グッチの歴史①「グッチ一族による歩み」
GUCCI グッチ


グッチの歴史①「グッチ一族による歩み」

グッチブランドの変遷

グッチ変遷
(出典:http://http://www.gucci.com/)
グッチオ・グッチの創業から始まり、アルド・グッチを中心とした繁栄、その裏で起こっていた兄弟ロドルフォ・グッチとの対立や息子パオロ・グッチの暴走。
そして、マウリツィオ・グッチ時代にはブランドの失墜とグッチ一族のブランドから撤退。

どん底からのトム・フォードとドメニコ・デ・ソーレによるグッチの再生があり、トム・フォードがブランドを去った後グッチを支えたクリエイティブ・ディレクター フリーダ・ジャンニーニと後継者のアレッサンドロ・ミケーレ。
グッチというブランドは一族経営から衰退期を乗り越え、復活を果たしたブランドなのです。

グッチというのはもともとは代々グッチ家が所有する同族企業でした。
何度かの経営危機があり、今ではグッチ一族は経営から離れていますが、その成り立ちを知る上でまずはグッチ一族について知る必要があります。



グッチオ・グッチによるグッチの創業

グッチ創業
(出典:http://http://www.gucci.com/)
グッチの成り立ちというは、グッチオ・グッチが1921年にフィレンツェで開いた「グッチオ・グッチ鞄店」がその歴史の始まりです。
10代の頃からロンドンに渡り、サヴォイホテルなどで働いていたグッチオは、旅行者たちのもつ革製の鞄や宝石、絹製品などを目の当たりにしながらラグジュアリーがなんたるかを身につけていきました。
この時に商品の値段の高さが、そのまま所有することの価値になるということを学びました。

第一次世界大戦後のフィレンツェで革工芸品工房のフランツィで働くことになり、革の種類、選定、取り扱い、なめし方など革についての知識を徹底的に詰め込みました。
この知識が買われてローマ支店長にまで出世しますが、家族のいるフィレンツェに戻りたかったグッチオはフィレンツェに戻り、「グッチオ・グッチ鞄店」を開いたのです。

トスカーナやドイツ、イギリスなどから高級で上質な革製品を輸入し、観光客相手に商売をしていたのですが、商品の仕入に関してはロンドン時代に培った目利き力が物を言い、よい商品を適正な価格で販売するグッチオ・グッチの店は評判になっていきました。
また、ただ輸入して売るだけではなく、お客の欲しいものがなければ特注で作ったし、アフターサービスの工房も用意しました。
腕利きの職人を集めることに長けていたグッチオは、こうしたよい物を持ってきて提供する、または作って提供する、そしてアフターサービスもしっかりしているということが世間に知られるようになり、一気に規模を拡大していったのです。



苦難の中から「クオイオ・グラッソ」の誕生

グッチオ・グッチ鞄店の開業から2年後にはすでに2店舗目をオープンし、経営は軌道にのっていきました。
しかし、ここでひとつの問題に直面します。
1935年のベニート・ムッソリーニのエチオピア侵攻によってイタリアへの輸出禁止という経済制裁が課されたのです。
これがグッチにとってどういう意味を持つかというと、鞄の原料となる革素材が手に入らないという事が起こりました。

この時に国内で輸入高級革に代わる代替品を探していた中で救世主となったのが、「クオイオ・グラッソ」なのです。

クオイオ・グラッソというのは、”クオイオ”が厚みのある最高級の革を意味し、”グラッソ”が油脂を指すので、脂を塗った革という意味になります。
トスカーナ地方で革が傷つかないように牛舎の中で大切に育てられた子牛の革に魚の骨でとった脂を塗ったもので、
脂が塗られることで表面の手触りが滑らかで、とても柔らかく鞄の素材として抜群のものでした。

表面についた多少の傷なら指先で拭うだけで消えてしまうほどの弾力性に富むクオイオ・グラッソはまさにグッチの革製品の代名詞ともなったのです。



海外への道を切り開いたアルド・グッチ

グッチ海外進出
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グッチオ・グッチは子だくさんで妻の連れ子のウーゴを含めると6人もの子供がいました。
その内でグッチに対して主要な仕事をするのは、アルド、ヴァスコ、ロドルフォの3人ですが、その中でも最も中心的な役割を果たすのがアルドです。
ロドルフォもある意味では、グッチに対して大きな影響を与えることになる人物なのですが、こちらは後述することにします。

グッチオの時代からすでに有名になっていたグッチなので、国内、海外の遠方からわざわざフィレンツェのグッチまで足を運ぶ顧客が多くいました。
アルドはこうした海外顧客に対して、ただ待っているのではなくてこちらから仕掛けるべきだと考えており、海外への進出を積極的に行っていった人物です。

まずはイタリアの首都ローマでラグジュアリーブランドが立ち並ぶコンドッティ通りに店舗を展開したのです。
アルドはローマには世界中からセレブが訪れるようになるだろうと予見していました。なので、そうしたセレブの期待に沿うような店舗づくりにも多額の資金を注ぎ込み、ラグジュアリー仕様の店舗、そしてスタイルとカラーの調和がとれたグッチらしい製品というのをコンセプトにしたブランド戦略を展開してきました。

1953年のグッチオ死去の前後は、その勢いが顕著になり1950年にはニューヨーク、51年にはロンドン、63年にはパリ、そして65年にはハリウッドスターのためにビバリーヒルズにも店舗を構えました。



徹底したブランドイメージの構築

アルドのブランドイメージ作りは徹底していて、販売員の教育にまで指示を出していました。
例えば、「何かお探しですか?」と聞いてはいけない。もっとお客様とのコミュニケーションを円滑にするために「おはようございます。」と声をかけさせました。

また、製品の価格を言ってはいけないというルールも作りました。
これは、値段を聞くような行為は下品な行動であるというのをお客様に暗に伝えるためです。なぜならグッチの顧客であれば価格を気にする必要もないはずですし、その水準に満たないお客であればお引取りを願うようにもしていたほどです。

他にも店舗経営としては棚を指でなぞって埃が指につくようではだめで、フランチャイズなら即契約打ち切りという厳しさです。
こうしたアルドのブランドイメージづくりは、グッチにとってマイナスに働く要因をすべて取り除くための徹底したものでした。



ニューヨークはグッチの街

グッチ5番街
(出典:http://http://www.gucci.com/)
グッチの名前を一般にも広く浸透させたのは、ローヒールのモカシンによってというところは非常に大きいです。
アルドの一声ではじまった靴事業ですが、これが大ヒットでした。
アメリカ、特にニューヨークで大ヒットとなりニューヨークだけでも年間2万足以上が売れたということで、富裕層が中心であったグッチの顧客に若い女性なども含めた中間層にまで浸透させることに成功しました。

当時の大統領ジョン・F・ケネディからもアルドが初めての「駐米イタリア大使」と称され、MoMA(ニューヨーク近代美術館)にもモカシンが永久コレクションされるなどグッチの評価はアメリカで非常に高いものになっていきました。

この1960年代には、ニューヨークで単独で店舗を構えているイタリアブランドというのは、グッチとエミリオ・プッチしかなく「グッチ・プッチ」と呼ばれて親しまれていたほどです。

1970年代に入ってもその勢いはとどまることを知らず、ニューヨーク5番街に新しい店舗をオープンし、翌年にもフィラデルフィア、シカゴ、サンフランシスコに店舗をオープンし、ニューヨークにも3店舗目をオープンしました。
1980年にもさらにニューヨーク5番街に新しい店舗をオープンし、これは1999年まで改装もされないほどのフラッグシップ店として名を馳せました。
まさに「ニューヨークはグッチの街」と称されるほどになり、ニューヨーク5番街を歩く人々の意識をグッチに釘付けにしてしまうような凄さがあります。



1972年「様々な転機の年」

1972年という年はグッチにとって数々の転機となった年でしょう。

香水への進出

香水
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まずひとつが、香水事業への進出です。
グッチの顧客の大半が女性であることから、香水を出せば売れるとロドルフォとヴァスコの反対を押し切ってアルドがスタートした事業「グッチ・パフューム・インターナショナル・リミテッド」です。

ここには2つの目的があり、ひとつが革製品以外の主要事業を持つこと。
もうひとつは、アルドの息子たちにビジネスに関わらせるためのちょうどよいビジネスをつくりたかったこと。
ある意味目的としては達成できているのですが、香水ビジネスは思いつきで成功するほど甘くはなく散々な結果となりました。
今でこそグッチの香水というとネームバリューもありますが、この時はまだまだ駆け出しのアマチュアだったのです。



時計への進出

時計
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1972年のイベントふたつめは、時計ビジネスの開始です。
セヴェリン・ウンデルマンという時計セールスにグッチの名前のついた時計を売るライセンスを供与したことが始まりで、香水とは違い香水と違いプロと組んだ時計事業は大成功を収めた。

ウンデルマンは、高級腕時計といえばスイスと言われるほど高い技術力をもつスイスの時計メーカーに対して、その持ち前の豪腕を発揮し、製造・販売の仕組みを構築していき、ついには信頼の証となる時計展示会でのブースまで持ってしまったのです。
このおかげでグッチがスイスのおける初めてのファッションブランド時計となり、時計をグッチの主力製品とすることに大きく貢献しました。



日本への進出

日本店舗グッチ
 
最後に日本への進出があります。
ちょうど日本が高度経済成長のまっただ中でラグジュアリーブランドの多くが日本への進出を考えていた時期でした。日本の輸入業者が現地で店舗に列をなし大量の買い付けをすることがニュースにまでなった頃です。

アルドは日本を軽視していましたが、こうした状況からビジネスチャンスを予見し、エルメスやフェラガモなども日本で初の代理店を務めた銀座の「サンモトヤマ」とフランチャイズ契約を結びました。
この関係は2年後の香港進出にも活かされ、アジア市場の開拓に大きく貢献しました。

アルドの海外進出は、こうしてヨーロッパからアメリカ、アジアと直営店、フランチャイズ店併せて60店舗を展開するまでになっています。



ロドルフォ・グッチのビジネスへの貢献

グッチ
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グッチオ・グッチの息子としてグッチのビジネスに関連する人物としてはアルド、ヴァスコ、そしてロドルフォがいます。
グッチのビジネスの根幹となる部分を担ってきたのは、間違いなくアルドですが、ロドルフォに関してもある意味グッチというブランドに対して大きな影響を与えている人物です。

ロドルフォのグッチの中での主な役割は、グッチのミラノ店の経営と商品のデザインです。
しかし、実はグッチの発展に対してロドルフォが果たした大きな役割というのは彼のもうひとつの仕事でした。

ロドルフォが17歳のときにローマに行った際に映画監督マリオ・カメリーニに声をかけられ俳優として映画デビューを果たしていたのです。
そして、グッチの洗練されたイメージを構築する際に一役買ったのが、この俳優としてのコネクションでした。
キャサリン・ヘップバーンやソフィア・ローレンといったスターをグッチの顧客として取り込んだのがロドルフォです。こうしたスターがグッチの顧客ということで必然的にグッチのステータスの向上に大きく貢献したのです。



兄アルドとの対立

ロドルフォは、グッチビジネスに貢献していました。
グッチオ亡き後、グッチの所有権としては、アルド、ロドルフォ、ヴァスコの3人の息子で均等に株を分けあい、平等な権利を有していたのですが、保守的なロドルフォは、革新や変化を求める兄アルドとビジネス戦略に関して常にぶつかりあっていたのです。

特に1975年に立ち上げた香水ビジネスのグッチ・パルファンに関しては、アルドとアルドの子供3人(ジョルジョ、パオロ、ロベルト)が80%の株を持ち、自身が20%しか保有していないことに不満を持っていました。
パルファンが大きくなるに従って、その不満は大きくなり株の譲渡をアルドに断られたことを契機にワシントンの弁護士ドメニコ・デ・ソーレに相談をしました。
後にトム・フォードと共にグッチの再生の立役者となるデ・ソーレはこの時ロドルフォとパートナーシップを組んだことからグッチと関わることになったのです。

デ・ソーレの最初の仕事がパルファンを本社グッチオ・グッチに組み込むことでした。
そうすることでグッチオ・グッチの半分の権利を持つヴァスコの死後、アルドとロドルフォが50%ずつの持ち分になった)ロドルフォにパルファンの半分の権利が得られると踏んだからです。

この戦略自体はうまくいったが、その直後にはロドルフォが死去してしまうので、ロドルフォがアルドからグッチの実権を奪うという目的は達成できませんでした。
ただ、代わりに息子のマウリツィオ・グッチがグッチのビジネスの実権を握る手助けとなりました。

マウリツィオがグッチの実験を握るというのは、実は既定路線でもあり、アルド自体が甥であるマウリツィオを気にかけており自身の帝王学をマウリツィオに授けていたということも大きいと思われます。
実際にアルドがマウリツィオをニューヨークに呼んで自身の元で働かせていたくらいなのです。

こうしてロドルフォとアルドの対立というのは幕を閉じ、ロドルフォの息子であり、アルドから帝王学を授かったマウリツィオ・グッチがグッチのかじを取ることになりました。



グッチ一族異端のデザイナー「パオロ・グッチ」

グッチコレクション
(出典:http://http://www.gucci.com/)
グッチ一族の中でも異端の存在がパオロ・グッチです。
パオロはアルドの3人の息子のうちの一人なのですが、ローマの店舗で働いていた際に世界のセレブのおもてなしをすることに苦痛を感じたパオロはおじにあたるヴァスコのもとでフェレンツェの工場で働いていました。

しかし、このパオロはアルドの息子ジョルジョ、ロベルトたちと比べてもデザインセンスが抜きん出ていました。
1968年のグッチの初のプレタポルテのデザインもパオロの手によるものだったのです。

1969年にはグッチのプレタポルテにおいてターニングポイントとなる年でした。
初のスカーフドレスの発表、アパレルにもGGのモノグラムが採用されたことなどグッチのデザインそのものが変わったのです。
すべてが実用的でエレガントなデザインは、毎日をエレガントであらねばならぬ人たちすべてのために毎日グッチを着て欲しいという思いからでした。
すべての人に毎日着て欲しいという思いは、自然と低価格化へと意識が向きグッチのブランドコンセプトと相反するものになっていくため、この後のパオロの暴走の根本となるところでしょう。



ロドルフォとの対立

ロドルフォとアルドというグッチオ・グッチの直子2人にもビジネス戦略という点で大きな隔たりがありましたが、ロドルフォとパオロという2人にも同じデザイナーという点から大きな確執が生まれていました。

パオロの考えは「万人にグッチを着てもらいたい」なので、セカンドラインやライセンスビジネスといった低価格路線をとるべきというものでした。
こうした思いを手紙に綴り、頻繁にロドルフォへと伝えていたのです。
しかし、ロドルフォは全く取り合わず、パオロの不満は溜まっていきました。

他にも色々とお互い気に入らないところがあったのですが、この2人の確執を決定的にしたのが、パオロがトルナブオーニの店舗に立ち寄った際にロドルフォのデザインした靴をショーウインドウから勝手に撤去したことでした。

これを問題と考えた父であるアルドがフィレンツェのパオロをニューヨークへ呼びよせました。
ニューヨークに行ったパオロにはグッチショップスとグッチ・パルファン・アメリカの副社長の椅子が与えられ、そのデザイナーとしての才能をいかんなく発揮していたのですが、これが気に入らないのがロドルフォです。

ロドルフォの息子マウリツィオもニューヨークのアルドのもとに預けているにもかかわらず、パオロがニューヨークに行き、マウリツィオよりも高待遇なのが気にくわなかったロドルフォがパオロをフィレンツェの工場の職務不履行を理由にイタリアのグッチから解雇したのです。



グッチを敵に回すパオロの暴走

パオロ・グッチ2
 

イタリアに帰る場所を失ったパオロはニューヨークで独自の路線を突っ走ります。
オリジナルのコレクションを作り、大量生産の上スーパーマーケットで販売しようとしたのです。

これにはロドルフォどころか、父アルドも大激怒し、パオロをグッチから追放しました。
パオロは自分の会社を作り、「パオロ・グッチ」の名前で販売を始めます。
しかし、取引業者はすべてアルドとロドルフォより取引ができない状態に追い込まれ、追い詰められたパオロはハイチでの生産活動をしたのですが、グッチの模倣品にまで手を出してしまったのです。

ただパオロのデザイナーとしての才能は大変素晴らしいものがあったのは事実で、アルドは組織再編の折にパオロをグッチに復帰させました。しかも副社長としてです。
が、結局のところ復帰した後のパオロの権限にはかなりの制限がかけられており、元々の思想であった低価格路線への進出提案というのは一切認められず、その思想の危険性から再度の解雇に追い込まれてしまったのです。

その後はパオロは度々グッチと裁判を起こしてきましたが、最終的にはパオロのスケッチ、PGの商標を破棄するという条件でグッチがパオロ・グッチのあらゆる権利を買い取ることで決着がつきました。



パオロ・グッチというブランド

パオロ・グッチ
 

パオロ・グッチというブランドがありますし、もしかすると聞いたことがある方もいるでしょう。
これがパオロによって作られたオリジナルブランドで、グッチとは全く関係がないと言ってもいいものです。

グッチの生産ラインを使っているわけではないので、当然品質も全く違いますし、価格も安価です。
パオロ・グッチが欲しくて買うのであれば問題無いですが、グッチと間違って買ってしまう方もいるかもしれません。もしグッチが欲しくてパオロ・グッチを買うというのであればそれは間違いです。
グッチオ・グッチ(グッチブランド)の商品として販売しているのであれば、それはほとんど詐欺と言ってもいいでしょう。



アルドの後継者「マウリツィオ・グッチ」

グッチコレクション
(出典:http://http://www.gucci.com/)
マウリツィオは、アルドではなくロドルフォの一人息子でしたが、アルドからはその才覚を認められニューヨークのアルドのもとで修行をしました。
また、マウリツィオ自身もアルドのビジネスマンとしての実力を高く評価していました。
父であるロドルフォは俳優であり、グッチビジネスの一部分しか担っていないが、アルドはグッチビジネスのすべてを動かした人物と考えていたのです。

マウリツィオがまず才覚を発揮したのは、プレタポルテ事業です。
7年間のニューヨークでの修業を終え、ミラノに戻ったマウリツィオは、アルドが考えていたグッチのさらなる成長エンジンであるプレタポルテを軌道に載せるというのを任されました。

もともとプレタポルテは1968年にパオロが立ち上げていたのですが、パオロがニューヨークへ行ったことを機に指揮をとる人間がいない状態でした。
マウリツィオが考えたのはグッチブランドのイメージを刷新するために外部から有名なデザイナーを取り入れることです。
当初はアルマーニを引き入れることを考えていたのですが、すでに自身のブランド「ジョルジオ・アルマーニ」を立ち上げていたため断念し、ルチアーノ・ソプラーニを招き入れることにしました。

こうして新デザイナーを招き入れて発表したミラノ・コレクションにて大成功を収め、グッチの新しいイメージを作ることにも成功したのです。



カオス状態のグッチに秩序を生む

ローファー
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マウリツィオは、グッチブランドというのは、アルド、ロドルフォ、ジョルジョ、ロベルトとそれぞれ別々の活動をしていることに疑問を抱いていました。そもそもそれぞれが独立していてブランドとしての統一感は全くなく、誰が何を作っているのかさえ把握できていないほどお粗末な状態だったのです。

まずはこのバラバラの商品構成を見直し、最適化されたポートフォリオを作りました。
しかし、グッチが真のラグジュアリーブランドに生まれ変わるためには最も根本的な改革が必要だとも考えていました。

そこでグッチを追放されたパオロを抱き込み、自身が父ロドルフォより受け継いだグッチの50%の株式合わせて、議決権を持つことでアルドを代表から引きずり落としクーデターに成功したのです。
こうしてマウリツィオは正真正銘グッチのトップにたちました。

ドメニコ・デ・ソーレをグッチ・アメリカのトップに据え、店舗の絞りこみ、ライセンス契約の打ち切りなどグッチのブランドイメージを落とす可能性のあるマイナス要素をことごとく潰していき、無法状態だったグッチに秩序を生んだのです。



グッチの改革「ブランド近代化」

ニューバンブーバッグ
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マウリツィオがトップに立った後、まずは残りのグッチファミリーの保有する株式の買取に動きました。
この裏には金融機関のモルガン・スタンレーやインベストスコープという投資会社が動いており、これによってグッチのビジネスはマウリツィオに集中することになりました。

そんな中で改革を進めるマウリツィオは、アメリカの高級百貨店のバーグドルフ・グッドマンの社長であったドーン・メローにグッチの再生を託しました。
メローがクリエイティブ・ディレクターに就任したことにより、その人脈から数々の優秀な人材がグッチに入ってくるという効果も得られました。
後にドメニコ・デ・ソーレとともにグッチ再生の立役者となるトム・フォードもメローが招き入れたデザイナーなのです。

そして、メローによって現代的にアレンジしたローファーや小さくしたバンブーバッグ、ホーボーバッグの復活などグッチの往年の名作をリバイバルヒットさせました。

マウリツィオは、百貨店へのキャンバス地の卸売の中止、免税店での販売の停止などを行い店舗数を劇的に削減しました。これには希少性を高めることとサービスの品質を高めるという目的がありました。
もうひとつが、商品点数の絞リ込みで兼ねてから多すぎると考えていた商品数を3分の1程度にまで減らし、グッチのアイテムにおける統一性と管理面での効率化を図りました。



改革は道半ばにして力尽きる

精力的にグッチの改革に取り込んできたマウリツィオでしたが、伯父アルド同様に管理能力にはいささか欠けていました。
構想や実行力という点では申し分なかったかもしれませんが、計画や分析といった点がおろそかになっており、商品ラインを絞るために店から品物を撤去したのはいいけれども、新商品がいつ出来るかも把握しないままに商品撤去を行い何ヶ月も店舗の棚に品物がない状態になったりとちぐはぐの状態だったのです。

強引に改革を進めていったのはいいのですが、グッチのビジネスとしての売上は伸び悩んでいきました。
こんな状態ではメロー効果で入社した優秀なスタッフもドンドンと離れていき、最終的にマウリツィオは自身の株の持ち分をすべて投資会社のインベストスコープに売却することでグッチを去ることになりました。

最後にはマウリツィオは妻の雇ったヒットマンに射殺されるという形で生涯を終えています。
ある意味グッチ一族でのブランド経営は、殺人事件やアルドの汚職などもあり、かなりショッキングなイメージをユーザに植えつける結果となってしまったわけです。


→次は、グッチの歴史②「再生と新しい才能の台頭」

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この記事を監修しているのは?

ラグジュアリーブランド・ハイファッション調査部門

ラグジュアリーブランドやハイブランドでの勤務経験者、雑誌編集者、とにかくラグジュアリーブランドやハイブランドが好きなメンバーで編成。
好みや主観が入ったり、否定的な意見が存在するのは、ハイブランド.comの味であり、外部からの影響から独立しているからこそ出来ること。
世の中のトレンドや流れを敏感に察知し、常に新しい情報を発信出来るように奮闘しています。



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