴェルサーチですが、フェラリスとドナテラによって改革を推し進め、ブランドとして復活するところまでこぎつけました。
一つのきっかけともいえるのが、2011年のファストファッションブランドH&Mとのコラボレーション「VERSACE for H&M」
ヴェルサーチというラグジュアリーブランドが一般大衆向けに認知されることに成功し、新しいヴェルサーチブランドを印象付ける転機にもなりました。
日本にも2011年のタイミングで再度上陸を果たしており、2015年には銀座にフラッグシップ店をオープンするなど勢いを取り戻しています。
また、2013年にはレディーガガをキャンペーンモデルに起用したり、2014年のマドンナの起用などを行い、ブランド売上を大きく回復させています。
そして現在のヴェルサーチェ
(出典:https://www.versace.jp/)
独自色の強いゴージャスな世界観のヴェルサーチェはラグジュアリーブランドの中で再び輝きを放つことに成功しています。
2011年にヴェルサーチジャパンを立ち上げ、日本に再上陸しましたが2018年にブランド名の変更を行いました。
これは日本だけの話でこれまでは「ヴェルサーチ」だったものを「ヴェルサーチェ」とブランドの正しい読み方に変更したのです。(英語の綴りはそのまま)
ブランドの運営体制も変わり、マイケルコースが買収を発表し、カプリ・ホールディングスの配下になりました。
ジミーチュウに続き、ヴェルサーチェの買収によって巨大グループの一員になったヴェルサーチェは日本のみならず世界的にも更なる躍進が期待されています。
この記事を監修しているのは?
ラグジュアリーブランド・ハイファッション調査部門
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