高級腕時計の条件 機械式腕時計 コラム


腕時計には基本的な仕組みの違いとして以下の3種類に分類する事が出来ます。

1. 機械式
2. クォーツ
3. デジタル

機械式

簡単に言うと、ゼンマイにより歯車を回し、その回数に応じて秒・分・時の針を動かす仕組みを持ったもので、全てが機械的な動きにより制御されています。
こういった仕組みのため、「重い」・「衝撃に弱い」・「時間が狂いやすい」と、正直なところあまり良い面がありません。
動力を得るために定期的にリューズを回してゼンマイを巻く必要がありますが、自動巻のように腕の動きでゼンマイを巻く機構が発明されてからは、自動巻が主流となっています。

クォーツ

動作そのものは、機械式と同じで歯車を使って秒・分・時を計時しているのですが、 正確な時を刻むための基準となる時間を生成しているのが、ゼンマイではなく、クォーツ(水晶)になります。
水晶は、正確な固有振動数を持っており、それを使って歯車の動きを制御することにより、月差数秒という精度を達成しています。

デジタル

動作には全く機械的な動きがなく、液晶などの表示デバイスで時刻を表示しているものです。 デジタル式は、「軽い」・「壊れにくい」・「安い」・「時刻が正確」 というような一見良い面ばかりです。
価格的にもかなりリーズナブルとなっています。


なぜ高級腕時計は機械式なの?

ほとんどの場合、高級腕時計は「機械式」になっています。
以前にはすばらしい性能でかつ安価に製造できるクォーツ式の時計が登場したことにより、 ほとんどの時計メーカは大打撃を受け機械式の製作を止めてしまいました。
ですが、スイスの時計職人達は、機械式にこだわり、その魂を吹き込むことによって機械式腕時計に「高級腕時計」としての新たな価値を生み出していきました。

安価で高性能な時計を誰でも作れるクォーツやデジタルよりも、高度な技術を必要とし、その技術がそのまま時計の価値として現れる、 そういった部分に職人魂が刺激され、またその価値を認める人々により、機械式時計は芸術品としての価値をも持っていったのです。
このようにして、精度ではクォーツやデジタルに勝つ事はできない機械式腕時計でしたが、その価値をどんどん高めていきました。

腕時計に対して単なる時間を知る道具ではなく、職人の魂を感じそこにロマンを感じられる人には クォーツやデジタルではなくやはり機械式時計がおすすめです。


高級腕時計の技術

時計職人の魂が詰まった代表的な技術をいくつか紹介しておきます。

永久カレンダー(パーペチュアル・カレンダー)

通常時計のカレンダー表示はフルカレンダーとよばれているものが殆どです。
31日よりも少ない日付の月では手動で日数を進めて日付を合わさなくてはいけません。
永久カレンダー機構はカレンダーの日付を自動で合わせてくれるだけでなく、閏年の29日にも対応して日付を合わせる超複雑な機構です。

トゥールビヨン

理想的な機械式時計は、どの向きで置いても時を刻む速度は同じでなければならないのですが、実際には重さのバランスなどにより重力の影響を受け、
置き方によって時を刻む速度が異なる等の誤差が出ます。
このような時計の置き方による精度の狂いを「姿勢差」と呼びます。
トゥールビヨンはガンギ・アンクル・テンプの1式を取り付け、脱進器全体が回転することにより、
垂直方向の姿勢差を分散させて重力の影響をなくすための機構のことです。

ミニッツ・リピーター

トゥールビヨンと肩を並べる程難しい技術の一つです。
基本性能は任意の時間にボタンもしくはレバー操作をすると、現在時刻を音により知らせる機構です。
通常、時、四半時(15分単位)、分の3系統によって時を告げます。
これら1つ1つの音色は異なり、たとえば、5時20分に作動させた場合、まず時の数(5時=5回)、次に15分ごとの経過数(15分=1回)、 最後に15分以下の分数(5分=5回)と鐘が鳴るようになっています。
音自体は、聞き分けが容易になるように、通常は低音と高音の2音階が組み合わされています。

この3つの技術を一つでも組み込んでいる時計は生まれながらに超高級時計として扱われます。
腕時計でありながら外車一台、時には家一件にもなる価格をつけ、身に着けるだけで世間の羨望と尊敬の眼で見られる事は間違いないでしょう。

高級腕時計を購入する時はブランド名だけでなく、こういった職人の技にも注目して選ぶとより有意義でかつ満足出来る時計選びが出来そうです。

次回は高級腕時計業界についてお届け予定です。

→『高級腕時計業界』




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