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シャネルの人気モデル【No.5】について

シャネルの5番って聞いたことありますよね？

(出典:http://www.chanel.com/)

シャネルの5番といえば、あなたはどういったイメージを思い浮かべるでしょうか？
歴史を知る人ならマリリン・モンローを思い浮かべる人もいるでしょうし、その独特の香りが脳裏に焼き付いている人もいるでしょう、少し古い香水だと思っている人もいるかもしれません。

そんな「No.5」ですが、こうして香水の名前を知っているというだけでとてもすごいことだと思いませんか？
これだけの知名度を誇る香水というのは後にも先にもシャネルの5番しかありえないのです。

「No.5」の起源

(出典:http://www.chanel.com/)

シャネルの5番は1世紀も前になる1921年に発表されたのだが、洋服で常に革新を起こすことを考えていたブランド創始者のココ・シャネルが香水の世界でも革新を起こしたいと考えたのがきっかけです。

シャネルには代々調香師がいて、そのシャネルの初代調香師となるエルネスト・ボーを当時ココ・シャネルの愛人であったロシアのロマノフ大公より紹介されたのです。
ココとボーの2人によってNo.5を生み出していくのですが、その過程においてココのこだわりが随所にみられ、そしてボーがそのこだわりを香りにしていくのです。

この頃の香水というと実際の花の香りを表現したものばかりであったため、ココは自身を表現したような抽象的でユニークな香りというのをオーダーしました。

「これまでにない独特の香りと香りの持続性

(出典:http://www.chanel.com/)

ココの依頼である抽象的な香りを実現するため、ボーは「香水の都」として有名な南フランスのグラース産ジャスミン、ローズ・ドゥ・メ、コモロ産イランイランなど様々な香りをミックスしました。
非常に刺激的でスパイシーであったため、少しバランスを取る必要があり、そこでこれまで香水に使われたことがなかった合成香料アルデヒドを加えました。
アルデヒドの効果によって特定の花の香りが消え、全ての花を引き立たせるようなエッセンスとなり、香りに柔らかさと広がりが生まれました。
さらに当時の香水の課題ともなっていた香りの持続性までアルデヒドをプラスすることでクリアしたのです。

こうして出来たNo.5の香りというのは、ココ・シャネルが想い描いた花の香そのものではない「女性を感じさせる抽象的な香り」となったのです。

香りだけではなくネーミングやボトルにも革新を

(出典:http://www.chanel.com/)

この香水ですが、なぜNo.5なんていう素っ気ない名前になったと思いますか？
普通だったらもっと香りをイメージさせるような華やかなネーミングにしたいと思うはずです。

ココの革新はこんなところにまで及んでいて、これまでの香水の名前というのはやたらと華やかで誇張された表現のような物が多かったのを嫌いあえてシンプルな数字だけの名前にしたのです。
さらにこのNo.5と決まったのも、ボーが試作品をココに進めるときに1～5番と20～24番というグループに番号を振って出してきたのですが、この時に決まった試作品5番「No.5」がそのまま名前となったのです。

ボトルのほうもシンプルな角型です。
これもネーミングと同じような理由で装飾過多なデザインばかりが目立つので、あえてシンプルでミニマルなデザインにしているのです。
容器の形は当時の男性用化粧品のケースからインスピレーションを得たとされ、衣服でも男性用素材を好んで使用し、女性用にリユースしてきたココらしい発想です。

作って終わりじゃない、品質を保つことが大事

(出典:http://www.chanel.com/) No.5に最も多く使われる花は南フランスのグレースで採れるジャスミンです。
No.5はグレースで採れるジャスミンでないとNo.5の香りにならないといわれています。なので、シャネルは工数の品質を保つためにグレース地方の農家に打診して栽培してくれるように頼みました。
さらに1986年にはジャスミンの供給を安定させるための独占栽培契約まで結んでいます。

こうした背景には「常に同じものを作り続ける」という哲学が色濃く反映されており、品質を担保するために自然という不確実なものに対するリスクを極力取り除くための努力をしています。
ジャスミンはグレース地方だけで採れるわけではないので、他の地域のものを使えばいいというものではありません。
ラグジュアリーブランドの品質を保つためには妥協は許されないのです。革新の中にも伝統の技術を守りぬきながら品質を維持し、さらに高めていく必要があるのです。

もうひとつはボトルについてですが、ボトルに関しても伝統に対して強いこだわりを持ち続けています。
17世紀頃にはじまったボードルシャージュという薬を密閉する技術を使っており、その方法が現代でも使われています。
ボトルの首の部分に薄い膜と豚の腸で作られた糸を巻いて密封し、そこに蝋をのせてココマークを刻印するというとても手間のかかる作業です。

実際のところ、すでにこの手法を使っているところはなくなり、シャネルでしかおこなわれていないそうです。
しかし、こうした芸術的な封というのも香水を買い、香りを楽しむまでの間に視覚で楽しむという点で大きな効果を発揮しているといえます。


シャネルの5番は世界で最も売れた香水としての地位を確立し、世界のどこかで30秒に1本は売れていると言われます。マリリン・モンローをはじめ世界のセレブにも愛された世界最高の香水ですので、是非一度試してみてください。

この記事を監修しているのは？

ラグジュアリーブランド・ハイファッション調査部門

ラグジュアリーブランドやハイブランドでの勤務経験者、雑誌編集者、とにかくラグジュアリーブランドやハイブランドが好きなメンバーで編成。
好みや主観が入ったり、否定的な意見が存在するのは、ハイブランド.comの味であり、外部からの影響から独立しているからこそ出来ること。
世の中のトレンドや流れを敏感に察知し、常に新しい情報を発信出来るように奮闘しています。

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