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数々の才能を見出したクロエの歴史

ブランドの由来はバレエ音楽から

（出典:http://www.chloe.com/） クロエの歴史は、1952年にギャビー・アギョンがフランスに創業したことから始まります。
ギャビー・アギョンは1921年にエジプトのアレキサンドリアで裕福な家庭に生まれ、フランス式の教育を受けて育ちます。
母親は自宅にお針子を呼び、家族のためにパリの最先端の服を作らせていました。こうした環境で育ったため、パリのエレガンスを身をもって知っていたのです。
さらに18歳にはパリへの留学も経験し、本場のデザインを肌で感じたギャビーがデザインの道に進むことはこの時に決まっていたのかもしれません。

1945年にレイモンド・アギョンと結婚し、パリで暮らし始めたギャビーは様々な芸術家たちと行動をともにし、豊かな感性に磨きをかけていきました。
1952年のファーストコレクションを開催するやいなやあっという間に規模が拡大し、クロエの誕生に至ったのです。

殆どのラグジュアリーブランドは、創業者の名前がそのままブランド名に使われていることがほとんどですが、クロエに関してはギャビー・アギョンの名前が全く入っていません。
これは、ロンゴス作の恋愛小説「ダニフスとクロエ」を元にしたバレエ音楽が1912年よりパリのシャトレ座にて公演されていたのですが、その中での主人公クロエの美しいダンスのイメージがブランドの由来となっています。

時代にマッチした新時代のコンセプト

（出典:http://www.chloe.com/） クロエのコンセプトとして、現在までも続いていますが「ラグジュアリー・プレタポルテ」という概念を初めて打ち出したブランドであり、ラグジュアリーでありながらも着やすさや新しさ、女性的な魅力を最大限に引き出したコンテンポラリーな服というものでした。

ファーストコレクションでは、生地やボタンの購入、セールス活動に至るまで全てをギャビーが自身で行い、自身のコンセプトを具現化していきました。
こうしたコンセプトはパリの雰囲気とマッチし、パリのサンジェルマン・デ・プレで行われたファーストコレクションは、大盛況を収め「まるで竜巻のように」広がっていきブランドとして上々のスタートを切ったのです。

ブランドのターニングポイント

実はクロエというブランドはある大きなブランドグループに属しています。
リシュモンというブランド・コングロマリットなのですが、高級時計ブランドを多く抱えることで有名でIWCやボーム＆メルシェ、ジャガー・ルクルト、オフィチーネ・パネライ、ロジェ・デュブイ、ヴァシュロン・コンスタンタンといった時計ブランドからカルティエやモンブラン、ダンヒルといったブランドまでが属しています。

クロエも1985年、まだカール・ラガーフェルドがデザイナーだった時代に買収されていたのです。

ルイ・ヴィトンやグッチ、サンローランなど有名なラグジュアリーブランドもブランドグループに属していることが多く、買収されること自体には実はメリットがあります。

日本でもリシュモンの販売網によって現在販売されていますが、世界の主要都市への店舗の展開という点で、リシュモングループの貢献は大きかったのです。

数々の有名デザイナーの起用による躍進

（出典:http://www.chloe.com/） クロエの歴史にとって欠かすことの出来ないのが、時代を彩ってきたデザイナー陣です。
創業者のギャビー・アギョンの手腕もさることながら、彼女が見出してきた才能というのもまた素晴らしいものでした。

その先駆けとなるのが1965年にクリエイティブ・ディレクターに就任したカール・ラガーフェルド。
「モード界の皇帝」と呼ばれ、シャネルやフェンディのデザイナーとしてもお馴染みのカールですが、フリーデザイナーとなった最初の仕事がクロエだったのです。
1987年から1992年まではカールの後任としてマルティーヌ・シットボンがクリエイティブ・ディレクターとなり、その後1992年よりカール・ラガーフェルドが復帰します。

大きな転機は1997年よりクリエイティブ・ディレクターに就任したステラ・マッカートニー。
あのビートルズのポール・マッカートニーの娘で自身のブランドも展開しているデザイナーです。
ロンドンの新しい風を吹き込み、数々のヒット作を生み出したことでクロエの飛躍に大きく貢献します。 しかし、グッチグループに引き抜かれる形で2001年には退任します。

その後は2001年よりファビー・フィロが就任し出産を機に辞任したことで、2008年よりハンナ・マクギボンが就任し、2011年にはクレア・ワイト ・ケラーに引き継がれます。

クレア・ワイト・ケラーは2017年まで6年間クロエのクリエイティブ・ディレクターを務め、クロエらしいフェミニンなコレクションは定評がありましたが、ジバンシィ初の女性デザイナーという新しいキャリアを選択しました。


（出典:http://www.chloe.com/） そして、クレアの後釜を務めることになったのが、ナターシャ・ラムゼイ＝レヴィ。
クロエクラスのブランドだと有名デザイナーが後任になると思われたのですが、あまりにも知名度が低く異例の大抜擢だったのです。

ただこのナターシャは、二コラ・ジェスキエールの右腕としてバレンシアガとルイ・ヴィトンで15年間も二コラ・ジェスキエールと共に働き、ハイエンドファッションに大衆的でポップな要素を取り入れるスタイルを磨いてきました人物。
エッジの効いたボヘミアンテイストで新しいクロエを創り出しています。

2020年にはニューヨークで自身のブランドも手掛けるガブリエラ・ハーストへと引き継がれ、2021年3月にファーストコレクションを発表しています。

数々のデザイナーによってブランドのコンセプトを継承しながらもオリジナルの価値を生み出し、クロエというブランドを、そしてデザイナー自身のキャリアと言う意味でも着実に成長させてきたのです。


2014年に創業者のギャビー・アギョンは93歳でこの世を去りました。
1985年にはクロエの持ち株も全て売却し、若手の育成に力を注いできた彼女ですが、こうした取り組みによってクロエの精神は確実に後世に引き継がれていくはずです。

次は、時代に先駆けた「ラグジュアリー・プレタポルテ」

この記事を監修しているのは？

ラグジュアリーブランド・ハイファッション調査部門

ラグジュアリーブランドやハイブランドでの勤務経験者、雑誌編集者、とにかくラグジュアリーブランドやハイブランドが好きなメンバーで編成。
好みや主観が入ったり、否定的な意見が存在するのは、ハイブランド.comの味であり、外部からの影響から独立しているからこそ出来ること。
世の中のトレンドや流れを敏感に察知し、常に新しい情報を発信出来るように奮闘しています。

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